ワンオペ育児で資格を取る。その選択が「ヨガインストラクター」 私の履歴書【Drops of YOGA 主宰 河本真由子さん】#1
ずっと思い描いていた道を突き進む人もいれば、さまざまな出会いを通して道を究める方もいます。
今回、ご登場いただくDrops of YOGAを主宰するヨガセラピストの河本真由子さんはまさに後者。さまざまな出会いを通して、少しずつ着実にヨガの奥義を深めていったそうです。
前編では、膝を傷めてダンサーとしての道が断たれたこと、ワンオペ育児のなかでヨガインストラクターを選択した理由、ご自身の教室を開いたものの集客に苦労したことなどを語っていただきました。
KAWAMOTO’S PROFILE
お名前 |
河本真由子 |
---|---|
出身地 |
大阪府 |
年齢 |
43歳 |
出身学校 |
早稲田大学人間科学部 中途退学 |
憧れの人 |
樹木希林さん |
プライベートの過ごし方 |
海や森でぼんやりするのが最高の時間 |
趣味・ハマっていること |
映画を観ること |
仕事道具へのこだわりがあれば |
いいものと長く付き合いたいので質を最大限に重視 |
膝を傷め、ダンサーを続けることを断念

ヨガセラピスト。2017年にRYT200を取得。2021年にはE-RYT500を取得し、現在はRYT200の講師としても活躍。2024年には国際ヨガセラピスト協会認定資格も取得。現在は自宅を開放してヨガセラピーカウンセリングを実施している。
――ヨガのインストラクターになるきっかけは何ですか?
もともとダンスをやっていて、舞台で踊ったり子どもたちに教えたりしていました。そんな経験から身体を動かすことで仕事にできる資格を取りたいと思ったのがきっかけです。
――ダンスをやっていらしたんですか。それは何歳くらいから?
小学生の頃にジャズダンスを習ったのが最初です。それからしばらくお休みしていたんですが、大学入学を機に上京してからダンス熱が再燃してダンススクールに通うようになりました。
――どんなジャンルのダンスですか?
ヒップホップとかブレイキンもやるしハウスも。あらゆるジャンルのダンスを踊っていました。
――舞台に立つほどの実力があったのに、なぜヨガの道へ?
膝を傷めてしまったんです。年を重ねて「このままずっとダンサーとしてやっていけるのか」ということも考えたとき、ちょっと難しいかもなぁという想いもありました。
――でも、お子さんたちに指導していたんですよね? 指導者であればずっと続けられそうですが。
振り付けを考えて子どもたちに教えるより、自分で踊る方が楽しい…って感じていたんです。それに子どもたちに指導するのは自分に向いていないな、とも思っていたので(笑)。
子育てしながら資格が取れる「ヨガインストラクター」を選択

――ヨガには前々から興味があったんですか?
今から10年近く前にヨガが流行り始めて、周りの友人たちも習い始めていました。私は下の子が1歳になる前にベビーヨガを受けた程度でしたね。
――その体験からハマったというワケではない?
実は下の子が1歳のときに離婚しまして、二人の子どもを抱えて仕事をしなくてはならない状況にありました。資格を取りたいと思っても、子育てしながらだと学校に通うのは難しい。となると何がいいか…と探したときに見つけたのがヨガのインストラクターだったんです。
――なるほど!
私の実家は大阪なので親を頼ることもできません。鍼灸師の道も考えましたが、2~3年かけて学校に通って、なんていうのは無理だと諦めました。
――でも、インストラクターになるにも教室に通わなくてはいけませんよね?
平日は在宅でパソコンで事務やデータ入力の仕事をして、土曜と日曜にスタジオへ通って勉強しました。とにかく早く資格が欲しかったので3か月で修了しました。
――そうですよね。
インストラクターを養成する講座とはいえ、受講してみて「やっぱり私には無理かも」ってためらう方もいました。でも、私は生活がかかっていたので失敗できないし、何が何でもインストラクターになる!って決めていたので迷いはありませんでした。
ようやく軌道にのったのもつかの間、コロナ禍で生徒ゼロに!

――ダンスの経験がヨガに役立ったことはありますか?
ダンスをやっていたとき、準備運動にヨガの動きを取り入れていたので「あぁ、このポーズは見たことがある」というのがいくつかあったこと。あとはダンスの振り付けを覚えるような感覚で、早くポーズが覚えられたことですね。
――逆にダンスの経験が邪魔になったことは?
ダンスって人に見せる動きですよね。でもヨガは自分の内面と向き合うもの。そのギャップが大きかったですね。スタジオに鏡があると、つい見ちゃうじゃないですか。ダンスだと一番カッコいいところを見せようとしますが、ヨガは違います。鏡があると身体のブレなどを確認したくなりますよね。でも見続けていると、鏡を見ないと自分自身の力でブレを調整できなくなってしまうんです。あとはヨガとダンスは身体の動かし方がぜんぜん違うことですね。ポーズを組み立てるときに混乱することがありました。
――当時の河本さんはヨガの経験がゼロに近かったですよね。困ったことは?
ヨガでは常識と思われていることがまったく分からなかったことですね(笑)。例えば、「これはリラックスのポーズ」と教わっても、私はリラックスできなくてキツいとしか感じられなかったり(笑)。このポーズとこのポーズを組み合わせると流れがスムーズになるっていうのが分からなかったり。あとは、ヨガの世界ではとても有名な方なのに、まったく存じ上げない(笑)というのもありました。
――何でも慣れるまでは大変ですが、実際に教えるときに緊張しませんでしたか?
私が通っていたスクールでは、講習を受けながら「インターン」という形で1時間枠がもらえて、生徒さんたちに教えることができたんです。生徒さんたちは無料なのかワンコイン程度の金額なのかは分かりませんが、参加する生徒さんを集めなくても、実践の機会を作ってもらえたのは助かりました。
――最初の教室はどこで?
自宅の近くに新しくスタジオができて、そこで3つくらいクラスを受け持ちました。あとは自主開催で公民館を借りたり、オンラインでレッスンしたりしていました。2017年当時は、「オンラインでヨガ!? そんなのヨガじゃない!」なんて言われていました(笑)。
――今ではオンラインのレッスンはごく普通になっていますよね。
私が利用していたのは英会話がメインのサイトだったんですが、その中にフィットネスのジャンルもあって、そこに参加していました。早く収入を上げたかったので、毎日のように配信していたんですよ。子どもが幼稚園に行っている間を利用して、空いている時間はすべてレッスンで埋める感じでしたね(笑)。
――生徒を集めるのは大変だったでしょう?
せっかくレッスン内容を考えてスタジオに行っても、生徒さんがゼロという日もありました。そんなときはスタジオの近辺を歩いている人たちにチラシを配っていましたね。「体験ヨガやりませんか。今なら500円ですよ」って言いながら。
――やっぱり地道な努力が必要なんですね。
少しずつ生徒さんが増えてきて、ようやく軌道にのったところで、コロナです。スタジオでのレッスンはすべてキャンセルになって、収入がゼロになってしまいました。あの時期は、今までの中で最大のピンチですね。
ヨガインストラクターの資格を取り、少しずつ生徒さんも集まってきたところでコロナ禍に巻き込まれた河本さん。
後編ではコロナで生徒ゼロの状態からどうやって回復させたのか、ヨガの奥深さハマってさまさまな角度から学びを深めていること、クラスで教えるよりもワン・トゥー・ワンで生徒さんに向き合うことに意義を感じていることなどをご紹介します。
撮影/森 浩司
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