「悩みを解決してあげたい!」が美意識のモチベーション 私の履歴書【宝田歯科 院長 宝田恭子さん】#2
ルチャーサロンや3か月に1回開催の「顔面地滑り予防」のセミナーには、健康とキレイを両立したい多くの女性が参加しています。
後編では嫁ぎ先の歯科医院で受け入れられる間に、美容メソッドのヒントを見つけたこと、最新のエイジングケアについてお話を伺います。
患者本人や家族が求める「美」は千差万別!?

――こちらの宝田歯科ではなかなか受け入れられなかったお話を伺いましたが、その後は?
少しずつ受け入れてもらえるようになりました。あるとき、80歳を超えた患者さんの義歯をつくることになって、何気なくおしゃべりをしていたんです。その方が「うちの主人は『笑ったときに歯がガーッと見える若いときの顔が好きだった』って言うのよ」っておっしゃったんです。それで私が「次の診察には、そのときの写真を持ってきてください」とお願いしました。
――若いときというと、だいぶ前の写真ですね。
写真を見るとちょっと出っ歯気味で、歯が大きかったんです。お二人が求めているのは少し大きめの歯で少し前に出ている口もとだったんですね。
――どうしたんですか?
お二人の希望通りにちょっと出っ歯気味の義歯にしました。ご夫婦で喜んでくださって。その方はそれ以来、義父ではなく私を指名してくださるようになりました。

――入れ歯って不具合がなくて、ちゃんと噛めれば良いワケではないんですね。
見た目にもこだわって義歯をつくるようになったら新しい患者さんも増えて、義父が「おまえにここを任せる」って言ってくれたんですよ。
――すごい! お父様にも認められたんですね。美容に興味を持つようになったのはどうしてですか?
44歳の男性で総義歯の方がいらしたんです。噛み合わせも合っているし不具合もない。でも治療が終わって帰宅した途端、奥さまに「本当にこれで治療が終わったの?」って言われたそうです。不機嫌そうな顔つきになったし、急に老け込んだって。
――歯のない状態から歯が入ったのに?
そうなんです。義歯を入れたら老け顔になった理由を私も知りたくて、解剖の教科書を読み込みました。口もとの老化は30代から始まって、ほうれい線ができはじめます。さらに年齢が進んで50代になると口角の横あたりまで溝が入ります。
その患者さんはまだ44歳なのに義歯を入れたらほうれい線が前より目立ってしまったんですね。奥さまはそのラインに気づいたんだと思います。
――どうすればいいんですか?
鼻の下からあごの先までの距離が短くなると、ほうれい線が深く入りやすくなるんです。そこで咬合高径(かみ合わせたときの上下の位置)を2~4㎜高くするよう設計してみます。
――お年寄りの口もとがクシャっと縮んでいるのは、そういう理由だったんですね。
技工士さんと相談して、高さを変えた総義歯をつくったところ、奥さまもすごく喜んでくださったそうです。
いろいろな方の入れ歯をつくる経緯から、口の中から若々しく見せることができるんだと気づいて、鏡を見て納得する顔面筋トレーニングをセットにして提案しています。
悩みを解決するうち、いつでもどこでも実践できるメソッドに発展

――先生の著作や講演会では、すぐにできる美容法を紹介しています。これはどうして?
私が伝えていることは、患者さんから口もとの悩みを相談されて、その悩みを解決するためにいろいろな文献を調べるうちに分かったことです。普段の生活に取り入れられる方法なので、「やってほしいな」という想いから紹介しています。
――治療では解決しない相談もあったんですか?
口角の高さが左右揃っていない患者さんがいて、「高さを揃えたい」と相談がありました。筋肉の左右差なので自分の意識ではどうにもならないんです。
――どうしたんですか?
表情筋のしくみを調べました。鎖骨から繋がっている表情筋のひとつを鍛えれば口角があがるのが分かって、そこを鍛えるにはどうすればいいのかを考えたんです。
――仕組みを読み解くだけではなく、エクササイズまで考案したんですね!
患者さんにエクササイズを教えて、半年くらい続けてもらったら口角が揃ってきたんですよ。あれこれやれば、ほうれい線が薄くなってみなさんの笑顔がキレイになる。しかもみなさん喜んでくださる。伝え続けて良かったと思う瞬間です。
――美容メソッドはどんなときに考えるんですか?
きっかけは、患者さんからのご相談ですね。先ほどの口角の左右の高さが違うとか、口もとのしわが気になるとか。せっかく私に相談してくださったんだから解決したい。その想いで勉強しました。「もっと知りたい!」という好奇心も大きいですね。
――歯科で美容の悩みを相談できるのは、患者さんとの距離がすごく近いことですよね。先生がご覧になったお父様の診察室のようですね。
歯科といえば歯が痛い方や歯周病の治療ですが、私には本来の歯科医に相談しないことがリクエストされてきました。私を選んで相談してくださったんだから…という想いがあります。
――歯科医として続けるためのアドバイスをお願いします。
患者さんに役立つことを教えて差し上げること。医学用語を並べるのではなく、一般の人にも分かるように説明できることが重要です。
私が患者さんに提案しているのは機能とキレイの両立です。「ここで治療してよかった」と思っていただけるように努力しています。
宝田先生流! 成功の秘訣
1.話しやすい・相談しやすい雰囲気をつくること
2.専門外と思える悩みでも真摯に受け止め解決策を探る
3.続けやすい方法を考え、分かりやすく伝えること
撮影/森 浩司
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宝田歯科
住所:東京都江戸川区南小岩7-29-17サザンコート1階
電話:03-3657-4525
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