ヘアカラーのパイオニア！ 道なき道を切り拓き、日本ヘアカラー文化の基盤を築いた『kakimoto arms』の経営術に迫る
1976年、自由ヶ丘に1号店をオープンした美容室『kakimoto arms』。特徴はなんといってもヘアカラー。1995年には日本初となるヘアカラーの専門店をオープン、翌年には『ヘアカラー協会』を設立するなど業界のトップに立ち技術の普及に努めてきました。現在は都内を中心に12店舗を展開中。圧倒的な顧客満足度を誇り、お客さまの理想を叶え続けています。そんな『kakimoto arms』が成功した背景には、未知のジャンルを開拓するチャレンジ精神や男性ファンを獲得するためのサロン運営の工夫がありました。
今回は取締役の村松亜子さんに安定した成果を上げる極意を伺いました。
————まず『kakimoto arms』が高い支持を集めている理由は、どのようなポイントにあるとお考えでしょうか？
「ヘアカラーという圧倒的な武器を持っていることだと思います。現在はカラーの市場と言われるほど美容室では欠かせないメニューになっていますが、『kakimoto arms』では、ほとんど日本にカラーの技術が浸透していなかった30年前から力を入れてきました。当時は不良が好むスタイルという認識が世間にはあり、カラーにネガティブなイメージを持っている方が多くいたんです。そこで1994年に日本で初めてヘアカラーリストの育成に取り組み始め、翌年には自由ヶ丘にヘアカラー専門店をオープン。1996年にはヘアカラー協会の設立と、業界の先頭に立ってカラーを日本に普及するために努めてきたんです」
————『ヘアカラー協会』はどのような活動に取り組んできましたか？
「ヘアカラーのきちんとした知識を広める活動を続けてきました。先ほども話しましたように、当時はマイナスイメージを持っている方が多くいたのでカラーの技術をいくら身に付けても、受け入れてくれる雰囲気でなければ意味がありませんでした。そこで、航空会社、ホテル、銀行、自衛隊など、さまざまな企業を訪れてカラーの種類や印象の変化などを具体的に説明して回ったんです。たとえば『御社はホテル業なので、ここまでの明るさならお客さまに好印象を与えることができると思います』といったように、レベルスケールをお見せしてヒアリングをしながらカラーの基準を作っていきました。当時はそこまでの技術力を持っているサロンはほとんどありませんでしたから、ご説明をして興味を持っていただいた方が多く訪れてくださったんです。他にも全国の美容師への技術講習も行い、現在のカラー技術の土台を作っていきました。またカラーに力を入れたことで、自然とそれ以外のメニューも充実していきましたね」
トータルビューティーの提供でファンを獲得
————なぜヘアカラーを充実することで、それ以外のメニューも充実したのでしょうか？
「ヘアカラーを変えると全体の印象が大きく変わるため、トータルビューティーのニーズが高まるからです。たとえば、お客さまは髪色に合わせてネイルを変えたくなりますし、カラー剤を使うことでどうしてもダメージを受けるため髪のケアが必要になります。また眉もヘアの色味に合わせるので、カラーにマッチした形に整えたいというニーズが出てくるんです。そこで『kakimoto arms』ではそれぞれの分野を提供するセクションをサロン内に用意し、ネイリスト、アイリスト、セラピストなどのスペシャリストの育成にも力を入れました。ヘアカラーの技術を高めたことで、トータルビューティーを提供する先駆けのサロンというポジションを確立することもできたんです」
男性のお客さまから信頼を得ることで、安定した集客を実現
————ヘアカラー以外で特徴的な取り組みがあれば教えてください。
「12年前に、男性専門サロン『MEN’S GROOMING SALON』を立ち上げたことも効果的でした。現在は新宿店と銀座二丁目店はサロン内に併設しており、青山と六本木には単独の路面店を構えています。男性はどうしても女性が近くにいると、日頃の悩みを打ち明けることができませんからね。専門店を立ち上げる前から、サロン内のお客さまの男女比に配慮して予約を調整するなど工夫をしてきましたが、年々男性の方のニーズが高まってきたので専門のスペースを作りより居心地のよい環境を整えたんです。予想以上に、安定した業績を上げることにつながったのでとても驚きましたね」
————なぜ、男性専門店は安定した業績につながったのでしょうか？
「女性に比べて男性は、目移りしにくいので圧倒的にリピート率が高いんです。ちなみに、男性のお客さまのリピート率はだいたい85％ですね。日頃から、おしゃれの話題で会話をすることがそれほどありませんから、流行に流されることなく通い続けてくれる方が多いと思います。また来店周期も早く、3～4週間に一度は来店されますね。男性ファンを獲得することは美容室にとってはとても大切なポイントだと思います」
安定した成果を上げる極意
道なき道を切り拓き日本のヘアカラー文化の基盤を築いた『kakimoto arms』。安定した成果を上げる極意をまとめると下記の3つでした。
１.未知のジャンルを開拓するチャレンジ精神を持つ
２.それぞれの分野のスペシャリストを集めてトータルビューティーを提供
３.男性ファンの獲得により安定した成果を実現
後編では強いチームを作る方法に迫ります。
▽後編はこちら▽
ベテランこそチャレンジを！新人から熟練者までが同じフロアで刺激を与え合う『kakimoto arms』の強い組織力の秘密に迫る>>
Salon Data
kakimoto arms 新宿店
住所：東京都新宿区新宿3-24-1新宿 M-SQUARE 2F
TEL：03-3226-3320
https://kakimoto-arms.com/
