思いつきをカタチにするアイデアと行動力 『Labyrinth』
Like and beauty you.このキーワードを名前の由来にもつ「Labyrinth」は、ゲストはもとより、スタッフがいかに長く働けるかを考えてくれるサロンとしても関西の美容業界でその名が知られているお店です。旗艦店は大阪のトレンド発信地であるアメリカ村に据え、大阪郊外の同エリアに3店舗、さらに梅田にはアイラッシュサロンを精力的に展開しながらも、どの店舗もアットホームさを重視した店作りが基本。店舗を多数展開しながらも、あえて「中バコ」にこだわる理由や美容師としての働き方など、幅広い視点から今後の美容業を捉えているオーナーの西尾隆介さんにお話を伺いました。
あえて「大バコ」にしない、という選択
――現在全6店舗となるLabyrinthさんですが、西心斎橋にあるこの店舗を含めてどのお店も居心地の良さやアットホーム感を重視したお店だと伺っています。店舗展開をする中で大規模店を選択しないのには理由がおありなのでしょうか？
「自身が独立する前に勤務していたサロンはいわゆる大バコと呼ばれる規模のサロンで、その後独立をする際に自分で選んだ最初の物件は10坪の小さなスペースでした。この店舗は10坪の店から移転して今年で4年目を迎えるのですが、これでも以前と比べるとかなりスペースは広がったんですよ（笑）。サロンの規模について、大規模店は大きいからこその良さがあるとは思うのですが、例えば施術中のゲストの背後を知らないスタッフが通ったり、他のお客様が気になったりと、リラクシングという面でやはり落ち着かないところがある気がします。ヘアサロンってお客様にとってはプライベートな空間や時間だと思うので、それを損なわない店作りというのは常に念頭にありますね。そのためこの店でも、不要な壁をあえて多く設けることでお客様同士が顔を合わせることのないようにしたり、そのお客様に携わっていないスタッフが背後を通る必要のないような空間を意識して作っています。セット面を多く作るというよりは、よりリラックスできる空間でありたい。これが僕の店作りに対しての基本的な考え方なんです」
現在はスタッフの約半数はパートタイム
――各店舗にキッズスペースがあるそうですが、キッズスペースを全店に設置した理由は？
「お客様のためというのはもちろんですが、実は育児をしながら働くスタッフのためという一面もあります。最近では結婚や出産を経ても勤め続けられる美容室が増えていますが、現状ではまだ育児と仕事の両立が難しい、働ける時間に制約があり職場で肩身が狭い、などの理由で仕事を諦めざるを得ない女性スタイリストも少なくありません。ちょうどこの店をオープンさせた当時はまだパートタイムでスタイリストが働けるサロンも少数だったので、じゃあ自分がその環境を作ろうと。例えば何らかの事情で子供を預けられなくても、職場にキッズスペースがあれば見守りながら仕事ができますよね。美容室にとってスタイリストは財産なので、スタッフの働き方の選択肢が増えるような会社でありたいと常に思っています。自分の挑戦したいことにスタッフの意見を反映していくのが僕の理念なので、バリバリ仕事したい、家庭を優先したい、その両方が叶う職場環境を作ることが大切。人間って年齢やライフステージによって大切なものが変わっていくので、その変化に対応できるような柔軟な職場にしたいですね。現在は全店舗でスタッフが22名いますが、その半分がパートタイムのスタイリストです」
お互いが納得して働ける環境作り
――お客様にとって、またここで働くスタッフにとってどういった店でありたいですか？
「お客様、スタッフのいずれにも共通して言えることは、長く通えるサロンでありたいということです。例えばお客様の場合は、常に新しい提案をしてくれる、来るたびに新鮮な自分と出会えるようなデザインやスタイリングをしてくれると感じてもらえるようなサロンでありたいし、スタッフに対してはここで長く働きたいと思える場所でありたい。美容師の中にはネームバリューや売り上げ重視で店を選ぶ人もいますが、ここで自分が何をしたいか、したいことをやるために何をするかを一緒に考えて実行できるような店として、長く勤めたいなと感じて欲しいですね。そのために、スタッフ教育に関しては撮影などを積極的に取り入れながら自分の苦手な分野を補うような内容を毎回行っています。撮影にしろ、ヘアメイクにしろ、好きなことをやるためには絶対に苦手を克服しないといけないので、自分の夢を叶えるために必要なスキルを身につけるためのレッスンを意識していますね」
サロンワークだけでなく作品撮影にも力を注ぐ西尾さんですが、後編では作品撮影にこだわる理由や今後のLabyrinthの目標などをより深く探っていきます。
Profile
西尾隆介さん
代表取締役
高知県出身。高校卒業後に美容専門学校へ進学するが当時は特に美容師を目指していたわけではなく、都会に出る手段として大阪の美容学校進学を選んだそう。実際に美容師として働くうちにその魅力に目覚め、独立後わずか3年間で4店舗を出店するという経営手腕にも定評が。
