あん摩マッサージ指圧師が個人事業主になると確定申告が必要? 確定申告が必要になる場合と手続き方法についてお伝えします
あん摩マッサージ指圧師は、国家資格として法律や、厚生労働大臣に認めら、マッサージが出来る資格を持った人となります。マッサージが法律でも認められ、開業権も認められているので、独立して自分のお店を持つことも可能です。
職人とも言えるマッサージ師ですが、しっかりと知識も技術も持っていても、独立すると経営者としての力が問われるため、苦労してしまう人も多くいるようです。
独立して自分のお店を持つことが夢という人も多くいると思いますが、なかなか手続きや税金の計算や支払い、経営者としてやっていけるかなどの不安から迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、マッサージ師として独立開業するために、個人事業主としてどのような準備や手続きを行い、どのように収支・経費・納税などの計算を行えば良いのかなどを詳しく紹介していきます。
マッサージ師が個人事業主になると確定申告が必要になる?
マッサージ師として独立して開業することにした場合、個人事業主として働くことになります。通常の雇用されて働くのであれば、収入の計算や保険料、所得税といったお金周りは会社側が責任をもって行ってくれます。
しかし、個人事業主になると会社の代表は事業主である自分になるため、誰かが勝手に計算をしてくれるわけではありません。日々の売り上げや経費、保険料や消費税、所得税など難しい計算をしなければならないことも多々あります。
最終的には、確定申告にて国に対して報告を行っていくわけですが、一定の条件であれば確定申告も必要ないという場合もあります。どういった条件であれば確定申告が必要ないのか、または必要なのか、確定申告を忘れるとどうなってしまうのかを詳しく説明していきます。
確定申告とは?
最初に確認しておくことは、確定申告という制度についてです。サラリーマンなど一般的な、会社に勤めて正社員として働いている場合には、確定申告を行うことはありません。
副業を行っていたり、万馬券を当てるなど、一時的に収入が多くあった時は確定申告が必要になる場合もありますが、お小遣い程度の収入であれば確定申告の必要性はありません。
確定申告が必要な場合、1月1日から12月31日までの所得額や経費、保険料などの計算を行い、翌年の2月16日から3月15日の間に、最寄りの申告会場やインターネットにて税務署へ書類を提出することになります。
確定申告が必要になるケース
先ず確定申告が必要になる場合ですが、正社員として会社に勤め年収が2,000万円を超える人、正社員として勤めながら副業も行い、年間の収入が20万円以上あった人、会社に勤めているが年末調整を会社で行わない契約を結んでいる人、2か所以上の会社に勤めて給料をもらっている人などがあります。
他にも確定申告が必要な場合はありますが、必要な人の多くはいずれかに該当するかと思います。該当するか否か、不安な人は会社に確認をしたり、税務署の職員、税理士に相談をするのが良いでしょう。
確定申告が不要なケース
逆に確定申告が必要ない場合もあり、必要な人の条件を満たしていない人と言えますが、1つずつ確認すると、個人事業の所得が年間38万円以下の人、会社に年末調整をしてもらっている人、副収入が年間20万円以下の人などが挙げられます。
不要な場合でも、確定申告をした方がお得な場合もある
アルバイトで所得税を引かれており、年間の所得が一定額以下だったり、個人事業の所得がマイナスになってしまった場合など、いくつかのケースでは確定申告が不要でも、あえて申告をした方が良い人もいます。
特に事業所得がマイナスになってしまった場合は、申告を行うことによって住民税の額が考慮されて、また、赤字を最大で3年間繰り越すことも可能になります。
例えば1年目は赤字分で、2年目は黒字だったとしても、1年目の赤字分を2年目の黒字分と相殺して計算することが出来ます。これによって、納税額を抑えられる可能性もあります。
確定申告をしない場合にはどうなる?
もし、確定申告を行わずにいるとどうなってしまうのか気になる所です。悪質な脱税や申告漏れなどは、テレビのニュースでよく見かけると思います。
もちろん、単純に計算ミスや忘れていた場合、不慮の事故などで申告が出来ない人もいるはずです。
しかし、故意か否かに関わらず違っていた分の申告内容は修正して、納税が必要な場合には納めなければなりません。また、悪質な場合には重加算税など、通常よりもより重い税率が適用されてしまいます。
他にも、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、延滞税などケースによって様々な加算税が適用され、その中でも税率も変わってきます。とにかく、忘れたり違っていた場合には、一刻も早く税務署へ修正申告を行いましょう。
確定申告をするときに必要になってくることとは?
確定申告の方法としてはいくつかあり、最寄りの地域の申告会場で書類を作成して提出する場合、自宅で作成して印刷した書類を会場で提出する場合、自宅で作成と印刷を行って税務署へ郵送する場合、e-Taxを使ってインターネットで申告する場合があります。
どの方法でも、作成する内容などは変わらず、手書きかパソコンでの入力かの違いだけになります。自力で作成が難しい場合には、申告会場で税務署の職員や無料の税理士相談コーナーがあるので、安心して確定申告することができます。
確定申告で必要になる書類の準備
確定申告では、国民年金保険料の通知書や、源泉徴収、FXやギャンブルなどの配当など様々あります。また、個人事業主であれば、損益計算書、年間収益表、経費や取引の記録、不動産所得などお金に関わる書類を作成して提出しなければなりません。
最初は、国税庁のホームページでなにが必要なのかよく確認したり、税務署へ相談をしたり、税理士に協力してもらうなどをして申告漏れにならないよう確実に申告を行うようにしましょう。
経費で落とすことが出来るものと落とせないものの確認
特に納税額の数字に差が出てくる部分として、気にしておくべきは経費になります。経費とは、事業を行う上で購入した道具やサービスを行う時に使うお金のことです。
例えば、ゲーム実況系のyoutuberがゲームを購入するのと、美容師がゲームを購入するのでは、ゲーム代が経費になるか否かは分かると思いますが、当然ながら美容師の方は経費にはなりません。
髪を切るのにゲームは関係がないからなのですが、100%ダメとも言えず、税務署の職員を納得させることが出来れば経費になる可能性もあります。つまり、仕事に関係があることを証明できるのであれば、経費として認められるのです。
商品やサービスの内容によっては、判断の難しいグレーゾーンもありますが、先ずは納得のできる説明が出来るかどうかで経費にするか否かを決めましょう。マッサージ師の場合、何が経費になるのかは後ほど紹介していきます。
マッサージ師が青色申告で確定申告をするとどのような利点があるの?
個人事業主として申告をする場合、申告には2種類あり、白色申告と青色申告があります。どちらの申告方法でも問題はありませんが、いくつかのメリット・デメリットがあります。
白色申告
白色申告は、確定申告に必要な書類が青色に比べて少なく、比較的簡単に申告を行うことが出来ます。時間がない人にはメリットにはなりますが、青色よりは控除してくれる額が少ないため、余分に税金を支払わなければならないデメリットもあります。
具体的にどういった人が白色申告をした方が良いかというと、年間の収入額が少なく、確定申告にかけられる時間が少ない人は白色でも問題ないので、利用しても大丈夫でしょう。
青色申告
青色申告では、白色申告よりも多くの控除が受けられるので、納税額を減らしたり、事業での赤字を繰り越すことが可能になるなど、大きなメリットが受けられます。
しかし、青色申告をするための書類を事前に提出したり、申告に必要な会計処理が多かったりと、大変な部分もあります。
所得税の青色申告承認申請書
青色申告を行うには、あらかじめ税務署へ所得税の青色申告承認申請書を提出しなければなりません。申請書も申請自体も無料で行うことが出来ますが、提出期限が基本的に3月15日となっているので、分からない場合には税務署の窓口で書類をもらう際に相談してみましょう。
申請書が受理されれば、取りやめの届け出をしない限りは青色申告で毎年申請を行うことが出来ます。
年間損益表や経費などの提出
白色申告は、1年間どのくらい収入と支出があったかのまとめを提出すれば確定申告が完了します。しかし、青色申告を受けたい場合には年間損益はもちろん、具体的に経費などの出納帳の提出が必要になります。
出納帳などで詳しくお金の流れを申告する代わりに、より多くの控除を受けることが可能になります。特に、収入が多い人や経費を多く使う人は青色申告の方が確実にお得になるでしょう。
あん摩マッサージ指圧師が確定申告するときに経費と認められるもの
最後に、あん摩マッサージ指圧師は経費としてどのような物が認められるのかを紹介していきます。
ただし、個人事業主としてマッサージ師をしている人の中でも、働き方が人によって違う場合もあるので、それを踏まえたうえでお話を進めて行きます。
経費として認められる物
経費として計上できる物を紹介する前に、マッサージ師は大きく2つの種類に分けられるということからお話していきます。
1つは自宅やスペースを借りてお店を開いているケースで、もう1つは訪問マッサージ師として働いているケースになります。
家賃
自宅の一部を店舗として利用している場合、仕事として利用している部分の家賃を経費として計上することが出来ます。4部屋のうち1部屋を仕事場として利用しているのであれば、家賃の25%を経費とすることが出来ます。
訪問マッサージ師の場合は、仕事場として利用している部屋がない限りは、自宅の家賃を経費とすることは出来ません。
水道光熱費
こちらも考え方は家賃と同じで、どれだけ私生活と仕事で利用しているのかで割合を出して計上することになります。
消耗品
意外と経費として計上していない人が多いのですが、仕事で使うノートやペン、タオルやせっけんといった、何かしら仕事と関わりのある物であれば問題なく経費として計上することが出来ます。
1つ1つは額が小さいかもしれませんが、1年間こまめに買っていればかなりの額になるはずです。面倒くさがらずに経費として領収書を保管して計上するようにしましょう。
交通費・セミナー代
訪問マッサージ師であれば、施術を行う場所への移動費、また、技術を向上させるためにセミナーに参加するなど、仕事関連のイベントやそれに伴う交通費であれば、常識の範囲内で経費にすることが可能です。
書籍代
セミナーと同様に、仕事関連の書籍を購入したりした場合も経費として認められます。
広告代
ちらしを作成したり、ネット広告を出したりと、そういったお金は経費として認められます。
通信費
インターネットでホームページを運営したり、予約を取ったりするためのインターネット通信費も経費になります。しかし、携帯電話などに関しては仕事と共有であれば割合を出して計上しなければならないので注意しましょう。
確定申告を行うには日頃の準備をしっかりしておくことでスムーズにできます
売上が大きくなり、お店の規模も大きくなるほど確定申告が大変になってきます。そういった場合には、積極的に税理士や会計士を雇って、会計処理を手伝ってもらうか任せてしまうのも良いでしょう。
しかし、最初はできるだけ自分で確定申告を行うことで、お金がどう動いているのかを知っておいた方が経営者としての勉強にもなるはずです。
日頃から領収書の管理や出納帳を付けるなど、準備をしておくことでスムーズな確定申告が出来るでしょう。