鈴木 真 interview＃2：クオリティを上げるには、何ごとも反復するしかない
『hair studio LEVEL』は、2015年に神奈川県藤沢市にオープンした美容室です。コンセプトは“大人の美容室”。北欧のカフェを思わせるおしゃれで落ち着いた雰囲気が特徴です。壁一面が黒板になっている子供用のスペースもあり、家族連れにも人気があります。
そんな『hair studio LEVEL』は、なんと床から机、カウンターまで手作りされたお店。作った方は藤沢生まれのオーナースタイリスト、鈴木真さん。小さな頃から物作りが得意で、プログラミングから溶接までをこなしてしまうすご腕の美容師です。今回は独立したきっかけや、お店をどのように作り上げたのかを語っていただきました。
必死のお店作り、人生で一番忙しかったとき
――独立したきっかけを教えてください。
「息子の保育園が近所に決まったことが一番大きなきっかけでした。うちは、共働きでして、毎朝子供を学校へ送るのは、僕の担当になったんです。そうすると、出勤がどうしても遅くなることがありますし、お迎えや緊急事態があったときに身動きがとりにくい。自分の自由にするためには、お店を出すことが一番でした」
――お店を作るのには、どのくらいの時間がかかりましたか？
「2ヵ月かかりました。2015年の2月頃に物件を見つけ、6月から自分でお店を作り始めて、8月にオープンしました。とにかく必死でしたよ。暑い時期でしたがまだエアコンが動かなかったので、1.5リットルのスポーツドリンクを何本も買ってきて氷水で冷やし、飲みながらひたすら作業。気づいたらお店で寝ていて、目が覚めればまた作る。起きている間はずっと作業です。人生で一番忙しかったと思います」
144枚の板との格闘
――具体的にどのようにお店を作っていったのかを教えてください。
「まずは、小さなお店をレゴブロックで作り、この空間にイスを何席置けるかなどの、シュミレーションをしました。それを眺めては修正して、また組み立てる。この繰り返しですね。お店のコンセプトを“大人の美容室”にしたので、北欧にあるカフェを思わせる美容室を目指しました」
――一番大変だったところはどこですか？
「床ですね。元々はコンクリートだったので、そこに板を１枚１枚並べていきました。使った素材は床用の板ではなく、建築現場で使われていた足場板です。サイズが統一されておらず、加えて大きな板なので反りができていました。丸鋸で5ミリ切り、大きさを合わせるところから始めて、続いてコンクリートに接着材を塗り、板をはめます。反りがあるものは片方が浮き上がるので、そこに重いものを置いてまっすぐに矯正する。この作業を繰り返し、すべてで144枚並べて床を作りました。今までいろいろ物作りをしてきましたが一番大変でしたね」
吊り棚で、よりカフェらしさを
――この先、お店をどう作り変えていく予定ですか？
「店内に吊り棚を作るつもりです。お店にカウンターがあるので、そこにワイングラスが逆さに置く吊り棚を作れば、よりカフェらしさが演出できると思いますので。また、お店の外装にも手をつけたいと思っています。階段からエントランスまでを少しずつ可愛くし、ウッドデッキやバーベキューエリアもあればいいですね」
――今後の目標を教えてください。
「スタッフがおもいっきり働ける職場を作ることです。約2年間ずっとひとりで営業していたのですが、最近やっと仲間が増え、環境がフルに使えるようになりました。スタッフは主婦が多いので、16時半あがりで土日のお休みも取ってもらっているんです。普段の生活にしばられることなく、とにかく自分が持っている技術と知識を存分に生かして活躍して欲しいですね」
最近は溶接の勉強をし、傘立てを作っている最中とのこと。物作りは初めから上手くいくわけがなく何度も練習すれば、少しずつクオリティが上がるそうです。行くたびに、お店が作り変えられている素敵な美容室『hair studio LEVEL』。ぜひ訪れてみてください。
Profile
鈴木真さん
hair studio LEVEL オーナースタイリスト
1979年、神奈川県藤沢市出身。専門学校卒業後、鎌倉市内の美容室にてスタイリストデビュー。2009年藤沢市内の美容室で副店長として働く。その後、フリーランスを経て2015年『hair studio LEVEL』をオープン。
Salon Data
hair studio LEVEL (ヘアースタジオ レベル)
住所：神奈川県藤沢市弥勒寺2-6-4 永井店舗2F
TEL・FAX：0466-52-5551
Mail：info@hairstudio-level.com
http://hairstudio-level.com
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