あくまでも主軸はダンスインストラクター。ヨガインストラクターは最初は副業でした【ヨガインストラクター 宮城由香さん】#1
東京渋谷区でヨガスタジオを運営しながら、休日は全国のイベントに飛び回る、一児の母でもある宮城由香さん。20代はダンスインストラクターとして、スタジオからスタジオへと移動する目まぐるしい日々を送っていました。ヨガインストラクターになったきっかけは、疲弊した体のメンテナンスと、「仕事の幅が広がれば」という軽い気持ちからだったそう。
前編では、売れっ子ダンスインストラクターから、ヨガインストラクターと兼任するようになった理由、20代後半で抱いた将来への不安をお話しいただきます。
お話を伺ったのは…
ヨガインストラクター 宮城由香さん
15歳から独学でストリートダンスを始めて、高校卒業後はイベントやショー、TV、映画などに出演。若干20歳でダンスインストラクターとしての活動を始める。体のメンテナンスのため始めたヨガも指導者資格をとり、ヨガインストラクターとしての活動も開始。妊娠・出産を機に、本格的にヨガと向き合うようになりヨガに専念を決意。2023年に渋谷区代々木上原に「studio GOD」をオープン。
MIYAGI’S PROFILE
- お名前
- 宮城由香
- 出身地
- 東京
- 年齢
- 41歳
- 憧れの人
- 母
- プライベートの過ごし方
- 家のことをする・家族旅行・友人と飲みに行く
- 趣味・ハマっていること
- 格闘技観戦
ストリートダンスに魅了され無我夢中だった20代
――10代、20代はストリートダンスをされていたと伺いました。
はい。15歳でダンスに出会い、どっぷりハマっていました。美容師になりたいという夢もあったのですが、美容師の専門学校に通いながらダンスも続けることは性格的に無理と思い、親にお願いして1年間フリーターとしてダンスに専念させてもらいました。
――ダンスの学校に通うことはしなかったんですか?
当時はダンスの専門学校というものはあまり一般的ではなくて、独学で学んでいくのが普通だったんです。そうしているうちに、知り合いから「スポーツジムでダンスのインストラクターの空きがあるからやらないか」と誘われて、アルバイトをしながらダンスのインストラクターもするようになりました。
――20歳でもう先生ですか!
そうですね、ラッキーでした。ダンスインストラクターの仕事は私にすごく合っていたと思います。私は背が高く年の割に貫禄もあって(笑)、人に教えることも好きなんです。
あと勤務場所がスポーツジムだったので、受講者の年齢も幅広いし、初心者もたくさん。そういった方に、どうやったらダンスを楽しく思ってもらえるか、どうやったらわかりやすく伝えられるか、そんなことを考えながらレッスンを作っている工程も楽しかったです。
そして、少しずつ仕事が増えて、24、25歳の頃には掛け持ちしていたアルバイトを辞めてインストラクター1本で食べていけるようになっていました。
――その頃はすごくハードな毎日だったようですね。
はい。週に18〜20本のレッスンを受け持っていました。レッスン場所もバラバラなので、移動も大変です。楽しい反面、体力的なキツさも感じていました。
それで、体が壊れる前に何らかのメンテナンスをしなきゃ、という思いでヨガを始めたんです。
せっかくヨガを始めるなら講師の資格も取得しよう
――ヨガを習いながら、講師の資格も一緒にとったんですよね?
はい。「せっかくヨガを習うのなら教えられた方がいいよね」という安易な気持ちで始めました。お金を払って習う分、いつかこれを仕事にできて回収できたらいいな、と。インストラクターならではの発想というか(笑)。でも本当に最初はそのぐらい単純な気持ちでヨガを始めたんです。
――ヨガを始めてみていかがでしたか?
指導者養成コースでは、体の構造なども知れてとても勉強になりました。資格をとってからは、ヨガインストラクターの仕事も始めたのですが、生徒さんもダンスとは異なるタイプだったので、それもおもしろかったです。おじいちゃんおばあちゃんなど、ダンスでは会えないような方とのつながりも増えました。
――話を聞いていると、宮城さんは「仕事としてのヨガ」から入ったように見えます。
そもそもヨガインストラクターの資格をとったのは、ダンスのレッスンを少しずつ減らしていきたいな、という思いもあったんです。ダンスは大好きなのですが、とにかく当時はハードワークすぎて(笑)。毎日移動移動で、疲労骨折をしたこともありました。レッスンだけでなくショーなどにも出ていたので。
ダンスをやめた後に使える資格、という意味合いもあったと思います。
――なるほど。
ヨガインストラクターといっても、スポーツクラブでちょこっと教えている程度だったし、当時はヨガ業界のことやヨガイベントのことなど、何も知らなかったです。それが23歳、24歳の頃ですね。
自信がないままダンスとヨガのインストラクターを続けていた20代
――ダンスとヨガの2足の草鞋を履いた生活はどのくらい続きましたか?
30歳で妊娠していったん仕事を中断するまでですね。ダンスインストラクター6、ヨガインストラクター4ぐらいの割合で続けていました。
それなりに両立はできていたのですが、心の中ではずっと不安はありました。自分でわかるじゃないですか。練習も勉強も全然足りてないということが。
一方ダンスインストラクターの方も、年齢を重ねるうちに体への負担は大きくなってきて、「このまま続けられるのだろうか」と考え始めました。
――フリーランスだと将来への不安もあります。
そうですね。そのときは私が担当していた講座は、スポーツクラブでも人気の高い方だったのですが、集客が落ちるとバッサリ切られてしまう世界です。あとはインスタラクター業は、怪我や病気になったら、その瞬間から収入は絶たれてしまいます。
私は高校卒業してからずっとフリーランスで、一度も就職をしたことがなかったし、「なんてつぶしのきかない仕事を選んでしまったんだろう」と思ったこともありました。
そんな風に、28歳、29歳の頃は漠然とした不安を抱えていましたね。
取材・文/皆川知子(tokiwa)
撮影/ワタナベミカ