美容を楽しみ、浮き沈みをなくすため。心と体の健やかさを大切に「SUNVALLEY」土田美沙子さん

人気美容師の朝日光輝さん、渋谷謙太郎さんのふたりが共同代表を務める、「SUNVALLEY」。2018年のオープン以来、高い技術とホスピタリティあふれる接客を提供する一流のサロンとして、多くのお客様から支持を集めています。

そんな「SUNVALLEY」にオープニングスタッフとして2018年に中途入社したのが、土田美沙子さん。現在は入社6年目を迎え、店長としても活躍されています。前編では「SUNVALLEY」に入社した経緯や、入社直後にぶつかった壁について伺いました。

後編では入社から3年でスタイリストデビューを果たした土田さんが、どんな体験をしてきたかについて伺います。

デビュー後の1年ほどはなかなかお客様がつかず、自信を失うことも多かったという土田さん。そんなときに意識したのが、自分にしかできない接客のスタイルを見つけること。女性スタイリストが少ない「SUNVALLEY」のなかで、やわらかな接客スタイルを確立し、徐々にお客様をつけることができるようになったといいます。

また美容を楽しみ、技術や接客のムラをつくらないことが、失客をしないコツだと朝日さん、渋谷さんに教わった土田さんは、心と体の健やかさを保つことを何より意識していたそうです。

今回、お話を伺ったのは…

「SUNVALLEY」店長/スタイリスト
土田美沙子さん

美容専門学校卒業後、表参道のサロンを経て、2018年に「SUNVALLEY」に入社。3年ほどアシスタント経験を積み、スタイリストデビューを果たす。2024年4月より、店長に就任。髪質改善や似合わせカットを得意とする。

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猛者揃いのサロンのなかでも、自分にしかできない接客スタイルを確立

技術力の高いスタイリストが多数所属する「SUNVALLEY」で、どのように自分のお客様をつかむか、悩んだという

――入社から3年でスタイリストデビューを果たされたとのことですが、その後は順調でしたか?

順調ではなかったですね(笑)。スタイリストデビュー後に、だれもがつまずくポイントではあると思うのですが、なかなか自分にお客様がつかずに苦労をしました。当時の私はお客様が求めているものを判断して提供するのが難しかったのと、自分にしかできない付加価値が見つかっていなかったんだと思います

私はわりと年齢は重ねていましたがお客様から見れば「新人」ですし、実力が圧倒的に上のスタイリストがほかにもいるなかで、今の自分でもほかのスタイリストに勝てるところはどこだろう?と常に考えていました

――その後、自分だけの強みが確立されていったのですか?

そうですね、徐々にですが。以前に働いていたサロンでは、ホスピタリティを大切にしていたので、まずその接客力を活かそうと思いました。またうちのサロンは女性スタイリストが少ないので、女性ならではの話しやすさを意識するようにしたんです。カウンセリングではしっかりお話しを聞くこと、なるべくこちらから声をかけること、かといってしゃべり過ぎないようにすることなどを心がけていました。

初めてうちのサロンにいらっしゃるお客様のなかには、サロンの空気にちょっと緊張するという方もいるので、そういった方には受け入れていただくことが多かったような気がします。「緊張がとけた」とか、「いろいろと相談に乗ってもらえてよかった」という声をいただくこともありました。

――なるほど。そういうお客様が増えると、段々自信もついてきますね。

はい。もうひとつ意識していたのが、楽しむことでした。これは朝日と渋谷からもらったアドバイスでもあるのですが、「メンタルでの不安定さは絶対にお客様に伝わってしまい、結果的に失客につながる。美容を楽しむことが大切だ」と繰り返し言われました

なので、どんなにお客様や売上がつかなくても、あまり悩まないようにしていたんです。落ち込んでしまうと、声色や態度にそれがにじみ出てしまって、お客様も「この人、自信がないんじゃないかな」とか、「美容師の仕事を楽しんでない」というのが見えてしまうので。それが一番よくないことだと思っていました。

長く第一線で活躍するために必要なのは、心と体の健やかさ

第一線で活躍するために必要な要素を、常に考えてきたという土田さん。行き着いたのが心と体の健やかさだという

――朝日さんや渋谷さんからもらったアドバイスで、ほかにも印象的なものはありましたか?

自然体でいるということです。繕った自分でいるとお客様は分かるし、それは不快な感覚として伝わってしまうんだと思います。普段の自分とお客様といるときの自分にあまり差がないようにしたほうがいいと、よく言われていました。

あとは技術の面でも気持ちの面でもムラがないようにすること、ムラは失客につながるということですね。確かにうちのサロンを見ていてもそのあたりのコントロールができているスタッフに、お客様がついているなと感じていました。

――どうすればムラのない状態を維持できるのでしょうか?

これは私が行き着いた結論なのですが、心と体を健やかに保つことがとても大事だと思います。その健やかさをどう保つかは、いろいろと模索しているところなのですが、体を動かして汗をかくことや、食事もできる範囲で整えることは意識しています。コーヒーも小麦も大好きなのですが、ちょっと控えることで、私の場合は心も体も安定する気がします。

――一流のサロンに入りずっと技術を磨いていくのは、大変なこともあると思うのですが、長く続けていく秘訣はありますか?

先ほどお話しした心と体を健やかに保つことがとても大事だと思うのと、売上が伸びている人や、第一線で活躍している人を見ていると、美容が好きという一本の筋が通っていて、そこがぶれない人が多い気がします

――土田さんも、美容が好きなのですか?

美容ももちろん好きなのですが、私はお客様と話すのがとても好きだなと感じます。さまざまなお客様が来てくれて、しっかりと時間を取ってお話しすることができて。お客様とお話しすることで刺激を受けますし、吸収できることも多いと思うんです。美容師の仕事は技術面でのやりがいももちろんあるのですが、私はそれ以上に人と人とのやりとりに魅力を感じています

何でもいいので何か1つでも好きなことがあって、そこがぶれないと、前進を続けられるのではないかと思います

AI時代にこそ、手に職をつけるべき

AIやテクノロジーが発達している今だからこそ、美容職には大きな可能性があると土田さん

――新人時代の体験は土田さんにとって、どんな学びになりましたか?

美容という、たった1つのことに集中できた期間だったと思っています。若いころにそういった時間を作っておくことは、この先の人生に大きなプラスになるということを実感していて。以前勤めていたサロンを辞めて転職してきた当時は、技術でつまづいたり、ほかのサロンに勤める友人たちが次々とデビューをしていったりして、ものすごく苦しかった時期でした。

でもそういった遅れを感じていたからこそ、仕事に集中できたし、そこで自分と向き合ったことは決して無駄ではなかったと思います。というのもいろんなことにおいて、あまり動じなくなりましたし、なんとかするしかないと思えるようになったんです。それはこれからの人生の財産だと思っています。

――これから美容師を目指す人に、アドバイスをお願いします。

美容師というのはお客様と接しながら、髪を切るだけでお金をもらえるちょっと特異な仕事だと思います。下積み期間は大変ですけどほかの仕事とくらべると楽しくできる仕事ではないかと思うんです。

これから益々AIが発達していくと思いますが、苦労をしても自分が身につけた技術というのは奪われることはないと思うので、これからの時代にこそ手に職をつける美容職の可能性が広がっていくと思っています。自分のやりたいことに向かってまっすぐ進んでいけば、楽しみながら仕事ができると思うので、美容師の可能性を信じて、一歩を踏み出してもらいたいなと思います


土田さんが新人時代に心がけてきた3つのポイント

1.技術面で自信を失っても、自分にしかできない接客スタイルを確立した

2.心と体の健やかさを大切に、楽しく、自然体で仕事に取り組んだ

3.お客様と話す時間が何より好きという軸を持って、前進し続けた

有名店の店長というだけでキラキラして見えますが、土田さんがたくさんの辛い体験をしてきたことが伺えました。それでも歩みを止めなかったのは、お客様と話す時間が好きというぶれない軸と、自分の人生を後悔したくないという思いがあったからではないかと感じました。これから美容師を目指す人はぜひ参考にしてみてくださいね!

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Salon Data

SUNVALLEY
住所:東京都港区南青山5-2-12 B1F
電話:03-6427-3807
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