自分がいる地点を客観視してみること。大変な中にも楽しいと思える瞬間を見つけること【S.HAIR SALON 植田高史さん】#2

メディアなど業界関係者からの信頼が厚いと評判のサロン「S.HAIR SALON(エス)」オーナーの植田高史さんは、数々の葛藤を繰り返し、常に注目を浴びる美容師として活躍しています。そんな植田さんですが、人気絶頂の中、海外に渡った時期があったのだとか。海外で見た景色とは? 海外から帰国後、東京でサロン「S.HAIR SALON(エス)」を始めた背景について迫ります。

お話を伺ったのは…
S.HAIR SALON 植田高史さん

高校卒業後、都内にある美容専門学校へ進学し、就職。当時では異例の速さでデビューしたのち、サロンワークのほか、仕事の幅を広げて人気を集めるも、海外へ渡航。帰国後、S.HAIRSALONを開業して話題になり、顧客のみならず業界関係者からのラブコールが絶えないサロンとして支持されている。

東京を客観視できたことでフラットな視点を手に入れられた

――なぜ、海外へ?

デビューしてから3年目には、サロンワークのほかにもメディアへのオファーもいただくことが増え、ある程度、美容師として確立できたと感じるようになって…。そんなとき、海外で頑張っている友人たちを見たら、自分なんてまだまだ底辺なんじゃないかって思ったんです。

友人たちの背中を見て、僕も海外に行ってチャレンジしてみようかと思い、当時働いていたサロンを退職。ひとまず、リュック一つで日本を出ました。

――思い切った決断ですね。海外ではどんな経験を?

基本的にはずっと遊んでいるような(笑)。ただ、海外にいる間はずっと将来について考えていましたね。海外で美容師をすることも視野に入れていました。

――海外から日本に戻った理由は?

実際に各国をまわってみて、東京を客観視できたからです。

海外に行く前は、東京で流通しているものが後手に回っているような気がしていて。でも、実際に来てみたら驚きました。イギリスに滞在していたとき、現地のスタイリストにおすすめのショップを紹介してもらったんですが…東京で生まれたブランドのセレクトショップだったんです。さらに、東京で美容師をしていることを話すと、多くの人に興味を持ってもらえました。僕が思っていたより、みんな東京に憧れを持っていたんです。

東京をフラットな目線で見れたことで、別に海外にこだわらなくても良いかなと思い、東京に戻りました。

「ここ」でないとだめと思われるサロンにしたかった

最初は苦労の連続だったと語る植田さん。「最初の出店では工務店とは特に折り合いがつかなくて、自分たちで引き取った部分もありました。ただ、最初のバタバタを経てだんだんと今のチームが形になってきて、安心しています」。

――S.HAIR SALONを開業した経緯をお聞かせください。

実は、もともと独立に関しては、あまり興味がなかったんです。でも、海外で見てきた景色や体感してきた街の温度を経験したら、自分が理想とするサロン像が次々に浮かんできて。ありがたいことに多方面からお誘いもいただいたのですが、僕の中に生まれた抑えられない気持ちを優先し、サロン開業に踏み切ったんです。

――植田さんが思う「理想とするサロン」にするために意識したことは?

コンセプトやこだわりをがちがちに決めませんでした

ビジネスを主体にすると、マーケティング時にもコンセプトや取り込みたいお客様の層など、サロンごとに大体決めますよね。でも、そういうのは都度変化していくものだと考えています。僕の中では、こういう客層で…というイメージは多少ありましたが、どうしても枠にはめるとつまらなくなりそうで、決めたくなかったんです。

僕は経営者でもありますが、それ以前にプレイヤーとしての一面を大事にしたいと思っていて。ビジネスだけではなく、遊びの延長線上にいるような感覚で美容に携わりたい。こだわりについて強いて言うならば、一度きりではなく、生涯に渡ってお客様と関係性を築くことを目標としています。ここに来る度に新しい発見や変化をもたらせるサロンで在れたら良いですね。

方向性が変わったとしても、「毎回」ここに来たいと思ってもらえるサロンを目指したいです。

大変なのは当たり前。大事なのは楽しさを見出そうとする気持ち

――独立するときに大事なことは何だと思いますか?

とりあえず「やってみること」。最初は自分のことに集中できる時間が減ってしまうし、しなくていいと思っていました。でも、実際はやってみないと分からないことばかり。自分、向いてないなと思う時期もありましたよ。独立して良かった点、その反対に大変だった点、どちらもあります。

言って仕舞えば、独立なんて大変に決まってるんです。やるか、やらないか、大変だろうけどワクワクする気持ちに目を向けることが大事なのでしょうね。

――植田さんにとって、仕事はどのような存在なのでしょう?

人が人と関わっていくための手段として存在していると感じます。

最初は直感で決めてなんとなくここまで歩いてきましたが、やってみたらおもしろくてだいぶハマった感覚があります。美容師と決めて、選んできて良かったと思っています。そうじゃないと、今みたいな思考とか人との出会いもなかったことになってしまいますからね。自分で気づいていなかっただけで、人と関わることが好きなのかなと今では思います。そのことに気づけたのは美容師という仕事を決断できたから。なかなか見る目がありましたね(笑)。

――アドバイスをお願いします!

大変な中でも、「楽しい」と思える視点を持つことを忘れないでください。大変なものが大変なのは仕方がないし、大体、全部が楽しいと思えることはごく稀。じゃあどうしたら良いのかって、いかに楽しく「大変」を楽しめるかだと思うんです。

そのためには、いろいろな角度からの視点を持っておくことが大事。大変ながらも楽しさを見つけたとき、成功したときの喜びはひとしおです。大変な場面も楽しむ心意気があれば、うまく行きます。今この瞬間を、美容をもっと楽しむ気持ちで進んでみてください。

多くの人から愛される美容師になるコツ

1.自分の成長に前向きに。足りない部分を補うための努力を楽しむ

2.側面だけではなく、多面的に物事を捉える意識を持つ

3.大変な場面こそ楽しむことを忘れずに取り組む


取材・文/東 菜々(レ・キャトル)
撮影/塩谷哲平

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Salon Data

S.HAIR SALON
住所:東京都港区南青山5-4-3 南青山イズミビル2F
電話:03-6419-3567
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