ネイリスト技能検定1級とはどんな資格?取得のメリットや試験内容、キャリアパスも紹介
ネイリストとして働く人にとって、「ネイリスト技能検定1級」は、レベルの高いあこがれの資格といっても過言ではないでしょう。トップネイリストとしての地位を築きたい人や、指導者・講師のような他人に教えるネイリストになりたい人にもおすすめです。
今回はネイリスト技能検定1級の概要や試験内容などを詳しく解説するので、興味のある人はぜひ参考にしてください。
ネイリスト技能検定1級とは?
ネイリスト技能検定1級は、世界にも通用するトップレベルのネイリストに必要な知識や技術を備えているかが試される検定試験。公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター(JNEC)が主催しており、同検定のなかでは最もレベルの高いものです。
試験内容(要項)は後述しますので、あわせてご覧ください。
受験資格
ネイリスト技能検定1級の受験資格は、ネイリスト技能検定2級を取得していることです。ふたつの級を同時に受験することはできず、3級から順にひとつずつクリアしていく必要があります。
筆記試験と実技試験があり、仮に筆記のみ合格したときは、次回同じ級を受験する場合に限り筆記試験が免除され、実技のみ受けることが可能です。
受験料
受験料は税込12,500円です。申し込みは、インターネット(PCやスマートフォン)からのみ受け付けています。支払いは、申し込み登録完了から3日以内に、クレジットカード払いかコンビニ決済でおこなってください。
引用元
技能検定試験 受験案内|日本ネイリスト検定試験センター
合格基準・合格率
ネイル技能検定1級の試験の合格基準は、筆記試験は100点満点中80点以上、実技試験は50点満点中38点以上、さらに失格対象でないことです。
また、2023年春期までの累計では、受験者数154,721人、うち合格者数60,340人、合格率は39.00%と公表されています。
引用元
ネイリスト技能検定試験 試験要項|日本ネイリスト検定試験センター
技能検定試験 概要|日本ネイリスト検定試験センター
ネイリスト技能検定1級を取得するメリット
ネイリスト技能検定1級の資格を取ると、どんな点がいいのでしょうか。メリットとして考えられることを3つ挙げます。
1. 就職や独立開業時に有利になる
ネイリスト技能検定1級は、深い専門知識や高いネイル技術の証明になる資格。前述したように合格率も4割程度と高くなく、就職試験を受ける際に、履歴書に書いて能力を存分にアピールできます。即戦力としての活躍が期待されるため、採用される可能性が高まるでしょう。
さらに、自分の店を持つ場合にも、ネイリスト技能検定1級という資格を持っていることでお客様から信頼を得やすくなります。お客様に対し、高い技術力を持っていることの証として役立つので、ネイリストとして高みを目指したい人なら、取っておいて損はないでしょう。
2. 資格手当などで収入アップ
就職先のサロンによっては、ネイリスト技能検定1級の資格があることで、資格手当をもらえたり指名料の歩合が高くなったりと、高待遇・収入アップに期待できます。資格は一定以上のスキルがあることの証明になるので、取得後はぜひ積極的にアピールしましょう。
3. ネイリストとしての信頼度もアップ
資格のある人に施術してもらえることで安心感を感じるお客様も多いです。新規で来店したお客様からも信頼を得やすいでしょう。信頼が上がることで、指名が増加する可能性にも期待できます。
ネイリスト技能検定1級の試験内容とポイント
ここからは、ネイリスト技能検定1級の試験内容を解説します。減点や失格となるチェックポイントが多くあるため、気を付けるポイントもあわせておさえておきましょう。
なお、今回は2023年秋期(1級試験は10月14日(土)に実施)の試験要項を参考にお伝えしていきます。
引用元
ネイリスト技能検定試験 試験要項|日本ネイリスト検定試験センター
規定
事前の規定として、実モデル、もしくはJNEC認定モデルハンドを使って受験することが求められます。実モデルの爪には、カラーリングや装飾はNGです。
モデルハンドを使用する場合は、JNEC認定ラベルが貼られていることと、前もって爪10本に認定チップを装着しておくことを守りましょう。前述した試験要項で、注意事項も確認しておいてください。
事前審査
実技試験開始前に、10分間の事前審査があります。事前審査では、用具のセッティング・消毒管理・モデルの爪やモデルハンドの状態などをチェックされるため、ポイントをしっかり把握しておきましょう。
用具の入れ忘れがないかや禁止されている用具が紛れ込んでいないか、プレスオンチップが規定通りかどうかなどもよく確認してください。
テーブルセッティングの細かい決まりも、前項の規定と同じく試験要項に記載されています。
実技試験
実技試験の試験時間は、従来160分でしたが150分に短縮されました。時間内に指定のネイルイクステンションとネイルアートを施します。150分の間に仕上げる必要があるのはもちろんのこと、施術には手指の指定があり、手指を間違うだけでも失格となるので注意が必要です。
試験内容
ネイルイクステンションでは、右手5本にスカルプチュアネイル、左手中指と左手薬指にチップ&オーバーレイ、ネイルアートでは左手人差し指にミックスメディアアートを施します。
アートはメインが3Dで、そこにエンボスやフラットアートなど他の技法を組み合わせることが必要です。2023年秋期のテーマは「秋桜(コスモス)」。試験要項の見本も参考にしながら、しっかりと練習を重ねておきましょう。
チェックポイント
事前審査と実技試験それぞれにチェックポイントが設けられており、50点満点で38点以上取れれば合格です。
チェックポイントは、5点満点の減点方式で評価されます。項目は次のとおりです。
・スタイリング
・ハイポイントの位置
・フリーエッジの長さと厚みの均一性
・強度と耐久性
・Cカーブ20~30%
・キューティクルラインのスムーズさ
・表面の仕上がりと光沢・気泡の状態
・チップの装着状態
・イクステンショントータル
・ミックスメディアアート
減点・失格対象になる事項も、試験要項できちんと押さえておきましょう。
引用元
ネイリスト 技能検定試験 実技採点基準|日本ネイリスト検定試験センター
失敗しないための注意点
試験には、違反すると失格になってしまう行為があります。
たとえば、用具を忘れたり、施術する手指を間違えたり、使用するチップが規定通りでないという場合は失格です。
また、モデルハンドを使用する場合は、認定ラベルを貼っていない・事前審査時や試験終了時に規定通りに認定チップを装着していない場合も失格判定を受けます。
細かい部分までチェックされるため、注意が必要です。
筆記試験
筆記試験は、JNECが発行する『ネイリスト技能検定試験 公式問題集』から出題されます。マークシートで解答する択一式問題で、試験時間は40分間です。
出題範囲は次のとおり。
・ネイルの歴史
・衛生と消毒
・化粧品学(材料、内容成分、効果等)
・爪の構造(皮膚科学)
・爪の病気とトラブル(爪の生理解剖学)
・ネイルケアの手順
・イクステンションの手順
・その他実践的施術全般
・ プロフェッショナリズム など
テキストが指定されているため、何度も繰り返し勉強することで知識の定着を図ることができます。しっかり対策をして本番に備えましょう。
「ネイリスト技能検定1級は難易度が高い」といわれる理由
ネイリスト技能検定1級は、前述の通り合格率は40%弱と低めのため難しいとされ、難易度が高い検定試験です。では、なぜ合格することが難しいのか、理由を見ていきましょう。
制限時間内に仕上げることが難しい
まず、合格が難しいひとつめの理由として、150分以内に実技試験を終わらせるのが難しいということが挙げられます。
実技は、チップ&オーバーレイや3Dアートなどの複雑な工程を踏む試験。他の級よりも試験時間が長いものの、この複雑な工程を150分以内にすべておこなうこと自体がハードです。
時間内に施術が完了していないと失格になるため、いかに時間を意識した練習ができるかによって、合否の結果が大きく分かれてしまいます。
高い技術が求められる
合格が難しい理由として、もうひとつは、仕上がりに求められる基準が高いということが挙げられます。
実技は工程が多い上に、時間内に終わらせるために工程を飛ばしたり、手を抜いたりすることが許されません。チェックポイントが細かく決められており、求められる基準が高いことも、合格に立ちはだかる大きな壁となっています。
時間内に終わらせるというスピード感に加えて、均一で美しく仕上げる技術力が必要です。
ネイリスト技能検定1級取得後のキャリアパス
ネイリスト技能検定1級を取得したあかつきには、どんなキャリアを切り拓くことができるのでしょうか。ネイリスト検定試験1級を取得することで、広がる可能性のあるキャリアパスについて紹介します。
1.ネイルサロンでの指導員
1級取得者のなかには、お客様の対応をするスタッフではなく、スタッフを育てる指導員として働く人もいます。
ネイルサロンによっては、未経験者を採用することもあるため、就職後のスタッフに教育が必要です。経験が浅い後輩への指導係として重宝されるでしょう。複数店舗があるサロンなどでは、指導員としてキャリアを積むことができます。
2.ネイルスクールの講師
最高峰の1級を取得していれば、次世代のネイリストを育成するネイルスクールや、美容系のネイル講師を目指すこともできます。
講師としてさらなる信頼を得るためには、JNA認定講師の資格を取得することがおすすめです。
講師資格試験を受験するには、実務経験や、ネイル技能検定1級のほかに取得必須な資格があるため、詳しくはこちらを確認してください。
3.独立して開業
経営や接客について学び、独立して個人サロンを開く人もいます。開業には自宅サロンや出張サロンなどの方法もあり、自分に合った規模や働き方ができます。
経営の知識も身につけ、ネイリスト技能検定1級という確かな技術があることをアピールして、開業を目指しましょう。資格がなくてもできる仕事とはいえ、難易度が高い資格を取得していることは強みになります。
ネイリスト技能検定1級を取得してトップネイリストを目指そう
ネイリスト技能検定1級資格は、世界にも通じるトップクラスのネイリスト技術保持者である証です。ネイリストとしてさらなるキャリアが開ける可能性も高まります。
難易度が高い分、職場でも重宝される存在となりますし、お客様の信頼が厚くなるだけでなく、次世代のネイリストを育成する人材を志す・自分の店を開くことも可能です。
トップネイリストとして現場でバリバリ施術をこなすもよし、教える側になって活躍するもよし。十人十色の活躍が期待できる、ネイリスト技能検定1級の取得を目指してみてはいかがでしょうか。