この人だから切りたい”美容師のこだわり『RAVENALA CUT & STAND』

京都一乗寺に今年6月にオープンしたばかりの「RAVENALA」はまるでカフェのような開放感あるスペースで、ゆったりとくつろぎながら自分だけの時間が過ごせるとオープン間もないながら人気を集めているサロンです。「お客さまのことを知りながら、お客さまと2人でスタイルを作り上げたい」と、オーナースタイリストである宇高俊晃さんが1人ですべての施術を担当しています。
ここまではサロンとしては決して珍しくないスタイルですよね? でも実は宇高さん、約3年間のあいだに世界47カ国を旅行した経験のある人。しかも若くして店長になり、売れっ子スタイリストとして活躍中に仕事を辞めてまで旅に出たというから驚き。
ただ旅行しただけなの? 旅先で得た経験は美容師として生かすことができるの? 前半は気になる“経歴”について話を聞いてみました。

宇高さん

世界旅行は美容師になる前に決めた夢 そのためにも早く仕事を辞めたい!?

――「RAVENALA」はオープン間もないサロンですが、オーナーである宇高さんおひとりで運営されてるのでしょうか?
「週末の忙しいときだけ、同じく美容師の資格を持つ嫁さんが手伝いに来てくれますが、基本は1人。今は店先にテイクアウト専用のカフェを作っているんですが、その厨房担当としても手伝ってもらう予定です」

――お店は外から見ると、カフェそのもので間違えて入ってくるお客さんも多そうですよね。
「あえて美容室感をアピールしていないのもあるんですけど、オープンしたばかりということもあって間違えて入ってこられるお客さんもいらっしゃいますね」

外観

――お店のサイトにも経歴が記載されていますが宇高さんは世界中いろんな国を旅してきた経験のある方なんですよね。美容師として働きだしてから旅に出たんですか?
「旅に出る前は、大阪・京都・神戸といわゆる三都で出店するという、当時としては勢いのあるお店で働いていたんです。出身は大阪ですが、入社してすぐに京都店に在籍することになり、24歳のころには店長になって」

――24歳で店長、すごく早い昇進ですよね。
「でも、絶対にいつかは仕事を辞めようと思っていたんです」

――美容師として順調な中で、仕事を辞めたくなった理由は?
「大まかな理由として、どんなお店で働いていたとしても20代のうちに仕事を辞めて旅に出たいと思ってて。それは小学校5年生の時に決めた夢だったんです」

――美容師になる前からの夢だったんですね。
「本当はもっと早くに、20代の前半には旅に出たかったんですけど、店長職ということもあって辞めにくい状況が続いてしまって…。会社やスタッフ、それこそお客さんにまで迷惑をかけることになりましたが、29歳になった4月に夢のためには今しかないと思ってようやく退職、6月にはもう出発していました」

――行動が早いですね。そもそも世界旅行をする夢のキッカケは何だったんでしょうか?
「小学校の授業で見た世界地図に載っていたオーストラリアのエアーズロックです。たったひとつの岩が僕の地元にある山と同じくらいの大きさだったんですけど、それを見て世界ってすげーなって、地球のスケールの大きさに驚いたんです。地球に生まれたなら、世界を見ずして死ぬのはもったいないと思って、そこからは世界地図を見続ける毎日でした」

念願の世界旅行へ!旅先では髪を切る前に信頼関係を

タビビトノキ(Ravenala)
店名の由来となった「タビビトノキ(Ravenala)」

――念願だった世界旅行。目標はありましたか?
「全くなかったんですよ(笑)。とにかく最初の国は、夢のきっかけでもあるオーストラリアからスタート。あとはある程度行きたい場所だけ決めて、スペインのトマト祭りとか世界中のお祭りを体験したいというのもあり、世界の夏を追いかけるような旅をしたかったんです」

――旅の資金はそれまで働いて得た貯蓄がベースですが、旅先で美容師としての技術を使うことはなかったんでしょうか?
「ハサミは持って行ったので、旅先で出立った現地の人や日本人の髪を切りましたね。バックパッカーとして世界中を旅する人でも、髪の毛を日本人以外に触られるのが嫌な人も多かったのは面白かったですね(笑)」

――その時の施術には料金が発生していたんですか?
「基本は“UP TO YOU”、あなた次第という形で料金をいただいていました。でもそれも途中からは、気持ちで分かりあえたらいいなと思って、お礼の言葉や花一輪、ご飯をごちそうしてもらうなど、金額を指定するようなやり取りはなかったですね」

――そのやり取りは今の仕事にも影響はありますか?
「仕事をするうえでの考えとして、“誰でもいいから切りたい”という感覚がなくなりましたね。現地では鏡の前で髪を切る環境がないんですよね。鏡がない中で髪を切ることってすごく特別なんですよね。髪の毛はその人の一部。自分が見えない中、その一部を触らせるっていうのは信頼関係が必要になるんです」

――美容室の中で切るわけでない。宿だったり野外だったり、環境が整っていない海外では鏡がないことも珍しくないですよね。日本の美容室では鏡が目の前にあるのが当たり前なので、その状況はすごく不安に感じそうですね。
「そうなんですよ。いくらキレイな景色を見てても、見ず知らずの人に髪を切られるのってすごく不安になる。そこで必要なのは信頼関係のみ。“この人に切ってもらいたい”、僕自身も“この人の髪なら切りたい”、そういう思いが生まれたときには不安はなくなる。世界遺産の前や何もない大自然の中で髪を切ると、その風景をそのまま受け入れることができる。それって二度とない経験になるんですよね。だから、“日本人だから切ってほしいんだけど”という人からのお願いは断ったりもしてて。“あなたのことを教えて”と一緒に食事をしたり、お酒を飲んだりと時間を共有して、信頼してもらってからじゃないと髪を切りませんでした。日本に帰ってきた今でも、お客さんに接するときはその人の一部を触らせてもらっていることを意識していて。いかに信頼を得られるか、それを大事にしてお客さんと接するようにしています」

店内

――接客や技術云々ではない。人としての根本的な部分に強く影響を受けたんですね。そうやって海外で髪を切るなかで、何か発見などはありましたか?
「海外の人たちの髪質については理解していたので、実際に触ってみても驚きは少なかったんです。それよりも、“美しい”という価値観は国それぞれ違えど、“美しくいたい”という気持ちはどんな場所でもどんな人にでもある感情で、それは自然と生まれてくるんだなって知れたことが良かったですね。他に面白かったのは南米や中米。パーマという概念がないんですよね」

――地毛が天然パーマの人が多い、ということですか?
「そう。だから、はなからパーマ液が存在しない。ロッドもないんですよ。現地で日本人がパーマをあてたいっていうんで、パーマ液を買いに行ったんですけど売ってないんですよね。代わりにカーリングローションっていう、カーラーで巻いてから液体を塗布して、外したらパーマっぽく固まるものを渡されて。昔でいう巻き髪とか和装で使っていたものなんですけど、“これで大丈夫だよ”って現地の人は言うけど、それって洗ったら元に戻るんですよね(笑)」

――あえてパーマスタイルにする、ということがないんですね。
「みんなストレートヘアーに憧れるんです。だから現地の美容室では全員がブローをされている。日本にはない景色でしたね」

――そういった経験も旅をしてこそ。日本にいると経験できないことばかりですね。

   

Salon Data

RAVENALA CUT & STAND

RAVENALA CUT & STAND

住所:〒606-8711 京都府京都市左京区一乗寺里ノ前町5 1F
TEL:075-286-3060
HP:https://www.ravenala-hair.com/welcome
Instagram:ravenala_udaka3

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