「ショートならこの人」技術の特化と地域のSNSを味方につけ、全国から予約が入る人気サロンへ 遠藤美容室 遠藤孝輔さん#1

埼玉県・与野本町にある「遠藤美容室」。住宅街の一角にある小さなサロンながら、海外からもお客様が訪れる人気店です。

オーナーの遠藤孝輔さんがほぼおひとりで切り盛りするこのサロン。決して都心の一等地にあるわけでも、華やかな大型店というわけでもありません。それでも多くの人に選ばれ続け、現在は予約が数カ月先まで埋まっています。

6年以上にわたって支持され続けている理由は、大人女性の悩みに特化した技術と、YouTubeを通じて築いてきた信頼関係にありました。

前編では、サロン開業に至るまでの遠藤さんのキャリアやコロナ禍での集客などについてお話を伺います。

今回、お話を伺ったのは…

「遠藤美容室」

オーナー 遠藤孝輔さん

埼玉県出身。山野美容専門学校通信科卒業後、新卒で埼玉県の美容室に就職。約3年勤務した後、都内のサロンへ転職する。在籍期間約15年の間に、スタイリストだけでなく統括マネージャーを担当し、経営の知識も得る。2020年に「遠藤美容室」をオープンし、独立。集客のために始めたYouTubeはチャンネル登録者数約6万人と人気を博しており、海外からもお客様が訪れる人気店となっている。

インスタグラム

Endou’S PROFILE

お名前

遠藤孝輔

出身地

埼玉県

出身学校

山野美容専門学校

趣味

動画編集

仕事道具のこだわり

自分の好きなものを使う。気に入らないものは使わない。気分が上がらないから。

縁とタイミングが重なり、統括マネージャーから店舗経営へ

「遠藤美容室」を経営する遠藤孝輔さん

――まずは美容師になったきっかけを教えてください。

中高生の頃、美容室に行っても「なんだか思い通りの髪型にならないな」と感じることが多かったんです。自分の理想のスタイルがあるのに、それがうまく伝わらないもどかしさがありました。

また、当時はGLAYなどのアーティストが流行っていて、ビビッドなカラーに髪を染めるスタイルにも憧れていたんです。ただ、一般企業に就職するとそういう髪型はなかなかできないですよね。だったら「美容師になれば好きな髪色にもできるし、自分の理想のスタイルも作れるんじゃないか」と思ったのが、この道を目指したきっかけです。

親には「人がいる限り、髪の毛がある限り、美容師という仕事はなくならない」と説得して、通信制の美容学校に進学しました。

――「遠藤美容室」をオープンする前の働き方についても教えてください。

約15年間都内のサロンで働いていました。90名規模の会社で、統括マネージャーを担当。いわゆる会社のナンバー2のような立場で、経営以外のほとんどの業務を任されていたんです。

僕はゼロから何かを生み出すというより、すでにあるものを伸ばして「1を100にする」役割が向いているタイプだと思っています。実際、社長からかなり仕事を任せてもらい、週のうち現場に立つのは3日ほど。それ以外の時間は求人活動やスタッフ教育、技術管理、売上などの数字管理といった裏方の仕事が中心でした。社長のすぐそばで会社のいいときも大変なときも経験しながら、マネジメントや組織づくりを学べたのは大きかったです。

――「すでにあるものを伸ばす方が向いている」とのことですが、独立することになったのは?

もともと「いつか絶対に独立したい」というタイプではなくて、どちらかというと経営を支える役割が自分には向いていると思っていました。

転機になったのは、知り合いから紹介された床屋の居抜き物件。最初は会社を辞めるつもりはなくて、働きながら副業のような形でお店を運営できたらいいな、くらいの感覚だったんです。

でもいろいろあってもともとそのお店にいたスタッフが残らないことになり、結果的に「箱だけ空く」という状況になってしまって。それなら自分で美容室をやろう、と決断したのがこの場所で開業したきっかけです。

強い独立志向というより、物件との出会いやタイミングが重なって、自然な流れで独立にいたりました。

地域を知るためXで地元の人とコミュニケーションを図る

常連のお客様で数ヶ月先まで予約が埋まっている「遠藤美容室」

――独立志向はあまりなかったとのこと、オープンにあたって不安はありませんでしたか?

不安はそこまで大きくなかったですね。というのも、オープンした2020年はちょうどコロナ禍。世のなか全体が不安定な時期だったので、「もうなるようにしかならないな」とある意味で開き直れた部分があったんです。

普通だったら、オープンしてお客様が来ないとすごく焦ると思うんですが、当時は「コロナだからしょうがないよね」という空気がありました。もし平常時にオープンして同じ状況だったら、プレッシャーの方が大きかったかもしれません。

また、積極的に「来てください」と宣伝するような雰囲気でもなかったので、安売りのクーポンを出して無理に集客することもありませんでした。結果的には、肩の力を抜いて自分のペースでスタートできたのはよかったと思っています。

――そんななかどのように集客をしたのでしょうか?

前職からは離れた場所にあるため完全にゼロからのスタート。しかも与野本町は縁もゆかりもない土地だったので、まずは地域のことを知るところから始めました。

そこで活用したのがTwitter(現在のX)です。与野本町という駅名で検索して、地元で投稿している人を片っ端からフォローしていきました。

フォローした方に自分からコメントをしたり、やり取りをしたりしていくなかで、少しずつネット上の知り合いが増えていったんです。僕自身は特別な発信をしていたわけではなくて、正直に言うと当時はくだらないこともたくさん投稿していました(笑)。

ただ、誰かとやり取りをすると、それを見ている別の人にも「この近くにこういう美容師がいるんだ」と知ってもらえるんですよね。まずは露出を増やして、地元にいる美容師だと認知してもらうことを意識していました。

「遠藤美容室」と名前をわかりやすくしたのもネット上とリアル店舗、どちらも覚えてもらいやすいと思ったからです。

昭和の頃だったら「〇〇美容室」って珍しくなかったですが、最近の美容室って横文字の名前が多く、覚えづらいし何のお店かわからないことってありませんか?オシャレな名前が多いなか、この時代だからこそ「なんだあの店?」と話題になるな、とあえて名付けたんです。地域で覚えてもらえることを1番に考えましたね。

ショート専門×大人女性。自分の「得意」を絞った理由

「遠藤美容室」にはさまざまな悩みを抱えた女性が訪れる(遠藤さんのインスタグラムより)

――ショートカットに特化しようと思ったきっかけは?

一番大きいのは、最初に働いた埼玉の美容室の社長、僕の師匠の影響です。ショートカットにものすごくこだわりのある方で、18〜19歳の頃に、襟足の作り方やシルエットの出し方など、ショートの基礎をかなり厳しく叩き込まれました。それが今の技術のベースになっています。

もうひとつは、お客様との相性です。前職の頃から50代から70代の女性のお客様を担当することが多く、自分の得意な客層だと感じていました。この世代は髪に悩みを持っており、バッサリ切ってみたいと思っても「どのサロンに行けばいいかわからない」という方が多いんですよね。ショートやボブに特化することで、その悩みにしっかり応えられると思いました。

――中高年層の女性をターゲットにした理由はありますか?

とくにターゲットを決めたわけではないのですが、ショートを得意としたことで、スタイルだけでなく髪質など根本的な悩みを持つ年齢層の女性に刺さったのではないでしょうか。

この年代は白髪や抜け毛、ホルモンのバランスなど髪の悩みが増える時期でもあるんです。そのためなかなか理想の髪型を叶えるのが難しくて。とくにショートの場合、襟足や顔周りの作り方で印象が大きく変わるので、そこにしっかり応えられる美容師になりたいと学び続けた結果、自然とご来店してくださる年代が絞られていきました。

――ショートカットでとくにこだわっている技術のポイントを教えてください。

一番こだわっているのは、襟足と顔周りです。とくに50代以上のお客様は襟足を気にされる方が多いので、ここはかなり丁寧に作り込みます。

顔周りはご自身でもある程度スタイリングできますが、襟足はベースのカットがよくないときれいに見えません。だからこそ、美容師の技術が一番出る部分だと思っています。

シルエットとしては、後ろをタイトに締めながら、全体はやわらかいラインに見えるようにするのが理想です。このあたりの考え方や技術は、最初に勤めたサロンの師匠から学んだものが今でもベースになっています。

あとは「早く切って、早くきれいにして帰っていただく」というのも自分のスタンスです。ショートは乾かすのも楽ですし、日常の手入れも簡単。忙しい大人女性にとって、家に帰った後も扱いやすいスタイルを提供したいと思っています。


後編では、ショート専門というブランディングや発信戦略、そして今後の展望について伺います。

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遠藤美容室
住所:埼玉県さいたま市中央区下落合5-10-9佐久間ビル1F
TEL:048-853-5651​

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