ライフステージの変化が多い女性が諦めることなく働き続けられるよう、制度もシステムも柔軟に変化すべき「AID_」齋藤豪さん
社会保険や休暇制度、固定給による安定を得られる一方で、「業務委託ほどは稼げない」、「頑張っても収入が伸びにくい」と思われがちな正社員という働き方。本企画では、そのリアルに迫ります。
今回は、東京・都立大学駅にある「AID_」の代表取締役、齋藤 豪さんに取材しました。
AID_のモットーは、個人プレイではなくチームワークを大切にしたサロン経営。スタッフが協力しながら働くことで、サロン全体の売り上げを底上げ。強固なサポート体制があることで、妊娠や出産など、女性ならではのライフイベントを退職することなく乗り越えられるようになっています。
完全週休二日制で給与の最低保証は月額30万円。交通費や住宅手当など、単身者や既婚者どちらにも不利益にならないよう考えられた、充実した福利厚生も魅力です。
今回、お話を伺ったのは…
齋藤 豪さん
株式会社AID 代表取締役

神奈川県出身。横浜商業高等学校別科美容科卒業後、20歳で都内のサロンに入社。住宅街のサロンで技術を磨く。都内2店舗を経て、2014年に東京・目黒にある都立大学駅で「AID_」を創業。すべての席が半個室というスタイルで、上質なプライベート空間の中施術を受けられると人気。
二度目の育休をとっている社員も。「辞めなくてもいいサロン」にこだわるわけ

――女性の働きやすい環境づくりに、齋藤さんがこだわる理由はなんですか。
せっかく積み上げたきたキャリアを断絶させることなく、長く働き続けてほしいからです。ひと昔前まで、女性美容師が妊娠出産後も正社員で居続けることはほぼできませんでした。いったん退社して、あとは業務委託で働くというパターンなどが多かったですね。
――キャリアが断絶されるのは、美容師本人だけでなく、サロンにとっても痛手です。
そうなんです。僕は自分のサロンを作るときに、妊娠・出産を含むさまざまなライフイベントがあっても、辞めることなく働き続けられる場所にしようと思ったんです。もちろんその前提としてあるが、納得できる額の給与を支給することですよね。
――AID_の給与システムとして特徴的なのが、毎月の給与は「定額+個人の歩合」で支給され、さらにお店としての「達成賞与」としてボーナスが出るところだと思います。
給与のサンプルとして申し上げますと、3年目の正社員の場合、基本給が28万円、営業手当が12万円、交通費もしくは住宅手当の約2万円。合計で約42〜43万円となっています。そこに年2回の賞与がプラスされます。賞与額は変動しますが、直近だと60万円が2回分、計120万円支給されました。
――お店の売上に応じて決まる「達成賞与」があることで、お店のために働くという意識も高まりそうです。
うちはスタイリストだからといって、自分の仕事だけしていればいいということはありません。アシスタント業務もすべてみんなで行います。その方が時間的にも効率がいいし、仕事が早く終われば早く帰ることができます。「みんなでカバーしながら働いて、みんなで売り上げを上げていこうよ」という考えなんです。
そうすることで、個人の売り上げに関わらず、ベースが保証されます。個人の集客が少ない若手でも、それなりの給与が得られるんですね。
もちろん頑張った分だけ歩合給も支給します。1円単位で計算して給与に加算します。
――歩合の割合はどうなっていますか?
売り上げ80万円までは最大8%、新規のお客さんについては5%、自己集客はさらに高くなります。
リピートに関しては、指名・フリーに関わらず一律です。
――新規、リピート、自己集客で歩合のパーセントが異なるのは、一般的なんですか?
いや、あまりないと思います。でも本来そうであるべきだと僕は思っています。新規とリピートは、会社がお金をかけた広告で来てくれたお客様。一方自己集客は、会社の経費を一切使わず、自分の手で呼んできたお客様。そこに評価の違いをつけるのは当然なので。
事情が変わった時に働き方も変えられる。それが正社員の良さ
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――AID_の求人ページにも「個人よりもチームプレイ」という言葉があります。そこにはどんな思いが込められているのでしょうか。
ガムシャラに働いてたくさん稼ごう、というサロンがあるのも知っています。でもそれはうちのサロンで求めている人物像とは違う。個人の力だけでできる人は、フリーでやった方が全然稼げると思うので。
僕がサロンを経営するベースには、「仕事もプライベートもバランスを取って働きましょう」という考えがあります。完全週休二日制でしっかり休んで、その分出勤日は頑張って働けばいいと思うし、その働き方に共感する人に集まってほしいですね。
――スタイリストとしての技術力は評価に反映されますか?
もちろんです。スタイリストにもオールマイティ型とか、特化型とか、得意不得意があります。あとはメンズが苦手、子供が苦手などさまざまなタイプがいます。
でも最初はそれでいいと思っているんです。働いていると苦手なこともしなくてはいけないときがきます。そこで少しずつ技術を磨いていけばいいと思っています。
それよりも僕が大事にしているのは、もっと基本的なこと。接客態度だったり、みんなで協力することだったり、掃除だったり、時間を守ることだったり。それができていれば十分な評価が得られるシステムになっています。そういったことができてこそ長く続けられると思っているので。
――実力主義のサロンに疲れてしまった人や、ワークライフバランスを取りながら働きたい人に向いてそうですね。
はい、僕が求めているのはズバリそういう人ですね。第二新卒とかが当てはまります。実力があるのに、サロンの方針が合わなくてモチベーションが下がってしまった人、労働環境と個人の事情のバランスが取れず離職を余儀なくされてしまった人、そういう人材を積積極的に受け入れています。
――使用期間中は月給27万円とあります。前職での経験や資格など、給与が上がる条件はありますか?
ボーナスはありますが、月給に関しては固定です。給与が上がると、税金も上がってしまうということもあり、一概にその人の利益にならない場合もあるので。ただ、今後の状況次第では、変更をするかもしれません。
女性美容師と若手が輝ける福利厚生の仕組み

――現在AID_で働くスタッフは女性が多いですか?
はい、全員女性です。中には二度の育休をとったスタッフもいます。ヘアサロンで二度の育休をとった人がいるところは、まだまだ少ないと思います。育休や時短制度だけではなく、今後はフレックス制も導入していきたいと考えています。お客様の予約状況に合わせて、お昼からの出社ができたり、早帰りができたり。仕事がないのにダラダラとサロンにいるのは効率的ではないですから。
――育児中の方など時短で働くスタッフは、フルタイムのスタッフと業務内容が異なりますか?
時短のスタッフにはバックオフィスの業務を多めにやってもらっています。なぜサロンワーク以外の仕事をしてもらっているかというと、自分とフルタイムのスタッフと比べて、引け目を感じてもらいたくないから。長時間働けない分、「周りに迷惑をかけているのではないか」と考えてしまう人が多いんですよね。このへんのバランスを取るのが、代表としてはいつも苦労しています(笑)。
――福利厚生に関して。交通費を住宅手当に変換できる仕組みはいいですね。
これはずっと僕が思っていたことです。交通費しか出ないと、スタッフは家賃の安い遠方の地域に住むようになります。それが交通費を住宅手当に充てられるようにすれば、サロンの近くに住むことができます。電車に乗らず自転車通勤をすることもできて、スタッフも体力的に楽ですよね。サロンとしては、支払う額は一緒なので、特に問題はありません。
――フレックス制の導入を検討したり、AID_は時代に合わせてまだまだ変化していきそうですね。
それは常に意識していますね。スタッフひとりひとりで事情は異なるし、希望もあります。ライフイベントとして、今後は介護の問題なども出てくるかもしれません。そういったことが原因で離職せざるを得ないのは、本人にとってもサロンにとっても残念でしかありません。常に「もっといい方法はないか」と考えて、待遇やルールをフレキシブルに変更していってます。
代表の齋藤さんが繰り返し話していたのが、「出産や妊娠などで、キャリアを中断してしまった女性が再び輝ける場所になりたい」「職場の待遇などが理由で辞めてしまった若い人材に、もう一度チャンスを与えたい」ということ。給与や福利厚生を充実させることで、長く働けるのはもちろん、チームで働く喜びや技術の向上を実感できるのも「AID_」の魅力です。
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AID_
住所:東京都目黒区平町1-25-19 3F
TEL:07083275654



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