結婚式のきらびやかさより、そばにいる人たちの存在がどれだけ大事かを伝えたい 花嫁専門の姿勢の先生 南部綾さん#2
コロナ禍、思い通りの結婚式が挙げられず悔しい思いをした裏側で、そばにいてくれる人たちの存在が当たり前ではないことに気づかされた南部綾さん。理学療法士のキャリアを活かし、「花嫁専門の姿勢の先生」として活動スタート。
この後編では、お仕事への熱い思い、開業当初の集客や理学療法士とのダブルワークについても教えていただきました。
平日午前は理学療法士、サロンは夜帯と土日がメイン

――ほぼインスタ集客ですか。
はい。インスタのみですね。
――最初から順調でしたか。
いえいえ。花嫁アカウントをお持ちの方にDMを送って無料モニターを募集するところから始めました。とにかく経験を積みたかったので無料で施術させてもらう代わりに、ビフォーアフターの写真を撮らせてもらい、ご意見を聞かせてもらって。5名やらせてもらったところで、はじめての予約が入ったんです。
――はじめて予約が入ったときの心境は?
めっちゃ嬉しかったです。本当に忘れられないですね。これがゼロイチを達成することなんやって。引っ越してきたばかりで土地勘のない場所で、お金も減っていくしどうしようみたいなときのゼロイチだったので本当に嬉しかったです。
――きっと一生忘れられないでしょうね。
そうだと思います。結婚式まで結構迫っていた方だったので3回コースだったんですが、やっぱり緊張しました。無料モニター5名様の経験もあるし、改めて導線の確認もしたはずなのに、変な緊張感がありましたね。でも絶対にいい姿勢にするんだという気持ちが強かったですし、回を重ねるごとに結果が出てきたので嬉しかったです。
――いま理学療法士のお仕事もされているそうですね。
はい。訪問リハビリの仕事を週4回パート勤務しています。高齢者の方や退院後、自宅での暮らしで不便を感じている方のお宅に伺ってリハビリをさせていただいています。おひとり約40分、午前中に3軒ほどまわります。
――訪問リハビリというと、また病院の仕事とは違うのでしょうか。
そうですね。病院やリハビリセンターと違って、設備が整っていないのでご自宅にあるものでやっていかないといけない点がいちばんの違いです。8年間の病院での経験を活かしてどうやったらいいかひねり出しています。ベッドの上で施術したり、階段を上がったり廊下で歩く練習をしたり、お家の中でできることを考えるようにしています。
――サロンの仕事と週4訪問リハビリでお忙しいですね。
でも大変という感じはまったくないです。理学療法士も一生続けたいと思うくらい好きな仕事だったので、こちらはこちらですごく楽しい。めっちゃしんどいみたいなのはないですね。
「キラキラしてなかったから来ました」というお客様も

――まだ開業して間もないですが南部さんの強みはなんだと思いますか。
他にはないウェディングレッスン、理学療法士のキャリア。それと「キラキラしてなかったから来ました」というお客様の声も。
――詳しく教えてください。
ウェディング関連はやっぱりキラキラ映えの方向性でやっている方が多いんですが、それが苦手な方もいらっしゃるんですね。結婚式できらびやかなことも大事だけど、それよりも自分に関わってくれている方々の存在がいかに大事か。当たり前に隣にいるけどそれは全然当たり前じゃないよということを花嫁さんに伝えていきたいという思いが強いです。
――南部さんのそういう思いが投稿から溢れているのかも。
結婚式に対する熱い思いは誰にも負けないと思っています。コロナ禍での結婚式がものすごくいい思い出になって、一生続けていこうと思っていた理学療法士を辞めてでもやりたいと思った「花嫁専門の姿勢の先生」。施術だけじゃなくてセラピストがどんな思いで、どんな人間なのかを知ってほしいので、体験は必ず参加していただくようにしています。
好きなことが仕事になった。だからわたしにとって仕事は「趣味」

――このお仕事の魅力を教えてください。
結婚式当日の写真を送っていただき、それを見た瞬間が嬉しいです。体験でbefore写真の姿勢評価をした瞬間から、「この状態でドレスは着せられない。絶対に直してさしあげる」という熱い思いでお客様と関わって、後日、幸せそうな花嫁さんの写真を見せていただいたときは「わたしを見つけてくれてありがとう」という気持ちになります。
――これから新しい仕事をしようと考えている人にメッセージをお願いします。
新しいことを始めるのはなかなか勇気がいるし、ハードルが高いかもしれません。わたしの場合、理学療法士を活かせる仕事だったのでそれほどでもなかったんですが、病院でしか働いたことがなかったので知らないこともたくさん。
理学療法士含め士業の人たちはある種の誇りを持って働いている方が多いと思うんですね。でも一歩外に出てみると別世界。名刺交換もビジネスメールを送ったこともなかったので、YouTubeで名刺交換の仕方を覚え、いまでもビジネスメールを送るときはネットで調べながら。そういったスタート時の努力は必要だと思います。
――最後に南部さんにとって働くとは?
語弊があるといけないんですが「趣味」かもしれません。本当に好きでやりたいことなんですよね、これが。いままで趣味を聞かれても答えられなくて。でもこの仕事を始めてから、自分の中で楽しいことやワクワクするものってこれだと。好きなことが仕事になったということですよね。
南部さんが「花嫁専門の姿勢の先生」になるために行ったことは
1.まずは姿勢の重要性をインスタ発信
2.理学療法士のキャリアで培った技術を花嫁さん向けにアレンジ
3.花嫁アカウントで無料モニターを募集
今回、唯一無二のお仕事だなと取材オファーさせていただいた南部さん。熱い思いを持ち、飾らないキャラクターの南部さんの新職種、今後の活躍がますます楽しみです。
撮影/山田真由美
取材・文/永瀬紀子
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