産後に心機一転!本格的にヨガを学び直し、東京渋谷にスタジオをオープン【ヨガインストラクター 宮城由香さん】#2
東京渋谷区でヨガスタジオを運営しながら、休日は全国のイベントに飛び回る。一児の母でもある宮城由香さん。ダンスインストラクターからキャリが始まり、「仕事の幅が広がれば」という感覚でヨガインストラクターを取得。産後にヨガの学び直しを決意し、尊敬する先生との出会いにも恵まれました。
後編では、ヨガインストラクターが本業になった経緯と、スタジオ主宰への想い、家族のサポートなどについて伺います。
お話を伺ったのは…
ヨガインストラクター 宮城由香さん
15歳から独学でストリートダンスを始めて、高校卒業後はイベントやショー、TV、映画などに出演。若干20歳でダンスインストラクターとしての活動を始める。体のメンテナンスのため始めたヨガも指導者資格をとり、ヨガインストラクターとしての活動を開始。妊娠・出産を機に、本格的にヨガと向き合うようになりヨガに専念を決意。2023年に渋谷区代々木上原に「studio GOD」をオープン。
子供を保育園に入れることができず、2年間の休業状態に
――ご結婚後31歳で出産をします。この大きなライフイベントは、宮城さんの生活にも影響を与えましたか?
それはもう大きな転機でした! 当時は「待機児童」問題が一番大きかった時期で、子供を産んでも預けることができませんでした。特に私はフリーランスだったので、なかなか入ることができず。それに、もし保育園に入れたとしても、仕事と両立は難しいだろうということも知っていました。
――たしかに替えの効かないインストラクター業は、突発的に休むことが難しいですよね。
そうなんです。若い頃からインストラクターをしていて、そういう局面で困っている、ママインストラクターをたくさん見てきましたから、インストラクター業と育児の両立は無理ということを実感としてわかっていました。
――結局仕事復帰をあきらめて育児に専念したと。
はい、インストラクター業は2年ほど休みました。その間に娘はなんとか認証保育園に入れたのですが、とはいえインストラクター業はやはり大変な仕事。「インストラクターはもうやめて、アルバイトでもしようかな」と考えていました。
――そこからどうやって復帰に至るのですか?
きっかけは夫の言葉です。娘が保育園に行くようになって、まず夫が「仕事復帰した方がいいのではないか」と言いました。私のこれまでのキャリアや性格を考えて、外に出ることを促してくれたんですよね。
でも当時の私はすんなりと受け入れられず、「レッスン中に娘に熱が出たらどうするの?」「誰が迎えに行けるの?」と反論。夫は「できるだけ自分も協力するから」ということになり、私は「だったら中途半端になっていたヨガを学び直したい」という話をしました。
学び直し中にヨガインストラクターを再開
――ヨガをあらためて学ぼうと思ったのはどうしてですか?
20代で講師の資格をとった時、経験や練習を積まないままレッスンを始めたことが、すごく気になっていました。あと、子育てをしながら社会復帰するなら、ダンスではなくヨガインストラクターだと決めていたんです。体力的にも継続できるのはヨガの方だったので。
そこで今一度ヨガを深く学び直して、せっかくなら全米ヨガアライアンスRYT200の資格も取ろうと、再び学校に通い始めました。お金がかかるけれど今しかない、と思って退路を断つ気持ちで飛び込みました。
――仕事の幅が広がったのは、日本のヨガ第一人者であるケンハラクマ先生との出会いが大きかったそうですね。
はい。学校を卒業してさらにヨガを深めるためにケン先生のスタジオに練習に行っていた時です。ちょうどケン先生が新しくスタジオをオープンする準備をしているところで、「うちでインストラクターをしないか」と誘われました。
先生の素晴らしいところは、集客やレッスン方法については何も言わず、自身が一番ヨガを続け行動で教えてくださるところです。「生徒がこなかったら、その時間は練習していればいいじゃないか」と言ってくださるような方でした。
実際、デビューしてすぐの私は知名度がないので、生徒が1人ということもありました。そんな中で試行錯誤を繰り返しながらスキルを磨いていた期間は、本当に楽しく大きな財産になりました。
旦那さんとの二人三脚で念願のスタジオをオープン
――SNSを活用するようになったきっかけはありますか?
大きな挫折を経験したことが理由です。勤めていたスタジオで、私がインストラクターの有料イベントを開催することになりました。しかし、何も知らない私は特に自分から宣伝をしなかったんです。「参加者はスタジオ側が集めてくれるのかな」と楽観視していて。
それでいざ当日になったら、参加者はたったの2人。私のすぐ後に別の先生が行ったイベントにはたくさんの人がきていて。めちゃくちゃ悔しかったし、公開処刑の気持ちでした(笑)。
――そこで集客の大切さを学んだんですね。
はい。その教訓があるので、今の若いインストラクターにも「集客をしたければ普段からSNS を頑張った方がいい。誰かが勝手に見つけてくれるわけじゃない」ということを伝えています。
――スタジオへの所属をやめて、自分で行うようになった経緯は?
スタジオに所属している間も、ずっと月1ペースで自主開催ヨガをやっていて、だんだん生徒が集まるようになり、運よくお声がけをいただいてスタジオを運営させていただくことになりました。それが独り立ちをした経緯です。
そこから紆余曲折がありながら、2023年9月から渋谷区代々木上原にスタジオの場所を移し運営をしています。
――スタジオの運営には旦那様の支えも大きいそうですね。
はい。夫はウェブエンジニアの仕事をしているので、スタジオのホームページ作成や、YouTube動画の作成をしてくれています。私がSNSでこだわっているのは、再生数やバズることではなく、少ない人数でもいいので届けたい人に届くこと。
そうしてコツコツを続けてきた結果、再生数やそんなに多くはなくても、「YouTubeを見てきました」という生徒がとても多い。地味だけどコツコツ続けていて良かったな、と思っています。
あと夫は私のメンター的な存在でもあります。私が仕事のことなどで迷ったら、必ず彼に相談してアドバイスをもらいます。ヨガ業界に関係がないところにいるからこそ、フラットな視点で意見を言ってくれるんですよね。
――今後の展望はありますか?
studio GODを地方展開できたらいいな、と思っています。イベントで地方に行くたびに、私と想いを同じにしてくれている仲間が増えています。彼ら彼女らと一緒に、さまざまなエリアにスタジオを作って、ヨガ業界で働く人たちの環境をよくしていけたらいいですね。
後私自身もまだまだ勉強を続けて、一生プレーヤーでいたいと思っています。
宮城由香さんの成功の秘訣
1.楽しい、は最大の原動力
2.誰かの・何かの役に立つように行動する
3.自分に合わないこと・やりたくないこと・興味のないことは断るけれど、やりたいことに対して生まれるやりたくないこと・苦しいことは全力でやる
取材・文/皆川知子(tokiwa)
撮影/ワタナベミカ