技術以上に差がついたコミュニケーションの壁。同期30人の「ドベ」からお客様に求めてもらえるまで「大船エール整骨院」関口温人さん
神奈川県鎌倉市の大船エリアで2019年に開業し、自費診療の丁寧な施術で人気を集める「大船エール整骨院」。今回お話を伺うのは、2025年に中途採用で入社した柔道整復師の関口温人さんです。
小学生のときにサッカーでけがをして接骨院に通い、柔道整復師の先生に出会ったことがきっかけで、この道を志すことになった関口さん。夢を叶えて、大手の接骨院に入社します。
しかし新人時代の関口さんを待っていたのは、患者様から毎日のようにNGを出される日々。先輩との圧倒的な差に直面するなかで、関口さんは常に周囲を観察し続けていました。
そのうちに、技術だけでは埋まらない「コミュニケーション力の差」があることに気づいたそうです。
今回、お話を伺ったのは…
関口温人さん
大船エール整骨院/柔道整復師
小学校時代にサッカーでけがを経験し整骨院に通ったことがきっかけで、柔道整復師を目指す。医療専門学校で柔道整復師の資格を取得後、接骨院や整形外科で経験を積み、2025年に「大船エール整骨院」に入社。痛みやしびれなどの慢性症状や、スポーツ外傷への施術を得意とする。
お世話になった先生に憧れて。卒業文集に書いた柔道整復師の夢

――柔道整復師を目指そうと思ったきっかけは?
僕は小さいときからサッカーをやっていて、小学校2年生のときにけがをして整骨院の先生にお世話になったのがきっかけです。職業そのものというより、親しみやすく、そしてかっこよく立ち振る舞う先生に憧れて、こんな大人になりたいと思ったんです。
実は小学校の卒業文集にも、「柔道整復師になる」と書いていました。
ただ、その夢は一度忘れてしまっていて。高校でもけがが多く、進路を考えるタイミングでふとそのことを思い出し、「あのときの夢を叶えてみよう」と思って、この道を選びました。
――その後、専門学校に進まれたわけですね。印象的だったことはありますか?
はい。アルバイトもしたいと考えていたことや、高校の先輩から落ち着いて学べると聞いていたこともあり、夜間部の専門学校に通っていました。
夜間部は働きながら資格取得を目指す人が多く、自分より年上の方も多かったです。年齢の離れた人と一緒に学ぶ環境は初めてだったので、新鮮に感じましたね。
――国家試験の勉強はいかがでしたか?
覚えることは多くありましたが、そこまで大きな苦労はありませんでした。
カリキュラムや指導がしっかりしている学校だったので、授業で先生が「ここは大事」と言うポイントを押さえていけば、卒業試験や国家試験も比較的スムーズに乗り越えることができたんです。
新人研修を経て現場へ。感じた「まったく別物」という空気

――入社後、どのように仕事を覚えていきましたか?
1社目はマニュアルがしっかりした大手の接骨院に入社したんですが、その後1ヶ月はすべて研修期間にあてられました。患者様対応や受付業務を学びながら、技術面はひたすらロープレを行い、テストに合格すると現場に入れるという流れでしたね。
同期も30人ほどいて、部活のような楽しい雰囲気で。テストに受かっていない人がいれば自然と助け合う空気もあって、チームワークで乗り越えていく感覚でした。
――その後、店舗に配属されたのですね。すぐに患者様に入っていったのですか?
はい。その接骨院は担当制ではなく、カルテを全員で共有していたので、先輩が患者様の空気や抱えている症状の難易度などに合わせて振り分けてくれて、少しずつ患者様に入っていく形でした。
――最初に患者様を担当したとき、どのようなことを感じましたか?
すごく緊張していたので、あっという間に時間が過ぎていき、正直あまり記憶がありません(笑)。ただひとつ強く感じたのは、「現場はまったく別物だ」ということです。
ロープレでは症状がない、もしくはあったとしても軽い同期と練習していましたが、実際の患者様は当然ながら本当に悩みを抱えて来院されています。空気の重さもまったく違っていて、「自分は何もわかっていなかった」と感じました。
NG続きの新人時代。選ばれる先輩との違いは「コミュニケーション力」

――現場に入ってから壁を感じたことはありましたか?
配属されてから1ヶ月ほどの間だったと思いますが、ある週で1日1度は患者様からNGをもらっていたことです。
「ほかの先生に代わってほしい」と直接言われることもありましたし、受付で「あの先生はちょっと……」とNGが出ることもありました。
僕が配属された店舗は、新人が2年間入っていない環境だったので、周りは3年目以上の先輩ばかり。そのなかに新人としてひとりで入っていったので、技術も対応にも明らかな差がついてしまっていました。
同期のなかでも、正直技術力は高い方ではなくて、ほぼ「ドベ」に近い状態で。できないことばかりで、どうすればいいのかわからない。でも患者様に入らなければ経験値は上がらない。その狭間で悩んでいました。
――その状況から、どのように乗り越えていったのでしょうか?
まずは先輩に治療を見てもらい、足りない部分を指摘してもらいました。あとは、とにかく先輩をよく観察することを意識しました。
当時の院はカーテンの仕切りがなかったので、先輩がどんな対応をしているのか、どんな声かけをしているのかを観察できる環境だったんです。
自分が入ると会話が続かない患者様でも、先輩が入ると自然に会話が弾んでいる。その違いをずっと考えていました。
――どんな違いがあったのですか?
患者様に支持されている先輩は、表情、声などを細かな部分まで感じ取り、相手が何を求めているのかを判断する力があるのだと思いました。
同じ先輩でも、入る患者様によって症状に寄り添うときもあれば、あえて雑談を増やしているときもある。臨機応変に対応を変えていたんです。
――技術よりもコミュニケーションにポイントがあると考えられたのですね。
技術はマニュアルがあるので、ある程度時間が経てば身についてきます。でも大きく差がつくのが患者様とのコミュニケーションにあるんだと感じました。
――その後、手応えが得られてきたのはいつごろでしたか?
1年ほど経ってからでした。その間は先輩に指摘してもらう、先輩を見る、自分に活かすことを繰り返して。少しずつ患者様との関係性も築けるようになっていったんです。
とくに印象に残っているのは、首や肩の痛みに悩む20代の女性です。ほかにもベテランの先生がいたにもかかわらず、「先生にお願いしたいです」と言ってくださって。
なぜこの方に評価していただいたのか考えてみると、そのときはしっかりお話を聞き、生活背景を知ったうえで、今の症状につながっている部分をお伝えしていました。治療の内容と説明が結びついたことで、納得していただけたのかなと思います。担当制ではなかったので継続して診ることはできませんでしたが、とてもうれしかったですね。
後編では、より幅広い経験を求めて転職を決めた理由や、「大船エール整骨院」との出会いについて伺います。
マニュアルのある環境で基礎を学んだ関口さんは、その後、個人院や整形外科でも経験を重ねながら、「ひとりの患者様と最後まで向き合う働き方」を模索していきました。
新人時代の経験を振り返りながら、これから柔道整復師を目指す人へのメッセージも語ってくれました。
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大船エール整骨院
住所:神奈川県鎌倉市岩瀬1-5-6
TEL:046-795-2338
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