高校生、美容室アルバイト、専門学校生の三足の草鞋を履き、技術習得に努めた新人時代「Bamboo Hair Club常盤平店」西賢悟さん
千葉県に2店舗を構える「Bamboo Hair Club」は、2店舗で年商1億円を売り上げ、リピーターで予約枠が埋まる「予約の取れない」人気サロン。西賢悟さんは同店でスタイリストとして活躍中です。
技術職に就いていた祖父の背中と、自身が通っていたサロンの美容師さんの姿に憧れ、小学生ながら美容師を志した西さん。手先の器用さに自信がなかった西さんは、高校に通いながら「Bamboo Hair Club」の門をたたきました。学生とアルバイト、そして通信の専門学校生の3つの草鞋を履きながら、技術習得に精を出したと言います。
今回、お話を伺ったのは…
「Bamboo Hair Club常盤平店」スタイリスト
西賢悟さん
スタイリスト歴7年目。高校時代にアルバイトで「Bamboo Hair Club」に入社。ブローしなくても形がきれいに決まるショートとボブのカットを得意とする。自宅でも再現しやすいスタイルが多くの顧客の支持を集めている。
技術職と美容の世界に憧れて美容師の世界へ!

「定年を超えても人に求められる仕事をした祖父と、美容師さんのかっこいい姿に憧れてこの世界に入りました」という西さん
――西さんが美容師を目指したきっかけを教えてください。
美容師を目指したのにはふたつの理由があります。ひとつは、78歳まで現役で鉄塔工事に従事していた祖父の背中に憧れ、技術職に就きたいと思ったこと。一般的に定年と呼ばれる年齢を超えても、技術があれば人の役に立つことができるということを、とてもかっこよく思ったんです。
ふたつ目は、小学校2年生のころからお世話になっていた美容師さんに憧れたことです。とてもスマートなスタイルや立ち振る舞いが幼心にかっこよく見え、小学生のころから「大人になったら美容関係の技術職に就く」と決めていました。
――美容師を目指すにあたって、どのような進路を歩みましたか?
僕は手先が不器用なため、人よりも早く美容の練習をしようと、高校時代に「Bamboo Hair Club常盤平店」の門をたたきました。実は当時、「Bamboo Hair Club」ではアルバイトの採用を行っていませんでした。しかし「部活をやめて、美容師を目指したい」と直談判した私の熱意を買ってくださったのか、採用してもらうことになったんです。
高校生、美容室アルバイト、専門学校生の三足の草鞋で技術を習得

「大変なときもありましたが、持ち前の負けん気で乗り越えました」と話す西さん
――高校時代から美容に携わっていたんですね。
はい。採用の条件として、オーナーから通信の美容専門学校に通うよう言われたため、高校2年生からは高校生とアルバイト、そして通信の専門学校生という三足の草鞋を履くことに。専門学校は年に14日しかスクーリングがなかったため、時折、高校を休んでスクーリングし、なんとか両立をすることができました。
当時はまだ資格を持っていなかったため、アルバイト中は受付や片付け、施術の準備などを学んでいました。
――ハードな生活だったと思いますが、どんなことがモチベーションにつながっていましたか?
「とにかく早く美容師になりたい」という一心でしたね。今振り返ると、自分のことで精一杯で、周りを見る余裕もあまりなかったように感じます。「早く仕事を覚えて、一人前にならなくては」という気持ちで毎日を過ごしていました。
年が近い先輩たちは指導がとても丁寧で、気さくに相談に乗ってくれる方ばかり。環境に恵まれていたと感じます。
シャンプーをマスターするのに半年!技術の奥深さに驚きを感じた新人時代

「最初にぶつかった壁は3種類のシャンプー台を使いこなすことでした」と話す西さん
――その後はどんな進路を?
高校卒業後は、晴れて社員として「Bamboo Hair Club」に入社することができました。不器用で未経験の高校生だった僕の熱意を買ってくださったお店に恩があったので、他店への就職は一切考えませんでした。
お店ではアシスタント業務に入りながら、専門学校のカリキュラムやスクーリングをこなす1年間を過ごし、無事、国家試験に合格。そのときは喜びもひとしおでしたね。
――アシスタント業務で印象に残っていることを教えてください。
シャンプーの難しさが印象に残っています。「Bamboo Hair Club」では、一般的なもの、ヘッドスパ用、妊婦さんにも優しい体がまっすぐにならないものと3種類のシャンプー台を使い分けていました。シャンプーのマスターだけで半年かかりました。
お客様が濡れないように、洗い残しがないようになど、気を遣うところが多く、はじめはドキドキしながら練習をしていました。洗いのリズムや強弱の付け方にも工夫があることを知ったときは、その奥深さに驚きましたね。
習得までに長い時間がかかりましたが、「絶対に先輩に技術を認めてもらう!」という持ち前の負けん気で練習を乗り切りました。
西さんが大切にした新人時代の3つの心構え
1.自分の技術を過信せず、常に技術向上に努めた
2.理想を叶えるために学生、アルバイト、専門学校生を並行した
3.持ち前の負けん気で、長く厳しい練習を乗り越えた
後編では、デビューを迎えるまでに西さんがぶつかった壁とその乗り越え方について伺います。カットという最大の壁にぶつかり、技術習得に苦戦したという西さん。50人ものモデルの施術をこなした後、スタイリスト試験を3回受けて晴れて夢のスタイリストデビューを果たしたそう。後編もお楽しみに!