何でも分担するのではなく、どちらか気づいた方がやればいい 【MINX銀座五丁目 トップデザイナー 池戸裕二さん】#1
この連載が始まって以来、初めてのワーキングパパの登場です。MINX五丁目店のトップデザイナーであり、月の半分は海外での仕事もこなすハードワーカーでありながら、今年5歳になる双子の男の子の育児も家事もこなす、軽やかなフットワークは必見です。
32歳で結婚し、5年後に双子の男の子のパパに
——パートナーとなる女性と知り合ったのはどちらですか?
「妻とは同じ職場だったんです。彼女は3年ほどMINXで働いて、その後、別のサロンで働いた経験のある人気美容師でした。やはり同じ職場だと、お互いにやりにくかったですね」
——「この人と結婚しよう!」と決意したのはどんな点ですか?
「僕の仕事のことを分かってくれていることですね。休日なのにイベントなどの仕事があったり、拘束時間が長かったり、出張も多くて家を空けることが多かったり。そんな生活を理解してくれる女性はなかなかいませんから。同業者だったからこそ、分かってくれるんでしょうね」
——お子さんが生まれる前から、池戸さんは家事をなさっていたんですか?
「妻は結婚してから出産前までサロンで働いていたので、当時は共働きだったんです。僕は洗濯と掃除を担当していました。19歳の頃から一人暮らしをしていたので、家事に慣れていたし家事そのものも好きだったのでちっとも苦ではなかったですね」
——結婚して5年後に妊娠。しかも双子とはびっくりなさったのでは?
「結婚した当初から『自分たちにも子どもができたらいいね』と思っていましたし、兄弟は多い方がいいとも思っていましたが、まさか双子とは!」
——夫婦二人から一気に四人家族になりますね。何か準備をしましたか?
「僕が妊娠しているわけではないので、実感できませんでしたが、出産後の環境を整えておかないと大変なことになる…と思っていました。まず、双子が増えると家が手狭になる。ベビーカーを押しながら移動するなら道幅の広いエリアがいい。家の中で飛んだり跳ねたりしても迷惑がかからない環境がいい…など、いろいろ考えました」
——赤ちゃんが二人だと、準備も大変そうですね。
「双子用のベビーカーはとても重くて、男でも子どもと荷物を持ちながら畳むなんてとんでもない! しかも車のトランクにも入らないんです。バスに乗らなくてもいいように、徒歩圏内で何でもそろうエリアに引っ越すことに決めました」
頼れる人がいない。だから家事も育児も協力は必然
——育児をサポートしてくれる方はいらっしゃったんですか?
「僕も妻も実家が離れていたので、誰にも頼れないんです。だからお互いに協力し合わないと、すべて回らないんです。気づいた人が気づいたときに動けばいい…と思っています」
——男性の中には「専業主婦なら一人で何でもできるはず」という考えの方もいますが。
「妻は家にずっといるんだから、すべてできるはず…とは考えたことがないですね。子どもの面倒を見るのは、すごく神経を使いますし精神的に疲れますよ。家事も育児もこなすのは、大変なことだと思います。女性より男性の方が体力はありますから、協力できることはするべきでしょう」
——素晴らしいです! 出産後も池戸さんは洗濯と掃除を担当しているんですか?
「そうです。仕事柄、靴下の中まで毛が入っているんですよ。掃除をしないと家の中が毛だらけになってしまいますから、毎日の掃除は欠かせません。子どもが生まれてからは特に念入りに掃除をしています。洗濯も毎朝の日課ですね。子どもをお風呂に入れてから、ついでに洗濯も風呂場の掃除も済ませてしまいます」
——サロンの仕事は夜が遅いですから、なかなかお子さんと会えませんね。
「僕が家に帰る頃には、妻も子どもも眠っていることが多いですね。子どもと過ごせるのは朝しかありません。子どもに必要とされる期間は短いですから、求められる間は全力で向き合おう! と思っています」
「食」は大事。だからおろそかにしない
——朝早くから夜遅くまで、池戸さんの1日はフル回転ですね。
「ここまで動いても体力が保っているのは、子どもの頃の食生活がきちんとしていたからでしょう。母に感謝してます。僕は男だけの三兄弟の真ん中で、田舎で育ちました。親は会社を経営していたので、父も母もいつも忙しくしていましたね。それでも母は料理をよく作ってくれました。小さい頃からの食生活が、今に生きているんだと思います」
——お子さんたちの食事にも気を遣っていらっしゃるんですか?
「僕ではなく、妻が気遣ってくれてます。彼女はフードコートディネーターの資格も取ったんですよ。口に入る物はすべて手作りで、体にいいものを作ってくれています」
——でもまだ5歳だと、そんなに量は食べられないですよね?
「とんでもない! 1日6合炊いても、足りないときがあるくらい。だから夜、帰宅してから必ず炊飯器のスイッチがはいっているかどうか確認するんです。朝、ご飯がちゃんと炊けているようにしておかないと」
——夜、帰宅してから最終確認なんですね。
「そうです。炊飯器をセットしていなければ米をといでセットするし、冷蔵庫に牛乳がなければ買いに行きます。洗濯物がそのままになっていれば畳んで片付けておきます。気づいた方がやるのは当たり前のことです」
池戸さんの家事と子育てポイント3カ条
1.気づいた人が気づいたことをやる
2.子育てしやすい環境を整えておく
3.家事や仕事の大変さを互いに認め合うこと
仕事も家庭も、どちらも疎かにしない池戸さん。「子どもに必要とされる期間は短い。だからこそ全力で向き合う」という言葉が印象に残りました。誰のためでもなく、仕事も家事も子育ても、ご自身がいちばん楽しんでいらっしゃるように見受けられました。仕事のできる男性は、何でもスマートにこなせる典型例なのかもしれません。
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