ひとりひとりにカスタマイズした完全プライベートセラピーで差別化! 私の履歴書【Drops of YOGA 主宰 河本真由子さん】#2

前編に続いて、ヨガセラピストの河本真由子さんにお話を伺います。

前編では、膝を傷めてダンサーとしての道が断たれたこと、ワンオペ育児のなかでヨガインストラクターを選択した理由、ご自身の教室を開いたものの集客に苦労したことなどを語っていただきました。

後編ではコロナで生徒ゼロの状態からどうやって回復させたのか、クラスで教えるよりもワン・トゥー・ワンで生徒さんに向き合うことに意義を感じていること、ヨガの奥深さハマってさまさまな角度から学びを深めていることなどをご紹介します。

窮地を救ったのはコロナ前から始めていたオンラインレッスン

ヨガセラピスト。2017年にRYT200を取得。2021年にはE-RYT500を取得し、現在はRYT200の講師としても活躍。2024年には国際ヨガセラピスト協会認定資格も取得。現在は自宅を開放してヨガセラピーカウンセリングを実施している。

――コロナのときは外出もできなくて、「密になる」から集まることもできませんでしたよね。

そうなんです。せっかく予約をいれてくださっていても教室をクローズするしかなくて。お休みした月は収入がゼロになりました。

――ゼロになったものを取り戻すのにどうしましたか?

オンラインレッスンを続けていたのと、SNSで発信し続けたら次第に戻ってきました。ヨガに興味のある方はインスタグラムをチェックなさってますね。私のインスタをご覧になってコンタクトを取ってくださる方が多いです。

――オンラインの実績が生きてきたんですね。

そうですね。私が始めた当時は「あれはヨガじゃない」って言われましたが、今では当たり前のように受け入れられるようになりましたね。

自宅を開放して、「ヨギックケアセラピー」を実践

ご自宅の片隅にはマントラを唱えるときに使用するハーモニウム(中央)も。

――今はクラスで教えるだけではなくて、ワン・トゥー・ワンのセラピーもやっていらっしゃるんですね。

以前からひとりひとりに向き合ったヨガセラピーをやりたいと思っていたんです。グループレッスンだと、不調のある方がいても「あなたはこれがいい」ってアドバイスしにくい。その時々でちょっとしたアドバイスはできますが、じっくり話しにくいですよね。ワン・トゥー・ワンだったら、スタジオのように広いスペースじゃなくてもいいし。

――いつから自宅で教えるようになったんですか?

そろそろ5年目になります。前はスタジオを利用していましたが、どうせ引っ越すならヨガができるスペースのある家がいいと思って物件を探しました。

――それがここなんですね。

一軒家なのに玄関の他に謎の出入り口があって(笑)、教室を開くのにぴったりだったんです。家には庭もあるし、自然も残っていて町の雰囲気もいい。でも友だちからは「なんでそんな田舎に引っ越すんだ!?」って言われちゃいましたけど(笑)。

――ヨガセラピーってどんなことをなさるんですか?

私が大切にしているのは5つあります。1つは適切な運動。ヨガのポーズに限らず散歩や水泳など身体をきちんと動かすこと。2つ目は呼吸。ヨガは呼吸を大切にしています。普段の生活で呼吸が吸が浅くなっていないかチェックします。3つ目は食事。食事の内容だけじゃなくて時間や回数も大事なんですよ。人によって3回も食べなくていい場合もあれば5回に分けた方がいい方もいらっしゃるんです。

――食事は3回がいいって、思い込んでいました。

人によってまちまちなんですよ。食事の回数や時間を変えるだけで、体調が変わります。
4つ目はきちんとリラクゼーションできているか。健康になりたくて、普段の生活にあれこれプラスしている方が多い。実はマイナスした方がいい人が多いんです。5つ目がポジティブシンキングと瞑想です。ご自身の世界はその人の受け止め方や考え方でできあがっていて、それが生きづらさに繋がっていることがあります。無理に変えることはできませんが、「ヨガにはこういう考え方がありますよ」と伝えています。

――ポーズを教わるだけではないんですね。

まずカウンセリングで生活習慣や体調など今の状態を伺って、何か不調やケガしている部分があれば「生活の中で、ここを改善しましょう」といったアドバイスをします。

――みなさん、どのくらいのペースで通っていらっしゃるんですか?

月に1回のペースですね。おひとりおひとりに、家では毎日これをしてください、食事はこういう風にしてみてください、運動はこういう部分を気にしてくださいというプランを立ててお渡しします。家で1か月実践していただいて、翌月に変化を教えていただいて、また調整する…という内容です。

――オーダーメイドですね。

その方によって何もかもが違うので、オーダーメイドにならざるを得ないんです。セラピーを受けたい方は月1回ですが、身体を動かしたい方は週に1回のペースでいらっしゃってます。

――「ヨギックケアセラピー」というのは?

これは私の造語です。ヨガ哲学などを組み合わせたセラピーで、本気で身体の不調を改善したい方のためにメニューもプランも私が考えました。

ヨガの魅力にハマり、さまざまな資格を取得。今は講師としても活動

グリーンヨガフェスタ町田の参加者と。実行委員として、毎年レッスンを提供しているとか。

――ヨガに携わるようになって、今後はどんなことを考えていますか?

ワン・トゥー・ワンのセラピーもできるようになって、ずっとやりたかったことはできていますね。今はこのセラピーを受ける人がもっと増えてくれればいいな、と思っています。あとはやり方でしょうか。改善できることがあれば、どんどん変えていきたいと思っています

――課題は何かあるんですか?

セラピーを受けた方に、「1ヶ月間、これをやってください」って言っても、熱心に続けられるのは2週間位なんですよね。そのうち普段の生活に戻っちゃう(笑)。どうしたら続けていただけるのかが課題です(笑)。

――セラピーを受けて、みなさんどんな変化があるんですか?

慢性的な不調がおさまったとか、薬に頼らなくても眠れるようになったとか。ヨガで自分自身を見つめ直すことで、不調の原因に気づくのかもしれませんね。

――河本さんのプロフィールを拝見すると、どんどん資格が増えていますが…

自分が知らないことは知りたいし、セラピーをしていても「自分はまだ、この部分の理解が足りていない」と感じたら勉強したくなります。ヨガセラピーにしてもヨガそのものも終わりがないので(笑)。

――辞めたいと思ったことはありませんか?

ヨガで食べていくことに関しては「キツいな」と思うところは正直ありますが(笑)、ヨガを辞めようと思ったことはありません。ヨガの考え方が好きなので。

――学びを深めていく中で、河本さんご自身変わりましたか?

ヨガを始めてから「性格が丸くなった」ってよく言われます。以前はカッとなりやすかったし、人に対して怒ったり、ケンカしたりしていましたよ(笑)。ヘンな正義感が強くて自分が正論だと思ったら何を言ってもかまわない、と思っていました。

――そんな風に見えません。

ヨガを学んでから、ひとりひとりが自分と同じように大切な存在なんだと気づかされました。表現とか考え方とか、それぞれの違いを受け入れられるようになりました。

――最後に。これからインストラクターを目指している人にアドバイスをお願いします。

とにかく諦めないこと。これが大事です。

河本さん流! 成功の秘訣

1.分からないことはそのままにせず、常に学ぶ姿勢を持ち続けること

2.SNSやインスタグラムで情報を発信し続けること

3.ひとりひとりの違いと向き合い、大切な存在であることを意識すること

撮影/森 浩司

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