こんな働き方があってもいい。自分が前例になり新しいことにチャレンジ【Belle表参道店／波多野萌絵さん】#2

2010年にオープンし、表参道・銀座・新宿・吉祥寺など、店舗を拡大しながら人気サロンへと成長したBelle。ファッションや美容感度の高い女性たちのほか、メンズのリピーターも多い、東京を代表する美容室の一つです。

今回取材した波多野さんは、表参道店でトップスタイリストとして活躍する美容師。「とにかく可愛いものが大好きなんです」という言葉の通り、女性の可愛さを引き出すスタイル提案はピカイチ。そして、美容師と両立しながら、新たに始めた耳ツボジュエリーやボディジュエリーの施術も好評で、さらなる可愛いワールドを構築中！

そんな令和ならではの働き方を更新している波多野さんにインタビュー。後編では、ヘア以外の施術メニューを始めたきっかけやお客様の反響、今後の展望などについてお聞きしました。

耳ツボジュエリー、ボディジュエリーの施術をスタート

――耳ツボジュエリー、ボディジュエリーのメニューはいつ頃から始めたのですか？

耳ツボは2023年、ボディジュエリーは今年の3月からスタートしました。どちらも私個人のインスタから予約を受け付けています。

――ヘア以外のメニューをやってみようと思ったきっかけは？

これも私のコンセプトからの考えで、シンプルに「可愛いから」です。髪型以外でも可愛いを広げていけたらと思い、挑戦しました。

――ブレないコンセプトが波多野さんらしいですが、オーナーに始めたいと相談した時、驚かれませんでした？

Belleの代表は、もう昔からずっと変わらずそうなのですが、どんなに会社が大きくなろうとみんなの話をしっかり聞いてくれるんですね。

私の提案を聞いた上で、もしかしたらそれがどういうものか明確に分かっていなかったのかもしれないのに、「やってみよう、挑戦してみたらいいよ」と、迷いもなく背中を押してもらえました。

本来であれば別の何かをやろうとしたら、フリーランスになったり独立をするのかもしれません。サロンの営業の中でやらせてもらえるのは本当にありがたいです。

――お客様の反響はどうですか？

耳ツボジュエリーはオリジナルのパーツを作っていて、いろいろな組み合わせが楽しめます。ピアス感覚でできるのと、ツボ押しでお悩み解消としても注目してくださる方が多いですね。

ボディジュエリーについては、キラキラのデザインがすごく可愛いと好評で。海やプールに、旅行に、推し活に…イベント前にやってみたいという声が多いです。

お客様との距離が縮まって、より解像度が上がった

――ずっと美容師をしてきた中で、違うジャンルの施術を組み込むのは大変ではなかったですか？

美容師を5、6年続けてきて、新しいことを学びたい、違うことにもチャレンジしてみたいという気持ちが出てきたのがまずあって。

それがきっかけで、2022年に働き方をフレックスタイムに変えました。

――フレックスの制度があるんすね。

そもそもは、出産したママさん美容師をサポートする制度です。

私は結婚もしていないし、子供もいませんが、フレックスでの働き方は使うことができないのだろうか。もっと自由にいろんなものを見に行きたい、勉強したい、セミナーも受けてみたい、そんな学び欲が出てきたんです。

代表に相談したところ、前例はなかったのですが、そういう意志があるならチャレンジしてみようと。

――確かに、何かをプラスαでやろうとしたら準備や勉強の時間が必要ですが、定時の働き方だとなかなか難しそうです。

そうなんです。やるならば、徹底的に勉強してマスターしてがんばろう！ と、またスイッチが入りました（笑）

美容師の仕事もやりつつ、時間調整がしやすい働き方になったので、耳ツボやボディジュエリーも昼間にスクールに通って技術をしっかり学びました。デザインを考えたり、素材を集めたり、あとは練習も重ねて。

――これまでの客層から広がりはありましたか？

新規の方からもたくさん問合せがあり、うれしい限りです。

でもそもそもは、今までずっと私を支えてくれたお客様に、新しい可愛さや楽しいことを提供したくて始めたので、そんなみなさんに喜んでもらえて幸せな気持ちです。

逆に、耳ツボやボディジュエリーで私を知ってくれて、のちにBelleに髪を切りに来てくれたお客様もいます。

――美容師とその他のメニューと、スケジュールのやりくりが大変では？

すべて予約制なので、スケジュールさえ決まってしまえば問題ないです。

耳ツボとボディジュエリーは、完全に一対一でやるというのも新しい試みでした。美容師業だと一人のお客様に最初から最後まですべて関われるわけではないので。

一対一で、施術も肌にかなり近いので距離感もぐっと縮まって、そのせいか今までしなかった話もするようになりましたね。実はこれが好きだったとか、そんな理由だったのかとか、ライフスタイルの解像度が上がってスタイル提案もしやすくなったように感じます。

お客様との絆が深まったのが何よりうれしいです。

こんな働き方もあるのだと多くの人たちに届いてほしい

――今後の展望や、美容業界に思うことは？

私のことなので、また気になることやときめくことが出てきたら、すごい勢いで始めると思います（笑）

美容師の働き方でいうと、ここ数年でいろいろ変わってきたと思います。女性は特に30代で分岐点がきたり、辞めてしまう人も多いですよね。でもいろんなやり方や選択があるんだと、女性に限らずみんなに知ってほしいです。

私はサロンで勤めながらフレックスで働く、違うジャンルも取り入れる、そんな働き方にチャレンジしています。もちろん失敗もたくさんあったし、やりながら形になっていったことも多いです。

10年前だったら想像もできなかった。でもこんな風に働ける方法もあるんだ、ありなんだっていうことを、同じ世代の人たちや、経営している方々にも届いてほしいと思います。

――最後に、波多野さんにとって「働く」とは？

まず、自分が好きな「可愛い」を仕事としてできていることが幸せで、そんな可愛いを通してお客様も携わってくれる人たちもみんなハッピーにしたいです。

自分のした仕事で、人が輝いているのを見るのが好き。

会社で成功したとか、デートがうまくいったとか、みんながキラキラ輝いて幸せを感じてもらえるのが、私の中では働く意義かなと思います。

その喜びを力に変えて、また頑張っていきたいです！

取材・文：青木麻理（tokiwa）
撮影：高嶋佳代