相性が悪いと感じていた美容師。苦手なカット技術不要のヘアカラー専門に惹かれて再挑戦「CASA COLOR」松尾薫さん
北は北海道、南は兵庫まで全国各地に100店舗以上展開するヘアカラー専門店「CASA COLOR」カットやブロー、パーマの施術がないヘアカラーに特化したサロンとして人気を集めています。その関東圏の店舗を管理するエリアマネージャーを務めているのが松尾薫さんです。
松尾さんはパートとして入社して6ヵ月後、コロナ禍で出勤日数が限られていたため社員になることを決意しました。正社員雇用の店長になった松尾さんは、店の売上を伸ばせないことに悩んだそうです。
入社前に保険会社で営業の仕事を経験していたという松尾さんは、そこで培ったスキルを生かしてその悩みを解決。パートスタッフに売上の意識をあげてもらうため、自ら売上につながる行動を起こし、成功例を見せてモチベーションを作っていたといいます。
前編では「CASA COLOR」に入社した経緯と店長になるまでを振り返っていただきました。
今回、お話を伺ったのは…
「CASA COLOR」エリアマネージャー・松尾薫さん
通信制の美容専門学校を卒業後、他業種を転々としたのち保険会社に就職。2020年1月、結婚をきっかけに「CASA COLOR」でパートとして勤務をはじめる。6ヵ月後、コロナの影響による時短営業で収入を減らさないために社員になることを決意。その後、店長、統括店長を経験し約1年でエリアマネージャーに就任。現在は入社5年目で「CASA COLOR」関東圏店舗を支える社内注目のスタッフ。
主婦としての働きやすさとカラー専門というスタイルに惹かれ、美容業界に再挑戦
――「CASA COLOR」で働こうと思った理由は?
理由はいくつかありますね。大きな理由としては、ちょうど結婚したばかりで家事と仕事を両立しやすい職場を探していたことです。普段から利用しているスーパーに「CASA COLOR」が新しくオープンし、そのパート求人広告をたまたま見かけたんです。家からも近い、仕事終わりに買い物をして帰れる、勤務時間の調整がしやすい、この3拍子を魅力に感じて働きたいと思いました。
それともうひとつ大きかったのが、美容専門学校生時代に取得した美容師免許を活かせることです。もともと美容師を目指していたのですが、卒業後に就職したサロンでカットに難しさを感じて退職しました。「CASA COLOR」はカットをしなくていいカラー専門店なので、免許も活かせて、カットに向き合わなくていいところに惹かれました。
――どんなところにカットの難しさを感じたのですか?
カットは器用でセンスのある人が向いているものだと私は思っているんです。トレンドを常に吸収しつづけ、かつお客さまの骨格に合わせてデザインを提案しなければなりません。それには器用さとセンスが求められますよね。不器用な私は、周りの人の成長と差を感じてしまって美容師の仕事を1度諦めたんです。
あと、拘束時間が長かったことも諦めた理由です。サロンに務めていた時の私は、夜中の12時まで練習して、朝7時には出社して朝練をするという生活でした。家に帰ってもただ寝るだけでプライベートの時間もなく、体力的にも精神的にも苦しかったです。
――そうだったんですね。「CASA COLOR」に実際入ってみて拘束時間などの懸念点はどうでしたか?
拘束時間とカットに関してはどちらも解消できています。残業もほとんどなく定時退社ですし、カットも一切行わないので不安や不満は全然感じていません。カラーに特化しているので過去に美容師を少しでも経験している人であれば、初日から難なく施術できるんです。初めての施術後に「私でもすぐに活躍できる場所なんだ」と感動したのを覚えています。
わずか6ヵ月で店長就任。売上の壁にぶつかった新人時代
――わずか1年強でエリアマネージャーになったそうですね。大変なことも多かったと思いますが、その入社1年目を詳しくお聞かせください。
私がパートとして入社した直後にコロナ禍になりましたが、緊急事態宣言が出ても美容業は営業できていて、最初は好きな仕事ができることに嬉しさを感じていました。ただ6カ月後、営業時間短縮によってシフトが大きく削られてしまって。そこで収入を安定させたいと思い、先輩社員に相談したところ、正社員雇用の店長にしていただけたんです。
――いきなり店長ですか…!?
そうなんです。私も驚いたのですが、当時は正社員の数が少なかったため仕方がありませんでした。学生時代から生徒会など人をまとめる仕事に積極的に取り組んだこともあり、責任感を持つことには慣れていたので、不安などはあまりありませんでした。ただ実際、店長になってみるとパートと足並みを揃えて売上を上げることの壁にぶつかったんです。
――具体的にはどのような部分に悩みましたか。
「CASA COLOR」には数百円で追加できるオプションメニューがあるので、私はそこで売上を伸ばそうと考えていました。しかし、パートと正社員では売上に対する意識が違います。お客さまに促すようスタッフに伝えても「たかが数百円だし、お声がけしても断られるから」となかなか営業をしてくれないんです。どうすれば同じ意識で売上を考えて行動してくれるのか、とかなり悩みましたね。
――その悩みはどのように解決を?
私が実際にオプションを促してオーダーしてもらう成功例を見せることでパートスタッフに行動するモチベーションを作っていました。口だけではなく、背中を見せてあげなければスタッフは店長についてこないと思ったんです。
それと「断られてもいいから」と指導するようにしました。声をかければ、断られたとしてもオプションメニューという存在を知ってもらえますよね。もしかしたら別日にオーダーしてくれるかもしれないんですよ。これは「CASA COLOR」に転職する前に勤めていた保険会社の営業時代に学んだことで、種(情報)をまくことで花が咲く(オーダーしてもらえる)可能性を上げられるんです。このテクニックと合わせてスタッフに細かく説明したら、翌日から少しずつ声かけをしてくれる人が増えていきました。
保険会社で身につけた競争心。自分の店をトップにすることがモチベーション
――保険会社で働かれていたんですね。その経験が他にも活きたことはありますか?
いくつかありますね。まず店長としてのモチベーションです。保険会社は、契約数が評価に直結する仕組みだったため、新人賞やエリアトップの業績を獲得することに励んでいたんです。そこで、4年ほど勤務して培われた競争心は、店の売り上げを上げるという店長としてのモチベーションにつながっています。
――なるほど。
あとは先ほどお話ししたオプションなどの提案にも活きていますね。保険の紹介と同じくお客さまが理解して不安なく利用できるように、メニューは具体的かつ良い部分を粒立ててゆっくり「これは〇〇に△△という成分が働いて、□□の効果があるのでおすすめですよ」といったように伝える意識をしています。
美容師は過去のどんな経験も活きる仕事だと思うんです。私の場合は、保険会社での接客や競争などでしたが、捉え方次第ではファッションなどの趣味も役立つと思います。新人時代はとにかく何でもチャレンジしてみることがいいかもしれません。
松尾さんが激動の新人時代を突破した3つのポイント
1.オプションに目をつけて、売上を伸ばした
2.成功例を見せ、スタッフのモチベーションを作ることで行動を促した
3.保険会社での経験を活かし、自分の店をトップにするというモチベーションを持ち続けた
後編では、松尾さんがエリアマネージャーにキャリアアップして感じたことを伺います。美容師時代の職場環境の辛さを経験しているからこそ、自分が管轄する店舗のスタッフ関係や環境は良好にしたいという松尾さん。スタッフが悩みを溜め込まないように定期面談を行なっていて、「松尾クリニック」と呼ばれるほど好評なのだそう。また、管理職を務めているからこそ言える新人時代のアドバイスもお聞きしました。後編もお楽しみに!
Salon Data
住所:東京都葛飾区四つ木2-21-1 2F
電話:03-6457-5703