マッサージの専門用語事典た行
マッサージ師として働くならば、しっかりと身に付けておきたい業界用語。今回はマッサージ師専門用語の「た」行をお送りします。
タイ古式マッサージ
タイ古式マッサージは、タイの伝統医学の一つで、足の先から頭のてっぺんまで全身に施すことができるマッサージです。タイ式マッサージ、古式マッサージ、タイマッサージとも呼ばれています。さまざまな技術の流れを受けていて、施術者は手先だけではなく、手のひら、肘や膝、足といったあらゆる場所を活用しながらマッサージを行います。指圧などの技術で筋肉をほぐした後にストレッチを行い、筋肉が緩んだ状態にした後に、矯正を行って体の歪みを治す施術を行うのです。施術を受けている間は脳内にアルファー波が満たされ半覚半眠のリラックスした状態となります。 安定した精神状態を作ることが可能となることから、鎮静効果を生じさせることにも期待が持たれているマッサージです。
代替医療
代替医療とは、通常で行われる医療方法とは別の方法で行われる医療のことをいいます。基本的には近代西洋医学以外の医療を指し、一般的には科学では解明されていない方法です。正式な場では「補完代替医療」と呼ばれることが多く、他にも「補完医療」、「相補医療」ともいわれています。治療のために通常の医療法と代替医療を合わせて行うケースもあり、その場合、2つの医療を統合させている方法として「統合医療」と呼ばれることが一般的です。代替医療の代表的なものには、東洋を起源とする鍼灸やアーユルヴェーダ、ヨガなどがあります。また、欧米由来のカイロプラクティックやホメオパシー、スピリチュアル・ヒーリングも代替医療の1つです。 心理的なアプローチから効果を期待する音楽療法や催眠療法といったものも代替医療とされています。
タッチング
タッチングとは、肌に直接触れてマッサージを行うことをいいます。機械を使用して行う施術とは異なり、人の手の温もりにより精神的な安心感や信頼感を与え、心身共に緊張がほぐれてリラックスをした状態で施術を行うことが可能となるのです。 皮膚に直接人の手が触れられることで、皮膚から大脳にタッチされた感覚が届きます。そして、その刺激がオキシトシンやエンドルフィンといった愛情ホルモンと呼ばれるホルモン成分を分泌させて、ストレスを緩和させる効果にも期待がもたれているのです。また、手の適度な湿り気や体温がタッチングによって患部に感じられると、患部に温湿布をあてたような効果が生じて、血行が良くなるためトラブルを改善させる働きを起こすこともあります。
タッピング
タッピングは、指先を用いて肌を軽く叩くようにしてマッサージを行う方法です。肩たたきのように、ある程度の強さを持った力を入れることはしないで、やさしく叩きます。筋肉への刺激による治癒を目指す方法ではなく、リズムよく、軽いタッチで触れられることによって感じるリラックス効果への期待から行うマッサージ法です。心身共に緊張感が取れることで、誰しもが持つ自然治癒力の活動を促します。タッピングの特徴の1つが、施術を受ける側だけではなく、施術を行う側にもリラクゼーション効果が期待できるということです。指の腹への適度な刺激と心地よいリズム感が施術者の心も癒すといわれています。 マッサージはすべて背後から行い、向かい合わせとなることがないため、さらにリラックス効果が上がるともいわれています。
弾性着衣
弾性着衣は、圧迫療法の際に使用する医療装具の1つです。「弾性ストッキング」とも呼ばれています。圧迫療法とは、静脈疾患やリンパ浮腫などの治療や、術後の静脈血栓症予防などで行われる治療法です。包帯や専用機器を使用する方法もありますが、弾性着衣が多く使用されています。 圧迫療法ではマッサージとともに弾性着衣の装着でケアを行います。手にはグローブ、腕には日焼け防止に使用するような形のスリーブ、足には5本の指が付いたフットキャップやストッキング状のものを着用します。皮膚を圧迫することを目的としているため、生地が厚く、素材もしっかりとしていて、脱ぎ着が比較的難しいと言われている着衣です。マッサージの際には脱いで施術を受けます。
直接灸
直接灸はお灸方法の1つです。皮膚ともぐさの間に別の物を挟む「間接灸」に対して、皮膚に直接もぐさをのせて熱を伝える方法を「直接灸」といいます。間接灸のように優しく温める方法ではなく、熱による刺激を与えることでさまざまな体のトラブルの改善を目指す方法です。 直接灸には主に2種類の方法があります。1つが施術後に皮膚に跡が残らない「無痕灸」です。皮膚のツボとなる部分にもぐさを直に置き、点火したら、もぐさが燃え切る直前に火を消します。もう1つが施術後に皮膚に跡が残る「有痕灸」です。もぐさを燃やしきる「透熱灸」のほかに、皮膚に火傷を生じさせることにより免疫力が上がることを期待する「打膿灸」、ウオノメやタコの除去を目的とした「焼灼灸」という方法もあります。
ツボ(経穴)
東洋医学による考えで、生きる上で欠かすことができないエネルギーである「気」が通る道を「経絡」といいます。そして、経絡の上にあって、気の出入り口のポイントとして気が集まる部分が「ツボ」なのです。ツボは正式な名称を「経穴」といいます。体中に無数に点在していて、もんだり押したりして刺激を与えることで体のトラブルの改善に期待が持てるといわれているのです。 体調と気の流れとの間には強い関連があり、気の流れが悪くなると経絡やツボにも影響が見られます。そのため、体内の各器官と関連をもつツボの状態を調べることにより、どこが悪いのかを知ることができるのです。そして、異常が感じられるツボに刺激を与えることにより、気の流れがスムーズになるように促し、病気の改善へとつなげていきます。
デトックス
デトックスとは、体内に溜まっている毒素を体外へと排出することを意味します。「解毒」や「体内浄化」といわれることもあります。毎日の生活の中には環境ホルモンや食品添加物、大気汚染といったさまざまな有害物質が存在していて、知らないうちに体内に取り込んでしまっているということは少なくありません。通常の場合、便や尿、汗などから体内に溜まった毒素は体外へと排出されていきます。しかし、十分に排出することができていないと、疲れやだるさを感じたり、ニキビなどが生じたりといった症状が現れる場合があるのです。デトックスで体内の有害物質を取り除くことにより、体内の血行が良くなり、新陳代謝の促進と免疫力アップの効果が期待できます。そして、それによって健康面でも美容面でも良い効果が生まれる可能性があるのです。
頭皮マッサージ
頭皮マッサージは、手の指などを使用して頭の皮膚をもんだり、押したり、叩いたりするマッサージです。専用のオイルなどを使用して事前に滑りを良くしておくことで、頭皮を傷めることなく適度な刺激を与えることが可能となります。頭皮マッサージでは、頭皮に刺激を与えることで頭部の皮膚の中にある血流を促します。そして、血液とともに頭部全体に行きわたった栄養は髪の毛にも届き、健康的な頭髪の成長に期待が持てるようになるのです。 マッサージにより新陳代謝が促されると頭皮のターンオーバーが活発化し、古い角質とともに毛穴を詰まらせている汚れも取り落されます。そのため、頭皮のトラブルや薄毛の悩みの改善にも期待が持てるようになります。また、健康的な毛を作ることで美髪を手に入れることも可能になるとも言われています。
東洋医学
東洋医学とは、中国やインドなど東洋の諸地域で発祥した医学のことをいいます。体内にある器官や組織を個の存在として考え、そこから病気の原因となるものに注目し、病気を治癒するのが西洋医学です。しかし、東洋医学では人は自然の中の1つであるという考えを持ち、体を構成するすべての器官や組織も同じく自然の1つという考えを持っています。そのため、病因だけに注視するのではなく、自然との調和の中で個々の体調に従いながら、病気の回復を目指すという治療方法を行っているのです。体調不良の根源となるものをため込まないような施術や、体調のバランスを維持するためにトラブルが生じた部分を修復する施術を行います。さらに、病気にならないために健康のベースとなる免疫力を付ける施術も行います。日本では、東洋医学というと具体的には鍼灸や漢方などのことを表し、広義では、アーユルヴェーダやチベット医学なども含まれます。