JNAネイリスト認定講師とは? 目指す方法と資格取得のメリットを紹介
サロンで働くネイリストが一定の経験を積むと、自分でお客様に施術を行なうだけでなく、部下や後輩へ指導・教育することも増えてきます。しかし、自分が持っている知識やスキルを人へ伝えて、その人ができるように指導するのはかんたんなことではありません。
指導者としてのスキルを上げたい方や、人に教えるのが苦手な方は、JNAネイリスト認定講師の資格を取得してみてはいかがでしょうか。
今回は、ネイリストの認定講師を目指す方のために、認定試験の概要、受験資格と必須資格、認定講師になるメリットなどについて解説します。
JNA認定講師とは?
NPO法人日本ネイリスト協会が認定する資格のひとつで、プロネイリストのなかでも、講師としてネイリストを育成できるレベルの知識と高い技術力があることを証明します。
JNA認定講師の資格を取得すると、JNAのネイル資格試験の試験官やスクールの講師として働くことも可能です。また、自分でスクールを開きたいと考えて、取得を目指す方もいます。
ネイリストの認定講師にはどうすればなれるの?
まずは、JNAの認定講師になるためには、どのような条件があるのかお話しします。
JNA日本ネイリスト協会の認定講師資格試験に合格しよう
JNAの認定講師は、プロ中のプロともいえる資格です。資格取得までの道のりは長いですが、取得することで自身のスキルやキャリアアップができるなどのメリットがあります。
ネイルに関する仕事を目指すのであれば、JNAの認定講師資格試験の合格を目標に設定し、指導者としても技術力の高いネイリストを目指すのもおすすめです。
おもな受験資格の内容を紹介!
JNA(日本ネイリスト協会)の認定講師資格試験を受験するためには、ネイルに関する深い知識と高い技術が求められます。
そのため、JNA認定講師資格試験では、受験資格として取得必須の資格が定められています。ここでは、そのうちのネイル関係の受験資格を紹介します。
ネイリスト技能検定試験1級に合格+1級合格認定日より1年以上経過
ネイリスト技能検定試験は、国内だけでなく海外でも通用するネイリストを目指す資格で、1~3級まであります。
認定講師受験に臨む方は、トップクラスのネイリストに必要な総合的な知識と技術を身につけることができる、1級の取得が必須です。
ただし、受験資格を満たすためには、ネイリスト技能検定試験1級に合格するだけでなく、1級合格認定日(ディプロマに記載)より1年以上経過していることが条件なので、注意しましょう。
ネイリスト技能検定1級を取得するメリット、キャリアパスを紹介|試験の内容や合格のポイントなども解説
ネイルサロン衛生管理士|資格所持
ネイルサロン衛生管理士は、ネイルサロンでの衛生管理自主基準を広め、ネイルサロンで正しく活用できる知識を身につけるために、JNAが定めた資格制度です。
サロンで働くネイリストへ啓発活動をおこないつつ、お客様が安心できるサービスと公衆衛生を普及し、向上させることを目的としています。
受験条件は18歳以上であることのみで、ネイルサロンでの経験などは問われません。JNA認定校で当日に講習を受講し、筆記試験を受けて合格することで取得することが可能です。
ジェルネイル技能検定試験|上級合格
この資格は、ジェルネイルの正しい知識だけでなく、安全な技術を身につけたうえで、施術を受けるお客様が安心できるジェルネイルの普及を目指すJNAの資格です。
認定講師試験はプロとして必要な総合的な知識・技能が問われるため、受験資格として、ジェルネイル技能検定試験上級の取得が必須となっています。
ジェルネイル技能検定とはどんな資格?第28回検定試験の要項やおすすめスクールも紹介
JNAの認定校を卒業したJNAの個人正会員
JNAの認定講師試験を受けるには、資格以外にも「JNA 認定校を卒業している」という条件があります。
JNA認定校以外のスクールでネイルを学んだ方であっても、JNA認定校のネイル専門学科にて、ネイルケアとネイルイクステンションの実技カリキュラムを受ける必要があります。実技は計20時間以上あり、受験手続の前にカリキュラムを修了しておかなければなりません。
ほかにも、受験資格には「JNAの個人正会員である」というのが条件です。未入会の場合は、申込前までに入会手続きを終了する必要があります。入会申込書がJANに届いてから、会員証の発行に約2週間かかりますので、早めに入会しておきましょう。
なお、個人でも一般会員は対象外となってしまいます。入会金と年会費の差額分を支払って正会員へ移行することが可能です。
あくまでも個人正会員であり、個人一般会員では受験資格を満たせません。個人一般会員の方は、入会金(10,000円)と年会費の差額分を支払って、正会員へ移行する手続きが必要です。
そのほかの受験資格|技術だけでは受験できない
前項でお話しした条件以外にも、JNAの認定講師資格試験には以下のような受験資格条件が設定されています。
・受験日に満20歳以上
・プロのネイリストとしての実務経験がある
・JNA発展のために尽力してくれる
・勉強会と授与式に必ず出席できる
・「JNAフットケア理論検定試験」の資格を取得している
・日本語でのコミュニケーション能力がじゅうぶんにある
・過去3年にJNAが主催した地区大会を含む全日本ネイリスト選手権「プロフェッショナル部門ネイルケアまたはフレンチスカルプチュア」の出場経験がある(地区大会およびオンライン大会を含む)
このように、JNAの認定講師になるためには、認定校で深い知識や高い技術を習得するだけでなく、資格の取得や実務経験も求められます。
どんな試験があるの? 認定試験の内容を紹介(2023年版)
ここからは実際に認定試験でどのようなテストを行なうのかみていきましょう。ここでは、2023年度の試験内容をもとにしています。
試験の申し込みは郵送で行ないます。公式サイトで配布している4つの必要書類をダウンロードし、印刷して必要事項を記入したら、書類を申込期間内に下記の住所へ送付しましょう。
申込先:
〒100-0014東京都千代田区永田2-14-3赤坂東急ビル5F
NPO法人日本ネイリスト協会第49期JNA認定講師資格試験係
書類が無事に届いたら申し込みが正式に受理されて、受験票が郵送で送られてきます。
実施日時と会場
2023年は、第49期JNA認定講師資格試験が実施されます。試験は1次試験と2次試験があり、それぞれで1日、計2日間という日程です。
日程:
1次試験:2023年9月12日(火)
2次試験:2023年9月26日(火)
会場:
大阪アカデミア
〒559-0034大阪府大阪市住之江区北1-3-5
必要書類
受験申し込みには、以下の書類が必要です。
・志願票(楷書で記入し、写真を貼ること)
先に受験料を支払いが必要です。支払い後に受け取った受領証の原本またはコピーを添付します。なお、必ず原本を送るときは、手元に控えを残しましょう。
・在籍証明書
ネイリストとしての直近の実務経験(サロン経験、スクール講師等)を記入します。なお、フリーで活動されている方は、在籍証明者は自分自身となります。
・ネイリスト技能検定試験1級合格証書のコピー(A4サイズ)
・ジェルネイル技能検定試験上級合格証のコピー(A4サイズ)
「第28回JNAジェルネイル技能検定試験」上級合格者の方は、合否通知のコピーをA4サイズで送ります。
・ネイルサロン衛生管理士認定証のコピー(有効期限内のものでA4サイズ)
・JNAフットケア理論検定試験合格書のコピー(A4サイズ)
・JNA認定校卒業書またはJNA認定校修了証明書
修了された認定校で卒業書などを発行していない場合は、JNA認定校修了証明書でも可です。ただし、学校長の印が必要なので、まずは修了した認定校へ依頼しましょう。
・過去3年間の間に実施されたJNA主催の全日本ネイリスト選手権 プロフェッショナル部門の出場種目におけるディプロマのコピー(A4サイズ)
なお、地区大会およびオンライン大会を含みます。また、ディプロマのコピーがない場合は、JNA全日本ネイリスト選手権「出場証明書」のコピーで代用が可能です。出場証明書の入手方法は、JNAのホームページなどで確認できます。
受験料
受験料は26,400円です。「払込取扱票」の左右に必要事項を記入し、郵便局の窓口またはATMで受験料を申込期間内に振り込みます。なお、振込手数料は自己負担です。
・口座記号・番号:00180=0=19054
・加入者名:特定非営利活動法人日本ネイリスト協会
・金額欄:26,400円
・ご依頼人:受験者本人の住所、氏名、電話番号
・通信欄:以下の2行を記入
第49期JNA認定講師資格試験受験料
個人正会員番号(例1-xxxxx)
1次試験
1日目の1次試験は、モデル同伴の実技試験です。受験者は、15歳以上モデルを同伴して来場します。なお、JNA認定講師はモデルとして認められていません。
1次試験はさらに、実技前半と実技後半にわかれ、前半ではネイルケアとカラーリングを、後半ではイクステンションの施術を行ないます。1日目の試験内容とタイムスケジュールを、くわしく見ていきましょう。
実技試験|前半
実技試験の前半では、事前審査でテーブルセッティングと消毒の管理とモデルの手の状態を確認され、その次にネイルケア(両手10本)をチェックされます。
手指の消毒から始まり、カットスタイルやフリーエッジの長さは指定があり、ファイルやブラシダウン・キューティクルクリーンまで厳しく審査されます。
第49期JNA認定講師資格試験のタイムスケジュールは次のとおりです。
オリエンテーション | 12:45~12:55 |
事前審査 | 12:55~13:00 |
ネイルケア(両手10本) | 13:00~13:30(30分) |
インターバル | 13:30~13:31(1分) |
カラーリング(右手5本) | 13:31~13:51(20分) |
審査 | 13:51~14:25 |
実技試験|後半
実技の後半はカラーリングとネイルイクステンションをチェックされますが、カラーリングはナチュラルフレンチルックと指定されており、ベースコート・カラーポリッシュ・トップコートまであります。
ネイルイクステンションは、モデルの左手の親指と人差し指・中指にフレンチスタイルのスカルプチュアネイル、薬指にデザインスカルプチェア、小指にフレンチスタイルのチップ&オーバーレイを施すという内容になっています。
第49期JNA認定講師資格試験のタイムスケジュールは次のとおりです。
後半準備 | 14:25~14:40(15分) |
事前審査 | 14:40~14:45 |
イクステンション(左手5本) | 14:45~16:00(75分) |
審査 | 16:00~16:35 |
2次試験
1次試験の2週間後におこなわれる2次試験は、トレーニングハンドを使った実技試験、筆記試験、面接試験の3つが行なわれます。
2次試験もオリエンテーションが12:45にはじまり、終了時間も1次試験とほぼ同じ時刻の16:30です。なお、筆記試験は記述式、面接試験はグループ面接の形式で行なわれます。2次試験の試験内容と、タイムスケジュールを見てみましょう。
実技試験
2次試験の実技試験は、ネイルイクステンションの試験です。施術内容は1次試験のネイルイクステンションと同じですが、2次試験ではトレーニングハンドを使用します。また、1次試験と共通する注意事項も多数あるので、これらにも注意しましょう。
第49期JNA認定講師資格試験のタイムスケジュールは次のとおりです。
オリエンテーション | 12:45~12:55 |
事前審査 | 12:55~13:00 |
イクステンション(ハンド3本) | 13:00~13:45(45分) |
審査 | 13:45~14:10 |
筆記試験
筆記試験の内容に関してはJNAの活動概要や認定試験などを記載している「JNA Guide Book」を中心に出題されるので、しっかりと読み込んでおく必要があります。
面接
公式サイトでは面接に関する情報が記載されていませんが、第49期JNA認定講師資格試験のパンフレットには、面接試験があることが記載されています。認定講師なる意欲が試される場ですので、スムーズに受け答えができるようにしっかり準備をしておきましょう。
第49期JNA認定講師資格試験のタイムスケジュールは次のとおりです。
面接試験準備 | 14:45~15:00(15分) |
面接試験 | 15:00~16:30(90分) |
目指すべき? 認定講師になるメリットとは
JNAの認定講師になることで、どのようなメリットがあるのか疑問に思う方も多いのではないでしょうか。ここからは、認定講師になるメリットについて紹介します。
1. ネイリストとしての仕事の幅が拡がる
認定講師になってスクールで教えるようになると、以下のような仕事も任されることがあります。
・生徒のカルテ管理
・教材の発注や在庫管理
・授業準備や後片づけ
・スクールの営業・広報活動
・卒業生への就職あっせんなど
このように、講師としての業務が増えたり、そのほかにもセミナーの講師やネイルの情報記事の執筆を頼まれるケースもあるので、自身ができる仕事の幅が広がります。
2. サロンワークにも活かせる
JNA認定講師資格試験は、難易度の高い資格取得が前提条件となっています。そのため、実際のサロンで必要となる、高レベルな施術をおこなうだけの技術や知識を身に着けることができます。
3. 独立開業してスクールを開くこともできる
JNA認定のネイル講師として、さまざまなサロンで講義やレッスンをおこなうことができます。さらに、自分でネイルスクールを開設してネイリストを目指す人へ向けたスクールを開くことも可能なので、キャリアアップへの足掛かりになります。
4. お給料が増える
サロンやスクールで勤務する場合は、資格手当がついたり、任される仕事内容が増えたりすることで給料がアップしやすいです。
5. JNA講師会のメンバー活動に参加できる
JNA認定講師資格を取得すると、サロンワークでは経験することができない活動に関われるのも魅力です。たとえば、JNAが主催するネイルイベントやコンテストの審査員、検定試験の試験官、JNA講師会のメンバー活動などに参加できます。
このような活動を通してネイル業界に広く貢献でき、有能なネイリストに会う機会が増えるので、最新の情報やビジネスチャンスも得やすくなるでしょう。
6. 技術力の証明になる
JNA認定講師は受験資格の条件も多く、試験の難易度も高いため、資格を取得すれば高水準の技術力を持っていることを証明できます。そのため、お客様や転職先に対して、自分の技術力をアピールする材料として活かすことも可能です。
とくに独立開業する際に、自分の技術力を新規のお客様へ伝えやすくなるでしょう。
認定講師資格を取得してキャリアアップを目指そう!
JNAの認定講師資格は資格試験を受験するための前提条件に資格取得や、認定校の卒業などの条件が多いため条件をクリアするだけでも一苦労です。しかし、苦難を乗り越え認定講師資格を取得した後は、スクールの講師や一流のネイリストとして活躍することができるなど、メリットが多いといえるでしょう。
ネイリストとしてレベルアップを目指すなら、資格取得をめざしてみてはいかがでしょうか。