経験豊富なスタイリストに囲まれて感じた不安。インスタグラムの打ち出し方を研究し、集客に成功「Agnos青山」本田結さん

東京・青山や表参道など、美容室激戦区に「Agnos青山」「kyli表参道」「lyann表参道」の3店舗を構える「KANOW GROUP」。トレンドをしっかりと押さえたスタイル提案や、スタイリッシュな内装で人気を集めるサロンです。

2020年に入社し、現在は「Agnos青山」で活躍しているのが本田結さん。前編では本田さんが美容師になったきっかけや、1社目のサロンでどのような新人時代を経験したかを伺いました。

後編では「KANOW GROUP」に入社した本田さんの新人体験について伺います。「KANOW GROUP」では新規集客に力を入れているため、入社と同時にたくさんのお客様の担当を任せられるようになったという本田さん。急に忙しくなり戸惑うこともありましたが、美容師として活躍できるようになるためには必要なステップだと考え、前向きな日々を過ごしていたそうです。

一方で、経験豊富なスタイリストのなかに入り、お客様をつけることができるのかという不安を感じたこともあったといいます。そこで先輩と一緒にインスタグラムの戦略を立てたことで、徐々にお客様がつくようになったそうです。

今回、お話を伺ったのは…

「Agnos青山」／スタイリスト

本田結さん

美容専門学校卒業後、ヘアケアに力を入れるサロンに入社し2年ほど経験を積む。2020年に「KANOW GROUP」に中途入社。現在は「Agnos青山」所属のスタイリストとして、小顔ボブや小顔矯正カットを武器に活躍。実生活では2024年に出産も経験し、子育てと仕事の両立に奮闘する日々。

インスタグラム

新規のお客様が多いサロンに転職し、忙しい日々がスタート

――「KANOW GROUP」に入社され、まずどんなことを感じましたか。

新規集客がしっかりできている証拠だと思うのですが、とても忙しくて驚きました。私個人についているお客様がほとんどいない状態で入社したのですが、初日から1日中お客様をつけてくれて。さらに緊急事態宣言が解除された2020年の夏頃からは輪をかけて忙しくなっていったんです。

忙しいのは大変な部分もありましたが、お客様をたくさん担当させてもらえることには感謝しかなく、嬉しい悲鳴という感じでしたね。

――入社後、難しいと感じたことはありますか。

当時、この会社は新卒採用などは行っておらず、他社で実力をつけてきた経験豊富なスタイリストが転職してくるケースがほとんどでした。一方で、私は22歳とまだ若く、スタイリストになりたてで、お客様がほとんどいない状態で入社。だから、自分も活躍できるのか、お客様がつくのかがとても不安でした。

得意なスタイルと雰囲気を明確にしてインスタグラムを発信

――その不安はどのようにして乗り越えましたか。

インスタグラムの発信の仕方や見せ方を教えてもらい、乗り越えることができました。　前社で働いていたときはインスタでの発信はほとんどしておらず、右も左も分からない状態でした。しかしこの会社は代表の桐山をはじめ、インスタのフォロワーが多いスタイリストが何名かいたので、ターゲット層をどう絞るかなどの戦略、見せ方、撮影方法など一から細かく教えてくれたんです。

――指導を受けて、SNSでの発信はどのように変わりましたか。

自分の得意なスタイルや技術に特化した形で発信をした方が、新規のお客様に届きやすくなると言われたので、まずはその設定から考えました。今はボブ推しなのですが当時はショートがもっとも自信のあるスタイルだったので、ショート推しにすることに決めたんです。

ただ「ショート」という打ち出しだけですと訴求する力が弱いので、ナチュラル、個性的などスタイルの雰囲気もあわせて設定したほうがいいといわれ、私は「ナチュラルなショート」を打ち出しました。インスタの打ち出しは、自分の強みや自分のお客様になりやすい層、その層がどんなスタイルを求めているかなど複数の要素を総合して分析する必要があるため、ひとりで導き出すのは難しかったと思います。先輩が一緒に分析をしてくれたことで、スムーズにインスタの戦略を決めることができました。

――なるほど。そういったスタイルの写真をインスタに投稿していくわけですね？

ただお客様がいない状態では、インスタに投稿をするスタイル写真の撮影もできないため、まずはカットモデルさんを募集するアプリでモデルさんを呼び、施術後の撮影をさせてもらって、それをインスタグラムに載せるということを繰り返しました。そうしているうちに徐々にお客様がつくようになったんです。

またSNSではずっと同じ打ち出し方をしていると飽きられてしまうので、少しずつ発信内容や打ち出すポイントは変えています。

いかに努力を続けられるかが、美容師として活躍できるかの鍵

――本田さんにとって、美容師としての仕事のやりがいはどんなところにありますか。

お客様との関係性が作れるという点です。私はお客様と比較的近い距離で接するタイプの美容師だと思っています。お客様が来店してくださっているというより、知り合いの方が来て、一緒におしゃべりをしているような感じで、仕事の時間がとても楽しいんです。

そういった関係性を築けるのは美容師としての信頼があってこそだと思うので、私を信頼して任せてくださるお客様には感謝しかありません。美容師を続けていくうえで大変なこともたくさんありましたが、お客様との喜んでいる姿を見ていると、またがんばろうといつも思えます。

――新人時代の体験は本田さんにとってどんな学びになりましたか？

最初に入ったサロンがマナー講習など、社会人教育もしっかり行っていたので、社会人としての基礎を作ってくれたと思っています。美容師というと技術のことに目をとらわれがちですが、電話対応、敬語などもとても重要な要素だと思うので、それを学べる環境があったことはありがたかったです。

――これから美容師になりたい人へのアドバイスをお願いします。

努力をし続けることが大切だと思うのですが、がむしゃらにがんばっていくだけだと継続していくのは難しいので、ときには周りの人を頼りつつ、美容師として活躍するという信念を持ち続けることが重要だと思います。

私はこの会社に入ったばかりのころ、周囲の人が優秀で自分はだめだと卑下しているところがありました。技術職で働いているとほとんどの人がぶつかる壁ではないかと思います。でもそう感じたとしても立ち止まっていたら、絶対にその先に進むことはできません。少しずつでも努力を重ねて、前進し続けてみてください。

本田さんが充実した新人時代を送れた３つの理由

1.活躍できなければ意味がないという精神を持ち続けた

2.先が見えないときに、思い切って環境を変えた

3.ときには人を頼りながら、成功するという信念は持ち、努力を続けた

現在は1歳のお子さんの子育てと仕事を両立させている本田さん。時短勤務など本田さんの要望に応えてくれる職場環境と、家族の支えがあって実現ができているそうで、そういった人たちに感謝の意を伝えるためにも、もっと仕事を充実させたいと話します。優しい語り口調のなかにも、しっかりと信念をにじませる本田さんの活躍は、これからも続いていきそうです。