爪が生活の“質”を変える!介護の現場を支える『爪ケア』#1

自分以外の人の爪を切ったことがありますか? ただでさえ、他人の爪をケアするのは難しいことで、さらに巻爪などのトラブルがある爪となると、専門的な知識や技術がなければ正しく切ることは無理な話。でも、爪のケアについての正しい知識や技術を持っている人はあまりいないため、とくに高齢者や障害者などのいる福祉施設では、利用者の爪のケアについての大きな問題を抱えているそうです。
ネイリストとして活躍する松本めぐみさんは、その問題と真摯に向き合い、介護に特化した爪のケアサービス『爪ケア』を行っています。爪の重要性や、「爪ケア技能者」という資格を取得できる技能検定のことなど、いろいろ伺いました。『爪ケア』が、より多くの人々に伝わっていくことで、介護の現場に大きな変化が起きそうです。

福祉施設のニーズから生まれた『爪ケア』

爪ケア
介護施設で求められる『爪ケア』のサービス。

松本さんは、もともとは「ネイルアート」を施すネイリスト。現在もネイルサロン「プレミアムケアサロンSouRa爪楽」を経営しています。「ネイルアート」は、あくまでも爪に色やパーツなどをつけてアートを楽しむもの。メニューにアートを引き立てるためのケアは含まれますが、爪のトラブルを改善するためのものではありません。松本さんによると、

「一般的に、ネイリストはトラブルのある爪を施術してはいけないとされています。重度の巻き爪などに悩む人が多い中、病院でもその治療は難しくて、手術で症状を改善しても、結果悪化してしまうパターンもあります。お医者さんからも爪のトラブルのケアは、敬遠されているのが現実なんです」

松本さんが行っている『爪ケア』は、爪が抱えているトラブルを改善・予防して本来の美しさを引出すことを目指します。ネイリストとして独立を考える中、『爪ケア』に乗り出すきっかけになったのは、ある障害者施設の看護師さんからの「利用者さんの爪のケアが上手くできなくて、爪切りしても快適でなかったり、ケガをさせてしまったり。手伝ってもらえませんか?」という相談だったそうです。

原点は「どんな爪でもケアできるようになる」こと

松本さん
『爪ケア』を広める活動をしている松本めぐみさん。

爪のケアについてそんなニーズがあることを運命的に知った松本さんは、爪トラブルの改善や予防について学び、とにかく実践を積んでいったそう。ネイリストは「ネイルアート」のプロですが、そこから一歩踏み出して「爪のケア」のプロになることを目指すことになったのです。爪の状態は人それぞれで、トラブルの程度もバラバラ。高齢施設では、平均すると全体の3割以上の方がトラブルを抱えている状態なんだとか。

「どんな爪でもケアできるようになると心に決めて、とにかくたくさんの方の爪のケアをさせていただきました」と松本さん。

こうして習得した技術を『爪ケア』というサービスとして提供しながら、介護施設や障害者施設で働く介護士や看護士、職員の方々に教える活動をしてきました。

「介護施設には、自分の爪を切れない高齢者の方がたくさんいるので、爪のケアは介護行為として欠かせないもの。正しいケアは、爪トラブルの予防にもつながります。でも、介護士や看護士が爪のケアについて学ぶ機会が少なく、重要性が理解されていません。そのため間違ったケアが行われていたり、爪トラブルが放置されて重症化してしまったりするのです」

そんな介護の現場で『爪ケア』は注目され、広がりを見せているそうです。

生活そのものの質を上げる『爪ケア』

爪ケア
正しい爪のケアから信頼関係も生まれます。

トラブルのない健康な爪でも、上手く手入れができていないと意図しないところで自分や他人を傷つけてしまったり、衣服や寝具が引っかかったりしてストレスの元になります。また、爪先にちょっとした痛みがあるだけでも無意識にかばって生活してしまうので、身体の他の箇所に影響が出てしまうことに。松本さんいわく、

「高齢者は長年の生活習慣や病気から、爪のトラブルを抱えてしまっているケースが少なくありません。特に足の爪トラブルはとても多いんです。さらに病気によっては、出血の予防のために自分で爪を切ってはいけない場合もあります」

だからこそ、高齢者の介護の現場での『爪ケア』のニーズは特に高いそう。さらに爪トラブルは、歩行などのリハビリ効果にも影響するそうで、

「爪の状態が悪いと、リハビリ効果もあまり出ないことがあります。爪トラブルが歩行困難の原因になっていることも。爪のトラブルを抱えたままでリハビリを行っても、本当の効果が引き出せません」

正しい技術で巻爪などのトラブルを解決し、リハビリ効果を上げることもできる『爪ケア』は、利用者の生活そのものの質を上げる技術。これからの介護の現場になくてはならない存在になりそうです。#2では『爪ケア』を学んで技能資格を得られる「爪ケア技能検定」についてご紹介します。

取材・文/宮内ともこ

Profile

松本さん

松本めぐみさん

株式会社BestQuality 代表
あらゆる「爪」を観察、研究し、自ら確立した『爪ケア』のサービスを介護施設や障害者施設などへ出向いて提供しながら、介護士や看護士向けの講習会を行い『爪ケア』の技術を伝える活動もしている。「爪ケア技能検定」を構築し、全国に展開準備中。
日本ネイリスト検定1級 ジェルネイル検定上級 巻爪ペディグラス技術者

プレミアムケアサロンSouRa
http://soura.jp/

※※この記事を見て「爪ケア技能検定」を受講希望の方には受講料を割引させていただきますので、support.1@bestquality.jpまで、ぜひお問い合わせください。

爪でコミュニケーション!介護の現場を支える『爪ケア』#2>>

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