「楽しい」という自分の気持ちに、もっと素直になっていい 私の履歴書 【ネイリスト MATOさん】#2
都心ながら緑も豊かな東京・代官山にあるアイブロウ&アイラッシュとネイルのサロン「howpe(ハウプ)」。MATOさんは、2024年秋に開業した新進気鋭のサロンに所属するネイリストです。MATOさんが表現する個性あふれるファッショナブルなネイルは、美容感度の高い大人の女性たちを中心に熱い支持を集めています。
前編では、そんなMATOさんがスタイリストからネイリストへ転向し、ネイルサロン「NICOnail(ニコネイル)」でキャリアを積み上げていく様子をお話しいただきました。後編では、ネイリストとしての働き方を再考し活躍の舞台を移した経緯や、MATOさんの仕事観について伺います。
ターニングポイントその2。共感できる仲間と働き方に出会う

――NICOnailでのネイリスト時代は、サロンワークに加え新店舗のサブマネージャーや自社ネイルスクールの講師と、多岐にわたりご活躍されていましたね。
そうですね。次から次へといろんな経験をさせていただきながらバリバリ働いて、充実していました。しかし、だんだんと今後の働き方についても見つめ直すようになっていったんです。
――どういうことでしょうか?
1人1人のお客様との時間を大切にしながら、もっと自分のペースで楽しく働きたいと思うようになっていったんです。忙しいのはありがたいことですが、毎日が目まぐるしくて楽しむ余裕がない時もありました。
また、お付き合いしていた方と結婚が決まっていたこともあり、将来出産や子育てなどをするとなった場合のライフステージの変化に合わせて、独立することも視野に入れ始めていました。
アイリストのMAIさんから、現在のサロンへの移籍のお話をいただいたのは、そんな思いを抱いていた時期のことです。
――MAIさんとの出会いがきっかけですか?
元々、MAIさんは私の姉の友人でした。姉を通じて知り合い、私はMAIさんにアイブロウやアイラッシュの施術を、MAIさんは私にネイルを頼むようになり、お互いがお客様でもあったんです。施術時間中を含め、仕事の話からプライベートなことまでお互いにいろんな話をしました。
そのうちに、MAIさんから「アイブロウ&アイラッシュのサロンを作りたい。もし実現できたら、ネイルも取り入れたい」といった話が出てきたんです。「MAIさんと一緒に働けたら素敵だろうな」と思いながらお話を聞いていましたが、なんと後日、正式にオファーをいただきました。その時お話ししたことが決め手となって、転職を決意しました。
――どんなことをお話しされましたか?
オファーをいただいたことをきっかけに、先ほど話したような自分が望む働き方についても話したんです。そうしたらMAIさんは「働くことって、もっと自由でいいんじゃない? 楽しさを追求していいんだよ」と共感してくださいました。そして同時に「だけど、そういった自由な働き方ができるお店って、現状ほとんどないよね。私はそういうお店を作りたい」とも話してくださったんです。
MAIさんと働けたら素敵だとは考えていましたが、これを聞いた瞬間「MAIさんとなら、何かやってみたい!」という気持ちに変わりました。
NICOnailにはネイリストとして育ててももらったし、たくさんお世話になった、とてもいい会社です。しかし、今後の自分の働き方を改めて考えて、MAIさんの手を取ることに決めました。
そこから、MAIさんと1年ほどかけて場所探しも含め準備して、2024年9月末、今の場所に「howpe」をオープン。前職で新店舗の立ち上げに携わっていた経験が、ここで役に立ちました! オープンとほぼ同時期に、入籍もしています。


1人のネイリスト・MATOとして

――MATOさんといえば、Instagramのフィードにも並んでいるようなアーティスティックなデザインやポップでファッショナブルなデザインなど、一風変わったネイルが印象的ですよね。そのセンスの源はどこから来るのでしょうか?
インプットについては、特にこれといって決まったものはないですね。ネイルアートって、とても自由だと思うんです。強いていうなら、Instagramで情報収集したり、お客様が持ってきてくださった画像などを元にして施術することも多いかな。
あとは、ネイルの商材を調べるのが好きです。常にアンテナを張って、新しい商材を見つけたら積極的に試すようにしていますね。やってみたいアートから逆算して材料を取り入れることもあるので、ネイルの用途じゃないものをあえて使ってみることもあります。東急ハンズなんかにも、よく足を運びますよ。
また、ネイルというとやはりデザインに目が行きがちですが、私の強みは他にもあるんです。
――と、おっしゃいますと?
私、施術時間がめちゃくちゃ早いんです。NICOnail時代になりますが、当時、60分でワンカラーなどの簡単なデザインをオフやケアも込みで行う、といったクイックコースがあったんです。1年目は特にタイムを意識して施術していたら、そのうちに速度がかなり上がってしまって。スタイリスト時代、現場で無駄のないテキパキとした動きを身につけていたことも役立っているかもしれません。今ではさらに施術の幅が広がり、60分でマグネットやミラーデザインのネイルに加え、簡単なアートまでできるようになりました。
――すごいですね!? 60分でオフやケアも込みだと、通常はクリアくらいまでしかできない印象です。
そうですよね。これはスタッフやお客様からも「前後の予定が立てやすい」「他では断られた施術も、ここでは時間内にやってもらえた」などと喜ばれることが多く、とても好評です。仕事の休憩時間中や、お子様の習い事の合間にお越しくださるお客様もいらっしゃいます。
前職で身につけたこのスキルは私の武器だと思ったので、こちらのサロンでも60分コースは絶対に作ろうと思っていました。

――そんなMATOさんが、ネイリストとして最も心がけていることって何でしょう?
ネイリストに限らないかもしれませんが、コミュニケーションに尽きます。お客様に対しても、スタッフに対しても。
施術中のお客様はスマートフォンすら触れないし、担当のネイリストと1対1の空間。デザインを決めずに来店されるお客様も多いので、会話から汲み取って提案したり、デザインに反映したりしなければならない時もあります。ネイリストの人柄って実はとても重要で、お客様からもかなり見られている部分なんです。
だからこそ、トーク力を磨くのはとても大切です。「ハートキャッチ話」と言いますか、すべらない話を用意しておくようにしています。元々自分の話で人を笑わせるのが好きなのですが、最近あったおもしろかったことなど、クスッと笑える話を意識して持っておくのは何かと役に立ちます。
スタッフ――MAIさんやもう一人のアイリストの方とは、何でも話すようにすることかな。仕事のことからプライベートなことまで、面白い話から悩んでいることまで、とにかく腹を割って何でも話しています。信頼関係って、くだらないことでも真剣な話でも、きちんと対話を積み重ねることで築かれていくと思うので。
人と関わりその関係性を育てていける、ネイリストって楽しい仕事

――今後の展望はありますか?
「ネイリスト・MATOといえば」というような、自分の代名詞とみたいなものを作りたいです。器用なのでオールジャンル幅広く対応できてしまうのですが、この人といえば、といったものが私にはまだない気がして。それはアートやデザインの面でも、技術面や接客面でも何でもいいのですが、これからも模索していきたいと思っています。
――これから美容業界を目指す方へ、アドバイスがあればお願いします!
自分の中にある「楽しそうセンサー」を大切にしてほしいです! 「これ楽しそうだな」というようなワクワクする感覚に、もっと素直になっていいと思います。一回きりの人生なので、今しかできないことを思い切ってやってみてください。
また、気持ちにも鮮度があります。「今だ!」というタイミングをしっかり掴むことはもちろんですが、同時にそのための準備も大切です。何かを始めたい時にお金がなくてできないことが嫌だったので、私はネイルスクールの費用を貯めていました。
――MATOさんにとって「働く」とは何ですか?
「人と関わるためのもの」であることと、「楽しむこと」です。
私はとてもおしゃべりで、とにかく人と話すのが大好き。そんな私はネイルの施術を通じて、日頃からたくさんの人と話すことができています。施術中のお客様とは必然的に直接的なコミュニケーションになりますが、緊張するどころか毎回とても楽しいんです。
また、ネイルの施術とは定期的に繰り返し行うもの。それなりの頻度で会っていると、お互いにいろんな話をするようになっていきます。お客様との関係性を育てていけるところも、ネイリストの仕事の好きなところですね!
MATOさんの成功の秘訣
1. きっかけを掴むための準備を怠らないこと
2. 「楽しい」気持ちをはじめ、自分の心に素直になること
3. ネイルアートやコミュニケーションに対する柔軟性
撮影/内田 龍
取材・文/勝島春奈
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