お客様の指摘に落ち込んだ日も。苦手なことにもトライして自分の裾野を広げた新人時代「egerie prime」千葉未来さん
東京・恵比寿に店舗を構える「egerie prime」は、「ヘッドスパ効果をライフスタイルの中に」がコンセプトの、心身共に癒されたい大人に人気のサロン。同店で活躍中なのが、スタイリストで店長も務める千葉未来さんです。
前編では、千葉さんの専門学校時代や、「egerie prime」への入社の決め手などのお話を伺いました。
後編では、千葉さんが新人時代にぶつかった壁について伺います。デビュー後、お客様から指摘を受けて、落ち込んだ経験もあったそう。しかしそのときの経験をバネに、「どんなカットもできるようになる!」と決意を新たにしたといいます。
今回、お話を伺ったのは…
「egerie prime」スタイリスト
千葉未来さん
新卒で「egerie prime」に入社し、今年で9年目。スタイリスト・店長・教育部責任者を務める。外部ではヘアメイクや講師としても活躍中。代表からは「会社愛やお客様愛は誰よりも強い」と評価されている。抜け感がありながら、今っぽいヘアスタイルの施術を得意とする。
「イメージと違う」お客様の指摘に落ち込んだことも
――入社後、接客面でご苦労されたことはありましたか?
私たちのサロンのメインターゲットは30~40代の大人女性。入社時はまだ20歳でお客様と年齢差があったので、接客のコツは先輩に教えてもらいましたね。
たとえば、会話の内容や敬語の正しい使い方を学ぶのはもちろんのこと、ターゲット層の方が日常的にどんなことに関心を持っているのか研究したり、普段よりも少しトーンを下げて話したりすることも意識していました。些細なことですが、とても大切なことだったように思います。
――技術面で壁を感じたことはありますか?
実はスタイリストとしてデビューした後、「カットのイメージが違った」とお客様を泣かせてしまったことがありました。
大切な髪のお手入れをさせていただいているのに、残念な思いをさせてしまったことが不甲斐なく、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。結果的に、もう一度詳しくご要望をお伺いして、その場でお直しをしてご納得いただけたのですが、すごく反省しましたね。
――その壁にぶつかった原因はどんなことにあったと思いますか?
私の技術に足りないところがあったのかなと思います。もちろん私もとてもがっかりしたのですが、落ち込むだけでは問題が解決できません。より練習の精度を高めて、どんなカットでも安心して任せてもらえるように精進しなくては、と思うようになりました。
――新人時代は、先輩から指摘をもらうことも多いと思います。どんな心持ちでアドバイスを受け止めるようにしていましたか?
新人時代から人間関係的にはとても恵まれていましたが、ときには厳しく指摘をいただくことも当然ありました。とくに、お客様が顔を上げたらすぐ席に飛んでいけるくらい、お客様の要望を察して、配慮するように、口酸っぱく指導してもらいましたね。
指導に対して、ときには「できない自分にモヤモヤする…」「悔しい!」と思うこともありましたが、今考えると先輩はすべて「お客様のため」を思って指摘してくださっていたんだと心から理解できます。せっかく私たちのサロンに来てくださるお客様に、プロとして恥ずかしくない技術や接客を提供するために必要なことを教えてもらいました。
フロアに出たらプロとしてふるまう
――当時はどんなことをモチベーションにしていましたか?
アシスタント時代から、サロンに来てくださるお客様が大好きなんです!「明日、あのお客様がいらっしゃるから、前回のお話の続きをしよう!」「今日は〇〇様がいらっしゃるのか!楽しみだな」といつも思っているくらい、当時からお客様に会えることがモチベーションになっていました。
――接客面ではどんなことを意識していらっしゃいますか?
お客様が、サロンの外でどんな日常を送っているのかを想像するように心掛けています。お仕事でお疲れなのか、朝はどんな風にスタイリングしているのか、サロンが終わったらおしゃれして街に出掛けるのかなど、細かく想像していますね。
たとえば少しお疲れ気味のようだったら、「シャンプーのときにマッサージをしてみようかな」とか、想像と工夫を凝らすように意識しています。お客様が喜んでくださっている姿を見ると、練習をしたり、ちょっと叱られて学んだことが生きているなと思えて、また頑張ろうと思えるんです。
――お客様の支持を得るために、意識していることがあれば教えてください。
「『egerie prime』に来たら新しい自分に出会える」と思ってもらえるように、新しいことを提案し続けることはずっと意識していますね。新しい提案をするためには、スタイルの勉強だけではなく、私自身が美容以外にもたくさんの経験をして、新しくいろんなことを感じることが大切だと思うんです。だから、人に会ったり、やったことのないことにチャレンジしたりすることを大切にしていますね。
あとは、馴れ合いにならないことも意識しています。私はお客様が大好きですが、あくまでお客様とスタイリストという立場だということは常に念頭に置いています。入社した当時から、フロアに立ったらプロとして振る舞うことをずっと叩き込んでいただいたので、その考えは新人時代からずっと大切にしています。
苦手なことにもトライしたから今がある
――新人時代の体験は、千葉さんにとってどんな学びになりましたか?
今振り返ると20代前半は、何事も選り好みせずトライして、自分のなかの経験を増やす時間だったと感じます。苦手なことや嫌なことにも進んでチャレンジしたことで、できることが増えて、今の私の糧になったという実感がありますね。ここからは、20代に広げた幅のなかから、自分の好きなものや得意なものを選び取って極めていくフェーズに入るのかなと思っています。
――最後に、今後美容師を目指す人にアドバイスをお願いします。
美容師という仕事は、職人的な側面と接客の2つの側面があります。技術を高めることはもちろん重要ですが、最後に残るのは結局、人間性なのかなと思うんですよね。自分を育ててくれる先輩や、一緒に働く仲間へのリスペクトと、サロンに来てくださるお客様への感謝の気持ちを忘れずにいることが大切だと思います。
千葉さんの新人時代が充実した3つのポイント
1.ナーバスなときも、落ち込むだけではなく前向きな行動を続けた
2.選り好みせず、どんなことにもチャレンジした
3.仲間やお客様へのリスペクトと感謝を大切にした
どんな状況でも前向きな気持ちで仕事に臨んだ千葉さん。苦手なことや辛いことからも逃げ出さずに努力を重ねたからこそ、今の活躍があるのだと感じた取材でした。これから美容師として活躍を目指す方は、参考にしてみてください。