セラピストとして「どうあるべきか」を常に考える日々 私の履歴書【kakimoto arms セラピスト井本志穂里さん】#2

専門学校を卒業して美容師になったものの5年目に転職を決意した井本志穂里さん。kakimoto arms 銀座二丁目店のセラピストになるまで、たくさんの研鑽を積んできました。

後編では、入社後の研修で記憶がなくなるほど専門知識を蓄えたこと、先輩セラピストから「常に思考を働かせて」と言われ続けたことが仕事の支えになっていること、予約の取れないセラピストになるために心がけていたことについて語っていただきました。

専門的な知識が求められ、記憶が飛ぶほど濃密な研修を経験!

天候や時間に合わせて、サロンで炊くアロマを変えているそう。

――kakimoto armsさんに転職が決まって、研修などはあったんですか?

半年間ありました。研修を受ける前は、今までサロンでヘッドスパをやっていたので、そんなに違いはないだろうと思っていましたが、まったく別物でした(笑)。

――違うものなんですか?

例えばシャンプーをするときでも、前のサロンでは髪をしっかり洗うことがメインでしたが、ここでは洗うのはもちろんですが、頭皮を緩めたりほぐしたりする「頭皮ドレナージュ」が目的です。施術の研修を受けているとき、つい前のクセが出てしまうことがありました。

――具体的にどんな勉強を?

表面の頭皮だけではなく奥にある筋肉や神経、骨の位置や機能について学びましたし、顔や耳のツボ、デコルテや背中部分のリンパの流し方も学びました。同時にアロマセラピーの勉強もしました。

――アロマの勉強も?

ヘッドスパのメニューにはエッセンシャルオイルを使うコースがあって、オイルの作用や効能について専門的な知識を得る必要があるので、サロンで研修しながらアロマスクールに通わせてもらいました。

――ちなみにどんなスケジュールだったんですか?

8時に出社して1時間ほど、モデルさんを呼んだり先輩方の頭をお借りして朝練。営業が始まったらモデルさんを三人ほど呼んで練習をしていました。アロマスクールに行く日はモデルを一人減らして、その間に2時間ほど中抜けして学校へ行き、戻ってからまたモデルさんで練習。そんな毎日を繰り返していました。

――半年間の研修のなかでいちばん難しかったのは何ですか?

カウンセリングですね。お客さまのお悩みを引き出すことから始まって、その原因を探り出しながら、お悩みを解決するには「このコースがいい」というゴールを導き出すのが難しくて。

――コースの内容を深く理解しなければいけませんね。

しかも、コースによって「シャンプーはこれ」とか「オイルはこれを使う」とか、たくさんの商材をすべて覚えなければいけません。セラピストになるには、たくさんの知識が必要でした。研修期間の半年間は本当に必死だったので、今思い返しても自分がどうやっていたのか記憶がありません(笑)。

「毎日考えながら過ごす」のがセラピストのモットーに

お客さまのほとんどが心地よさに寝落ちしてしまうそう。

――研修期間中は先輩セラピストのアシスタントに付くんですか?

アシスタントという期間はありません。ただひたすら練習をして、自分の技術を磨くしかありません。タイミングが良ければ、同じスパブースで先輩セラピストがお客さまの施術をしているのを観察することもできました。お客さまに気づかれないように、音を立てず気配を消してそーっと観察していました(笑)。

――まるで忍者のようですね(笑)。

入社したときに、「言われたことをそのまま受け止めるだけじゃダメだよ。自分が何をしたいのか、どうなりたいのかを考えながら仕事をしてね」と言われました。それが今でも仕事をする上でのモットーになっています。

――とても深い言葉ですね。

その先輩とこの銀座二丁目店で一緒に働けたのが大きな財産になっています。何か相談したいことがあるとき、どうすればいいか判断を仰ぐのではなくて、「私はこう考えて、こうしたいと思っています」と自分の考えを伝えるようになりました。ディスカッションするのがとても楽しかったですね。

――その先輩はどちらに?

麻布台ヒルズに新店舗ができたときに異動してしまったんです。とても心細くて寂しかったんですが、「もう一人で大丈夫。この店はあなたに任せるからね」と言われて気持ちが引き締まりました。

――店舗が違うと、会う機会も少なくなりますね。

月に一度、セラピストが集まるミーティングがあるので、そのときに話をするチャンスがあります。

――営業後ですか?

朝です。「セラピストは自分の健康を第一に考えなければいけない」と言われているので、仕事を終えたら家に帰って自分自身のメンテナンスをします。

セラピストの体調が悪かったり気持ちが不安定だったりすると、施術に影響が出てしまうので気をつけています。

――それで肌がキレイなんですね!

お客さまのご相談を受ける立場なので、やはり私たち自身が気を使っていないと信用していただけないですよね。

美容師をしていた頃はちょっとくらい熱があっても仕事をしていましたが、今そんなことをしたら、きっと集中力が途切れてしまいます。いつでも万全でいられるように、体調を崩す前に対策を取るようにしています。

――ご自身を律していらっしゃるんですね。井本さんの予約がなかなか取れないという理由も何となく分かってきました。

髪の毛とか肌とか表面的なキレイさではなくて、私たちセラピストは身体の内側から美しく整えることを目指しています。「髪が立ち上がるようになった」とか「身体の重だるさが取れて軽くなった」とか、変化を感じてくださる方が多いですね。身体と心の健康があってこそ、その方らしいキレイが湧き出てくると思うので、そういう意識をもっと広めていきたいです。

――それで「またお願いしたい」と思う方が多いんですね。

お客さまと施術者という関係なんですが、信頼で結ばれているパートナーというか。ここに「ただ身体を休めに来た」というのではなく、「リセットして、次もまた頑張る!」というところまで引き上げたいですね。お客さまが前向きになっていただけたら嬉しいです。

――これからセラピストを目指す人にアドバイスをお願いします。

何よりも自分の心身の健康が大事です。特にセラピストは手や身体を使う技術者なので、自分の体調や身体の調子に敏感に気づいて、それに対する対処法をたくさん持っていることが強みになります。

自分の身をもっていろいろ感じることで、お客さまの迎え方、施術の仕方、準備の仕方やアドバイスの質もどんどん上がり、セラピストとしても魅力や深みが増すと思います。

井本さんの成功の秘訣

1.人体の仕組みやアロマセラピーなどの知識を積極的に増やす。

2.体調の変化を敏感に察知して、不調を起こさないように対処する。

3.言われるがままに行動せず、常に考えながら仕事をする。

撮影/森 浩司


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kakimoto arms銀座二丁目店
インスタグラム
住所:東京都中央区銀座2-6-12 Okura House 6F
電話:03-5761-7766

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