美容室と同じようにメイクサロンへも日常的に通う文化を広めていきたい【Ways TOKYO/noen 大木光さん】#2
都内有名サロンを経て「Ways TOKYO」を同世代で立ち上げ、美容師として、そしてメイクアップアーティストとしても技術を磨いてきた大木光さん。
2025年2月からは、メイクアップ アイサロン「noen」の代表となり、ますます活躍の場を広げています。
<後編>では、そんな業界でも注目されている新サロン「noen」の魅力を取材。誕生エピソードやメイクサロンのこれから、大木さんが考えるその先とは…見逃せない内容です!
日本でもメイクサロンへ通う文化を

――「noen」のオープンまでは、どんな道のりだったのでしょう?
Ways TOKYO立ち上げの前にフリーランスだった時があって、その頃からパーソナルメイクレッスンのサービスをやっていたんですね。
個人にメイクを教えるような内容で、最初はこういうの需要があるのかなって感じで始めたのですが、やってみたらすごく反響があって。当時はけっこう珍しかったのかもしれません。
――メイクの活動自体は早くから始めていたのですね。
はい。そこからコロナ禍になって、オンラインでのメイクレッスンもやったりしました。
いろいろブラッシュアップしながら、その後はスペースを借りてやってみたりと、実はけっこう段階を踏んでいて。今年2月から、本格的に「noen」が始動しました。
――noenは「メイクアップ アイサロン」ということですが、どんなことができるのでしょうか?
メイクとアイデザイン(まつ毛、眉毛の施術)の両方ができるサロンです。
非日常的なサービスというのではなく、美容室やネイルサロンのように、お客様に気軽に通っていただけるサロンを目指しています。
季節やシーン、TOPに合わせてメイクも変える、アップデートしていくイメージです。みなさん洋服はあたり前のようにシーズンごとに新しいものを取り入れたり、コーディネートしたりしますよね。メイクもそういう感覚になれたら。
――なるほど、特別感のあるメイクではなく、もっと日常的なメイクを磨いていくと。
そういったメイクでサロンに通うような文化ってまだあまりないと思うんですよね。韓国では一般の方がメイクアップのできるサロンがたくさんあり、日本でもこれから広がっていくのではと思っています。
実際うちのお客様も、次回の予約を80%以上の方がとって通ってくださっているという状況です。
――メイクアップについては、1対1で教えるような形ですか?
そうです。美容室のように予約していただいて、お客様一人に対して一人のスタッフがついて教えます。1回、1時間20分の枠です。
骨格や肌色など基本的なところを見させてもらいながら、その人の雰囲気、ライフスタイルに合うようなメイクを提案していきます。「似合う」ことはもちろん大事ですが、それだけでなく、季節に合わせたベースメイクだったり、ポイントメイクで彩りを加えていく、そんなメイクの魅力も感じていただけると思います。
――お客様の年齢層はどんな感じですか?
かなり幅広くご来店いただいていますが、25歳〜30代くらいが多いという印象でしょうか。
メイクって、楽しい、キレイになれるというポジティブな一面と、悩みやコンプレックスだったり不安要素もあると思うので、その世代に合わせたメイクの方法を提案しています。年齢を重ね、メイクをアップデートしたいという方もいらっしゃいますよ。

メイク、眉毛、まつ毛すべてをひとつのサロンで叶える

――オープンから半年ほどですが、反響はどうですか?
おかげさまで順調でして、メイクアップの方は予約を開放してすぐに埋まってしまう状況です。
まだまだメイクの認知度が強いので、これからはアイの方ももっと広げてブランド全体を高めていきたいです。
――眉毛、まつ毛メニューへのこだわりは?
カウンセリングからしっかり時間をかけて行なっています。やはりパーツそのものを見るだけでなく、バランスが大事です。その人のライフスタイルや女性像まで見極めて、デザインを落とし込んでいくようにしています。
noenオープンにあたって、僕自身もいろんなサロンに行ってみたり勉強してきました。正直しっくりこないことも多くて、じゃあそれをどうやって解消できるか、お客様が満足できるようなやり方だったりメニュー構成にとことんこだわりました。
「ようやく通いたいと思えるアイサロンに出会えた」、「メイクとアイと全部できるのがいい」など、うれしい口コミをいただくことも。
――たしかに、全部できるというのはメリットですよね。そして他にあまり見ない気も。
メイクアップに眉もまつ毛も含まれるわけで、全体バランスを考えて仕上げていった方がより美しく見えます。
眉毛、まつ毛に関しては、整えるだけでない、デザインする楽しさも感じていただけるとうれしいです。
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働く場所の提供や環境をサポートする側としても注力していきたい

――今後の展望として、これからどんな活動をしていきたいですか?
まずは、noenに注力して、ブランド自体をもっともっと高めていきたいです。今は東京の一店舗だけですが、ゆくゆくは関東だけでなく地方での展開も視野に入れています。
将来的には、一般のお客様だけでなく、対企業への取り組みも広げていけたら。
――そういったお仕事もされているのですか?
現在は、アクセサリーブランドの社員さんに向けた、シーズンに合わせたメイク提案をさせていただいています。
店舗スタッフがお洒落に、お客様から好印象に見られるようにということで、ブランドのコンセプトをお伝えいただきそこからイメージに合うメイクに落とし込んでいく。ブランドの店舗スタッフのみなさまがしっかりメイクを落とし込めるよう、プロセス動画と資料を納品させていただいています。
今回はアクセサリーブランド様でしたが、美容系以外のさまざまな職種の企業とも取り組みができればと思っています。
――技術や考え方がうまく広がっていくのは、すごく意味のあることに思えます。
世の中で求められていることや必要とされていることに、仕事として携われるのは本当にうれしいし、ありがたいと思います。
髪だけ、メイクだけ、ととらわれず、美容という大きなジャンルで女性がもっとキレイになれるとかモチベーションが上がるとか、そういう取り組みができたらいいなと考えています。オフライン、オンラインどちらからもアプローチできるのが理想。
――オンラインが増え続ける時代ですが、オフラインのよさも改めて実感したりします。
話は少し戻りますが、コロナ禍に、メイクサービスを一回やめた時がありました。マンツーマンでやる以上、美容師も同時にやっていくとなると生産性を落としてしまうなど、いろんな理由があったのですが。
そんな時、姉とのLINEで考えさせられたことがありました。
時々メイクについて相談を受けることがあるのですが、その時も久しぶりに友人に会うという姉からの連絡でした。
小さな子どもがいて、なかなか自由に外出やショッピングができず、手持ちのコスメも少ない。そんな中で「自分のシミに合うコンシーラーを探しているんだけど、何がいいかわからない」と悩んでいました。
それを聞いて、姉に限らず、同じような悩みを抱えている女性は本当に多いんだろうなと。
いまや美容情報はあふれるほどあるのに、悩みや不安はなかなか解決できない。
オンラインでの取り組みが多かった中で、肌の質感や雰囲気、顔立ちとのバランスを実際に見て、触れて、試してみる––そんな「オフライン」でのやりとりこそが、一番しっくりくるのではないかと、改めて思わされました。
その気づきがきっかけでもう一度原点に立ち返り、丁寧に考えを練り直して始めたのが、メイクサービスの「noen」です。
――一周まわってオフラインに帰ってきたわけですね。
そうですね。オフラインのサービスがこれからいろいろ構築できたら、また新たに違った形でのオンラインでできることも見えてくるのかなとも。
どんな方法にしても、本質的なところを突き詰めたいというのは変わらなくて、そこをうまく循環させていけたらと思います。
――最後に、大木さんにとって「働く」とは?
仕事は、自分のできることで誰かのやりたいことやなりたいを叶えるものだと思います。僕でいうとそれが美容師とヘアメイクで、それを仕事として働いて、結果的にお金が生まれる。売り上げというのは最後についてくるものであり、世の中に求められた価値の証だと思っています。
――これからどんな風に働いていきたいですか?
自分から発信するよりも、サポートしていく方に力を入れていきたいです。
技術があってもそれを価値に変えることができない人ってたくさんいると思います。例えば、メイクを仕事にしたい人はいるのにそれを成立させるのはけっこう難しくて、今後販売などで言うとAIに変わってくる部分も増えるかもしれない。
そういう中で、仕事のできる場所を提供する側になれたら。働く人たちの受け皿になるようなメイクアップ専門サロンだったり、働きたい人たちをサポートできるような教育、環境を構築する。
年齢と経験を重ね、活躍の場を作る側に。そういうフェイズに入ってきたので、また新たに頑張っていきたいです。
取材・文:青木麻理(tokiwa)
撮影:高嶋佳代
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Ways TOKYO 表参道店(ウェイズトウキョウ オモテサンドウ)
住所:東京都港区北青山3-5-40 PRYMECUBE表参道2F
電話:03-6459-2366
Instagram :@waystokyo
noen(ノエン)
住所:東京都港区南青山5-16-3 メゾン青南7F
電話:03-6450-5499
Instagram: @noen_tokyo
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