歯科衛生士の仕事内容とは?歯科医師や歯科助手との違いやおもな就職先・魅力を紹介

歯科衛生士は口腔ケアのプロとして、虫歯や歯周病の予防や、歯科疾患につながる生活習慣を改善するために指導を行う専門職です。子どもから高齢者まで、幅広い世代の口腔内の健康をサポートしています。

この記事では、そんな歯科衛生士の仕事内容について詳しく紹介。共に働く歯科医師・歯科助手との違いやおもな就職先とあわせて、給料や歯科衛生士の魅力・やりがいについても見ていきましょう。

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歯科衛生士の仕事内容とは?

歯科衛生士は、歯科疾患の予防および口腔衛生の向上を図ることを目的とした国家資格を持つ専門職です。おもに歯科予防措置・歯科診療補助・歯科保健指導の3つを担い、人々が会話を楽しんだり、自分の歯で食事をしたりといった健やかな生活を送れるよう支えています。

近年、口腔内の健康が全身の健康にも影響を与えることが明らかとなり、歯科衛生士という職業の重要性はより高まっているのです。

引用元
厚生労働省|歯科衛生士法(◆昭和23年07月30日法律第204号)

歯科衛生士のなり方については、以下の記事で詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。

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歯科衛生士になるには?免許を取得するまでのルートや費用・国家試験の概要を紹介

1. 歯科予防措置|歯石の除去やフッ素塗布など

口腔内の健康を損なう大きな原因となるのが、虫歯や歯周病です。歯科衛生士はその二大疾患を防ぐため、歯石や歯垢の除去、フッ素化合物などの薬剤を塗布といった予防措置を行います。

予防措置では、口腔内でトラブルが起きる前に最適なケアをするのが特徴です。専用機器や知識・スキルを活用して、患者の口腔内を清潔に保ちます。

2. 歯科診療補助

歯科衛生士は、診療がスムーズに進むように歯科医師をサポートし、ときには歯科医師の指示に従って治療の一部を担当します。その業務は多岐にわたるのが特徴です。

具体的には、以下のような診療補助を行います。
・器具や薬剤の準備・片付け・受け渡し
・バキュームによる唾液の吸引
・ライトの照射
・石膏の練和
・概形印象採得(歯並びの確認や治療後の経過を観察するための型取り)
・表面麻酔の塗布
・詰め物の研磨
・仮歯の装着や調整
・ホワイトニング
・歯周ポケットの検査
・レントゲン撮影の準備 など

また、診療中の患者の様子を観察し、疑問を聞いたり緊張を和らげたりしながら、歯科医師と患者が信頼関係を築くためのサポート役も担います。真摯な姿勢で患者と向き合い、不安を汲み取ることが大切です。

3. 歯科保健指導

虫歯や歯周病は、普段の食生活やセルフケアに起因する生活習慣病です。その生活習慣を改善するために、歯科衛生士は専門的な立場として患者に助言や指導を行います。歯の正しい磨き方やフロス、歯間ブラシの使い方だけでなく、間食や食事の取り方もその対象です。

来院した患者への指導はもちろん、幼稚園や学校、介護施設などを訪問して指導することもあります。

とくに介護施設では、歯磨きなどの指導以外にも、食べ物を力強く噛んだり、きちんと飲み込んだりするための機能訓練を担うことも。さらに、介護スタッフへの指導も実施します。

歯科衛生士は子どもから高齢者まで、健康な人もそうでない人も含めて、多くの人の健康維持に貢献しているのです。

歯科衛生士の1日の流れ

仕事内容を理解したところで、歯科医院で働く歯科衛生士の1日の仕事の流れについて、一例を見ていきましょう。

8:30

出勤

着替え

器具や機材の準備・洗濯・院内掃除など(ほかのスタッフと分担)

ミーティング(予約状況の確認・来院予定患者のカルテの確認・情報共有)

9:00

午前診療開始

歯科検診やクリーニング・診療補助など予約や患者に応じた仕事

12:00

午前診療終了

休憩

15:00

午後診療開始

歯科検診やクリーニング・診療補助など予約や患者に応じた仕事

18:00

午後診療終了

片付け

清掃 など

18:30

退勤

歯科医院では、午前は高齢者の患者が多く、午後は子どもや仕事帰りの患者が増える傾向です。午前診療が長引くこともあるため、休憩時間は長めに設定されています。また、診療時間が過ぎても、診療が長引いたり急患などで残業になることも。

なお、歯科助手がいない歯科医院では、歯科衛生士が受付や会計、カルテの整理などを担当するケースも少なくありません。

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歯科衛生士と歯科医師・歯科助手との違いは?

歯科衛生士は、歯科医師や歯科助手と協力する場面が多々あります。しかし、それぞれの業務範囲には明確な違いがあり、診療で担当できる範囲は「歯科医師>歯科衛生士>歯科助手」です。

以下では、歯科医師にできて歯科衛生士にできないことと、歯科衛生士にできて歯科助手にできないことを紹介します。

歯科医師にできて歯科衛生士にできないこと

絶対的歯科医行為と呼ばれる業務は、歯科医師のみ認められているため、歯科衛生士が行うことはできません。

絶対的歯科医行為とは、次のような行為です。
・歯を削る
・歯や神経を抜く
・被せ物や詰め物を装着する
・麻酔注射を打つ
・精密印象採得(被せ物・詰め物・入れ歯を作るための型取り)
・咬合採得(模型作成に用いられる歯の噛み合わせの記録)
・レントゲン撮影 など

また、表面麻酔の塗布や歯石除去などの「相対的歯科医行為」も、歯科医師の指示がなければできません。

歯科衛生士にできて歯科助手にできないこと

歯科衛生士は、国家資格を有する医療専門職として、患者の口腔内に直接触れて処置を行うことが認められています。一方、資格が不要な歯科助手は、患者の口腔内に触れることができません。また、専門知識がないため、保健指導もNGです。

歯科助手が担当できるのは、器具の準備や片付け、消毒、ライトの照射、バキューム操作、患者の案内など、口腔内に触れない業務のサポートに限られています。

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歯科衛生士と歯科助手の違いとは?仕事内容・必要資格・平均収入などを徹底比較

歯科衛生士のおもな就職先とそれぞれの特徴

令和4年衛生行政報告例によると、歯科衛生士のおもな就職先は歯科医院です。歯科衛生士として働いている145,183人のうち、130,806人が診療所(歯科医院)に勤務しており、全体の約90%を占めています。

次いで病院勤務は7,460人、市町村勤務が1,987人、歯科衛生士養成校職員が1,768人、介護保険施設等で働く人が1,370人です。また、保健所・事業所・都道府県などに勤める歯科衛生士もいるなど、活躍の場は多岐にわたります。

職場によって求められるスキルや業務内容が異なるため、自分の適性に合った環境を見つけることが大切です。

引用元
厚生労働省|令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況
厚生労働省|2 就業歯科衛生士・歯科技工士及び歯科技工所

歯科医院で働く歯科衛生士の特徴

歯科医院は、予防に力を入れるところが増えており、歯科衛生士が予防措置や保健指導を担当します。予防措置や保健指導専用のユニットを設けている歯科医院もあるようです。

小児歯科では、虫歯治療のサポートやクリーニング、フッ素の塗布などを担当します。また、歯の生え方や嚙み合わせ、歯肉の状態もチェックし、口腔マッサージをおこなうことも。子どもの年齢や発育を考慮し、感情を汲み取るといった対応力が必要です。

信頼関係を築くため、小児に限らず丁寧なコミュニケーションが重視される現場といえます。

病院で働く歯科衛生士の特徴

病院や大学病院の歯科では、一般の歯科医院では治療できない難しい症例のサポートを担当することが多いため、高いレベルの知識や技術が求められます。

また、外来だけでなく、病棟の患者の口腔ケアを任されることもあり、歯科医師・担当医・看護師などとの連携も必要です。歯科疾患に留まらず、全身疾患を抱える患者の対応に携わる機会も多いでしょう。

市町村や保健所など自治体で働く歯科衛生士の特徴

自治体では口腔ケアの専門家として、地域住民の歯科健診や健康指導などの予防に重きを置いた仕事が中心で、地域全体の口腔衛生の向上を支える大切な役割を担います。

その他の保健業務に携わる場合は、保健師や医師、歯科医師、社会福祉士などと連携を取りながら行うことが多いです。

歯科衛生士養成校で働く歯科衛生士の特徴

歯科衛生士養成校では、教員として学生向けの講義や指導を行い、次世代の歯科衛生士の育成に貢献します。進路や就職活動の相談に乗るなど、教員ならではの仕事もあるのが特徴です。

介護保険施設等で働く歯科衛生士の特徴

介護施設などで働く歯科衛生士は、おもに高齢者の口腔ケアを担当します。具体的には、口腔内のクリーニングや歯磨き、入れ歯の洗浄などです。

また、誤嚥防止のために、食べ方や飲み方を高齢者に直接指導するだけでなく、介護士にもケア方法を指導しています。

対象者が介護を必要とする人であるため、介護福祉の知識が必要です。

歯科衛生士の給料

厚生労働省が運営する「job tag」によると、歯科衛生士の平均年収は405.6万円。しかし、地域によってその額は大きく異なる点には注意が必要です。

データ提示のない鳥取県・岡山県・香川県を除いて、最も低い青森県では299.6万円、最も高い和歌山県では636.9万円と、300万円以上の開きがあります。

青森県の歯科衛生士の平均年齢は、資格を取ってまだ間もない25.1歳であるのに対し、和歌山県の歯科衛生士の平均年齢は48.5歳と、ベテランが多め。歯科衛生士全体の平均年齢が35.9歳であることも加味すると、経験や医療環境の違いが収入に影響していると考えられます。

年代別の所定内給与額は、0年で25.5万円、1~4年が約28万円、5~9年は約29.5万円となっており、10年目以降は29万円台です。経験に応じて、安定した収入が見込めます。

引用元
job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))|歯科衛生士 - 職業詳細

歯科衛生士の魅力・やりがい

歯科衛生士は高い専門性を活かし、患者の口腔内の健康を支えるというやりがいがある職業です。ここでは、そんな歯科衛生士の魅力ややりがいをさらに詳しく見ていきましょう。

専門性の高い国家資格である

歯科衛生士はその専門性を認められた国家資格職なので、一度取得すれば長く働くことができます。学んだ知識や技術をずっと活かせるのも、魅力と言えるでしょう。

また、医療系の国家資格として社会的信用も高く、安定した収入が得やすい点もメリットです。

多くの人の健康に貢献できる

歯科衛生士の仕事は、患者の口腔内の健康を支え、さらには全身の健康維持にも貢献できます。子どもから高齢者まで、幅広い世代の人々の役に立てることにやりがいを感じている歯科衛生士も多いです。

感謝される仕事である

歯科衛生士は、患者から直接感謝の言葉をもらえる機会が多く、やりがいを感じられる職業です。不安や怖さを感じていた患者が、笑顔で帰っていく姿を目にすることも多々あり、喜びも感じられるでしょう。

患者の笑顔や「ありがとう」という言葉が、モチベーションにもつながります。

働き口に困りにくい

歯科衛生士の求人は全国的に多く、地域を問わず働き口に困ることがほとんどありません。一度現場を離れても、資格を活かして復帰しやすいというのも魅力です。たとえ結婚などを理由に引越しが必要になった場合でも、比較的早くに新しい職場を見つけられるでしょう。

また、産休・育休制度が整っている歯科医院も増えており、ライフステージに合わせて働き方を調整しやすいのもメリットです。

スキルアップやキャリアアップも目指せる

歯科衛生士は、日本歯科衛生士協会の「認定歯科衛生士」をはじめとした専門資格を取得することで、さらに高度なスキルを身につけることが可能です。そういった資格は、キャリアアップにも役立ちます。

また、研修や勉強会なども充実しており、キャリアの幅が広がるでしょう。

歯科衛生士の資格について以下の記事で詳しく紹介していますので、参考にしてください。

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歯科衛生士に必要な資格とは?仕事内容や向いている人・スキルアップに役立つ資格を紹介

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歯科衛生士は患者の健康をサポートする魅力的な仕事

歯科衛生士は、歯科予防措置・診療補助・保健指導の3つを軸とした、口腔ケア専門の国家資格職です。その仕事は、患者の笑顔や健やかな生活を支える大きな役割を担っています。

歯科医師や歯科助手と協力しながら、スキルを活かして患者の健康をサポートできるため、感謝される機会も多々。安定した収入が得られ、働き口に困ることもほとんどないという魅力もあります。さらに専門性を高めれば、キャリアの幅を広げることも可能です。

歯科医院がおもな就職先ではありますが、施設によって理念や力を入れている診療が異なります。長く続けるためには、自分好みの職場を探すことが大切です。

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