「本当は東京で働きたかった」。失望から一転、ほれ込んだ茅ヶ崎という土地「ARUGO」小倉竜也さん

日本各地のさまざまな場所で独自の道を切り拓く人に注目し、その多彩なキャリアを紹介する本企画。今回ご登場いただくのは、茅ヶ崎で「ARUGO」、「IHHI」と2店舗を経営する小倉竜也さんです。

千葉県出身の小倉さんは、ドラマの美容師に憧れてこの道へ進み、都内での勤務を志してサロンに就職。

しかし配属されたのは茅ヶ崎の店舗でした。当初はその状況に絶望したという小倉さんですが、働き始めてすぐにこの街の魅力に惹かれ、その価値観は変わっていったといいます。

今回、お話を伺ったのは…

小倉竜也さん

「ARUGO」、「IHHI」オーナー・スタイリスト

高校卒業後、20店舗ほどを構える美容室に就職し、茅ヶ崎の店舗に配属される。働きながら美容師免許を取得し、約10年の経験を経て独立。現在は茅ヶ崎で「ARUGO」、「IHHI」の2店舗を展開している。「また会いたくなる美容師集団」を掲げ、人柄を重視したサロン作りに成功。地域からの支持を集めている。

インスタグラム

東京まで1時間。都会と自然が融合した街、茅ヶ崎

小倉さんが経営する「ARUGO」

――まずは、現在の働き方について教えてください。

2015年に独立し、茅ヶ崎で「ARUGO」と「IHHI」という美容室を経営しています。今も美容師として現場に立っていて、割合としては美容師が95%で、経営者が5%……。いや、時間がまったく足りていないので、経営者が30%くらいかもしれません。

――そうなのですね(笑)。経営されているサロンは、どんな特徴があるのですか。

特定の技術やサービスを打ち出すというよりは、徹底的にスタッフの人柄を大切にしているサロンです。「また会いたくなる美容師集団」であること。それが一番の価値だと考えています。

僕自身、いわゆるカリスマサロン出身でもなければ、コンテストで結果を出してきたタイプでもありません。そのため、以前は東京で活躍している美容師さんに対してコンプレックスを感じていた時期もありました。

ただ茅ヶ崎で働くうちに、技術力があることはもちろん大前提ですが、「お客様は人柄で指名してくれる」という実感が強くなっていって。今ではそれが自分の強みになり、サロンの方向性にもつながっています。

結果として、お客様もスタッフも似た価値観の人が集まってくれるようになり、リピートしてくださるお客様や長く在籍してくれているスタッフが増えていきました。

――茅ヶ崎は、小倉さんから見てどんな街でしょうか。

東京まで1時間ほどで出られる距離なので、都内から移住してきた人や通勤している人も多く、トレンドに敏感な人が多いと思います。その一方で海が近く、都会と自然がちょうどよく共存している街です。

僕は千葉の南房総出身で海の近くで育っているので、この環境はすごく肌に合っていると感じます。疲れたときに海を見に行ける安心感もあって、自然と自分のコンディションにも影響していると思いますね。

東京で働けなかった失望から一転。惹かれていった茅ヶ崎の魅力

茅ヶ崎で働くことは想定外だったと話す、小倉さん

――茅ヶ崎で働くことになったきっかけは?

元々は東京への強い憧れがあり、茅ヶ崎で働くとは思っていませんでした。僕は「カリスマ美容師ブーム直撃世代」で、木村拓哉さんのドラマを見てこの道に進むことを決めたので、働きたい場所は東京一択。

入社した会社は複数店舗を展開していて、東京にも店舗があったので、当然そこに配属されると思っていたんです。

しかし、研修後に配属されたのが茅ヶ崎で。正直、そのときはかなりがっかりして、「やめてやる」と思っていました(笑)。

――そんな気持ちだったのですね(笑)。それでも続けられた理由は?

僕は高卒で美容師免許を持たないままサロンに入り、通信課程で取得する予定だったので、まずは資格を取ることと、ある程度技術を身につけることが優先だと考えました。そうしないと再就職は厳しいと思ったんです。

また自分のキャリアを形成すれば、東京のサロンに異動することも可能だと聞いていたので、しばらくがまんするしかないなと。

でも実際に働き始めると3ヶ月ほどで茅ヶ崎の魅力にはまってしまったんです。逆にここ以外で働くことは考えられなくなってしまいました。

スタイリストとしてデビューするころには、東京で挑戦したい気持ちもまだ少しはありましたが、「お客様を幸せにする」という本質は、場所によって変わるものではないと感じていて。

東京でなくても同じようにやりがいは得られるし、むしろ自分に合った場所で働く方がいいかもしれないと思うようになり、東京へのこだわりが消えていきました。

人との距離の近さが、仕事も変えていく

小倉さんの美容師の師匠と、居酒屋の繋がりで仲よくなったという「親友」との一枚。今では茅ヶ崎という土地にすっかりなじんでいる

――茅ヶ崎のどんなところに惹かれたのですか?

とくに魅力的だと思ったのは人との距離の近さです。移住してきた人も多く、外から来た人を自然と受け入れてくれる空気があると思います。

飲みに行ったときに、気づけば隣の席の人と肩を組んでいるようなこともあって(笑)。それは僕の性格的な部分もあるとは思いますが、フラットな関係性を築けるこの街と相性がいいんだと思いますね。

街全体にあふれる幸福度の高さも感じます。大型犬を連れて散歩している人が多かったり、お花屋さんがたくさんあったり。お祝いを送り合う文化が根付いているような、心に余裕がある素敵な大人が多い街だと思います。

――その距離感は、お仕事にも影響していますか?

かなり大きいと思います。飲み屋で知り合った人が、そのままお客様になってくれたり、そこからまた新しい紹介につながったり。横のつながりが自然に広がっていくんです。

独立している人や経営者も多いので、お互いに支え合う関係も生まれやすい。そういう環境があったからこそ、美容師としての立ち上がりも比較的スムーズだったと感じています。

アシスタント時代のモデル集めや、スタイリストになってからの集客も含めて、人とのつながりに助けられる場面は多かったですね。


後編では、うまくいきすぎていたからこそ独立を決意したという小倉さんの、その後に迫ります。順調だった開業から5年、スタッフ全員が辞めかけるという大きな危機に直面したといいます。

また、働く場所に対する小倉さんの考え方についても詳しく伺いました。

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ARUGO
住所:神奈川県茅ヶ崎市共恵1-3-14 ライオンズプラザ茅ヶ崎駅前103
TEL:0467-40-4048

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