『とって良かった！ 美容師の役立つ資格』＃１ ヘアケアマイスター
スキルアップや接客の質の向上につながる、美容師向けの資格についてご存知ですか？ 今回は「ヘアケアマイスター」の資格をご紹介。実際に資格を取得されたU-REALM ginza のスタイリスト・谷垣良和さんお話を伺い、資格取得のメリットについて教えていただきました。
そもそも「ヘアケアマイスター」ってどんな資格？
――まずは資格の概要について教えてもらえますか？
「ヘアケアマイスターについて端的に言うと「ヘアケアの知識が豊富で、お客様に対して的確なケアとアドバイスが行える」ことを証明する資格です。サロンに来られたお客様の髪質や髪の状態を見極め、その人に合った施術や、お手入れ方法を提案できるようになることを目的としています」
――なぜこの資格を取得しようと思ったのですか？
「以前働いていたサロンで、店が推奨しているトリートメントをサロンと自宅の両方で使用してくださっているお客様の髪が、なぜか“キレイ”にならなかったんです。それをきっかけに、漠然とですが、ディーラーやメーカーが謳っている商品の効果に対して疑問を持つようになりました。その疑問がやがてシャンプーやトリートメントの成分についてもっと知りたいという気持ちにつながり、以前から耳にはしていたヘアケアマイスターの資格に興味を持ち始めたことがきっかけですね」
――実際に取得してみて、仕事の中でどのように役立っていますか。
「ヘアケアにまつわる色々な事柄において、幅広く物事を考えられるようになりました。例えば、同じノンシリコンシャンプーなのに、どうして良い商品と悪い商品があるのか。資格取得を経て、商品に含まれる成分についての知識が身に付いたからこそ、商品の善し悪しについて理解し、納得できるようになったんです。おかげで、今では説得力を持って商品をおすすめすることができるようになりました」
プロとしての責任を果たせることが資格取得の意義
――「資格を取ってよかった！」と感じる瞬間を教えてください
「今の時代、知りたい情報はスマホでいつでも手軽に取得できるようになりました。髪のことにしろ、ヘアケア商品のことにしろ、肌のことにしろ…。“知りたい”と思いさえすれば、お客様はすぐに目当ての情報にアクセスすることができます。そんな情報が氾濫した現代においても、美容師は美容のプロとして髪や美容に関することは、お客様よりも詳しくなければいけません。Webに溢れている情報の中には、事実とは異なる誤った情報も多いので。僕たちはプロとして仕事に誇りを持つ限り、お客様に正しい情報を届け、アドバイスする責任があります。ですから、資格取得を通してヘアケアの正しい知識を身につけられたことに関しては、日々満足感を得ていますね」
――今後、取ってみたい資格はありますか？
「2つほどあります。1つは『メイクアップアドバイザー検定』。今でも作品撮りなどでモデルさんのメイクは行っていますが、専門的なレベルとは言えません。今後はお客様にヘアとメイクのトータルでアドバイスができるようになりたいので、受検を通して専門的な知識とスキルを身につけたいと思っています。もう一つは、意外と思われるかもしれませんが『MBA（経営学修士）』です。美容師の仕事は好きですが、一スタイリストとして一生続けられるかというと、体力面など不安材料があることも事実。今は人生の選択肢の一つとして、ビジネス方面に進むことも視野に入れています。その上で、チャンスが舞い込んだ時に、準備不足でそれを棒に振ることがないように、資格の取得を検討しています」
――最後に、記事を読んで資格取得に興味を持った読者の方に向けて一言お願いします
「プロとして、お客様の信頼に応えるためには専門的な知識への理解が不可欠です。僕自身、ヘアケアマイスターの資格を通して、現場仕事だけでは取得できないたくさんの知識を身に付けることができました。知識の取得はプロとしての心構えを養うことにもつながるので、皆さんも興味のある資格があれば是非チャレンジしてください」
資格取得のメリットから、プロとしての心構えまで。ためになるお話をありがとうございました！
後編では、「色彩検定」について、取得者のインタビューをお届けします。
取材・文／甘佐直人（レ・キャトル）
撮影／中村 早
