『ヘアサロンRegilo』の空間プロデュース＆こだわりのインテリア

店名とともにサロンの顔となるのが、施術を行うフロア空間。お客様に対し、オーナー自身の想いを届けるために、どのような空間プロデュースを行っているのか――南青山の人気美容室『Regilo』のオーナー・高田興さんに、お話を伺いました！

デザイナーと話し合いを重ね、オンリーワンの空間にたどり着いた『Regilo』

南青山の路地裏に位置するRegilo（レジーロ）は、欧風のインテリアやグリーンに囲まれる、ほっこりと心温まる空間が特徴的な美容室です。パリのお友達のおうちに出かけたような錯覚すら起こる居心地の良さが魅力ですが、どのようなこだわりがあるのでしょうか。

高田「基本的な内装は、知人にフレンチレストランをしている人がいて、そのお店を手掛けたデザイナーに依頼しました。しかもこのデザイナーさん。とてもおもしろい方で、いわゆる図面というものをまるで作らない方だったんです。で、僕自身、現場で立ち合いながら話し合いをし、方向性を決める……という作業を続けました。鏡の大きさはどうしよう？　この木はどうする？　って、すべてが話し合い。大変でしたよ（笑）。本来ならデザイナーさんにすべておまかせするだけでいいのですから。でも、一緒に作り上げることで、オンリーワンの店を作ることが出来たと思います！」

このカウンターテーブルも、最後の最後までカタチが決まらなかったという。「どうしようか？」となった際、大工さんの「作ってみたいカタチがあるんですけど！」というひとことで、珍しいT字型に決定。出来上がりは素晴らしかったけれど「でもね……横幅を天板のサイズで考えていたので、収納が小さくなっちゃったんですよ。そこだけが想定外でした！」なんていうハプニングもあったそう。

ちなみに、内装で高田さんが最もこだわったのは、シャンプー台の床なのだとか。

高田「この床は、ひとつひとつ、職人さんが手作業で張ってくださっているんですよ。欧風の組木模様に憧れがあったので、ここだけお願いして作ってもらいました。本当は床全体をこんな風にしたかったのですが……まぁ、そこは、予算の関係があったということで（笑）。でも、通常、そこまで手をかけないシャンプー台まわりをこだわることで、Regiloならではの空間を作ることが出来たと思っています」

家具やインテリアは、様々な家具屋さんを巡り歩き、ひとつひとつ気にいったものを探してまわったという高田さん。ネットで探し出したものもあるといいます。しかし、こだわりを発揮するのはここからだったのだとか。

高田「全体的な雰囲気はフレンチカジュアルに統一しました。天井の高いお店じゃないので、高級なインテリアより、カジュアルなほうがいいかな？と思い、ヨーロッパの人たちが実際に住んでいるおしゃれな部屋をモチーフにしたんです。購入したインテリアをお店に配置してみると、やはり、合わなかったり気にいらなかったりするものが出てくるんですよね。それらはすべて、自分で加工しました。椅子の木枠をサンドペーパーで削って色を落とし、エイジング加工を施してアンティーク風にしたり、テーブルを自作したり。もともとD.I.Y.が好きだったので……楽しかったです！」

高田さんのこだわりは細部にまでいきわたっています。細かなインテリアは、ヨーロッパの雑貨を扱うお店を巡って探し、壁の色は、お店の方向性や雰囲気に合わせ、スタッフに手伝ってもらって塗り直しをしたことも。グリーンがふんだんに配置されているのも、高田さんならではの想いが込められていました。

高田「植物が好きなのもあるのですが、いかにも美容院という空間ではなく、温かみのある空間にしたかったんです。Regiloを訪れてくれたお客様ひとりひとりが、ただ髪を切る、変える、というだけでなく、癒されて帰ってほしいと思っています」

ただ、見た目をおしゃれに仕上げるだけじゃなく、お客様への心配りを形にする。そして、デザイナー、職人、それぞれのこだわりに柔軟に対応する――こうした柔軟さが、サロンの居心地の良さにつながるのかもしれません。