在宅勤務を取り入れフレキシブルな働き方が可能に!4人を育てるママ美容師「Hair Lounge EGO」島貫友香さん
育休を取得する美容師はだんだんと増えてきていますが、3度も取得している人は珍しいのではないでしょうか。「Hair Lounge EGO」に所属するスタイリスト・島貫友香さんは会社では前例がなかった初めての育休取得者で、その後3度の育休を取得。サロン代表と手探りで、働き方や復帰時期を決めてきたそうです。また3度目の育休復帰後は会社の配慮もあり、週3日はサロンワーク、週1日は広報担当として在宅勤務が可能になりフレキシブルな働き方が可能になったそうです。
今回お話を伺ったのは…
島貫友香さん
「Hair Lounge EGO」所属のスタイリスト。3歳、2歳、1歳の双子の4女を育てながら、美容師の仕事を続けているママ美容師。ママならではの目線で、ママさん達へのヘアスタイルの提案や、キッズカットにも定評があり、信頼を集めている。
島貫友香さんのInstagram:@ponkichi8945
細かな調整を繰り返し、前例のなかった育休を取得
――4人のお子さんを出産し、3度の育休を取られたとのことですが、育休制度が整っていないサロンも多いと聞きます。最初のお子さんの育休取得はスムーズに決まったのでしょうか?
いえ、いろいろとありました(笑)。というのも代表の丸山は、私の希望をくみ取ってくれようとしていたのですが、周りに小さなお子さんを育てながら美容師として働いている人はいなかったので、想像ができなくて私自身が出産を経て戻ってこれるかどうか自信がなかったんです。でも代表が少しでも戻れる可能性があるなら、育休にしようと言ってくれて、取得することになりました。
育休のことだけでなく、妊娠したらどんなことに気を付けなければいけないか、いつまで働けるのか、いつ戻ってこれるかなど本当に手探りでしたね。結局出産後は7カ月くらいで保育園に空きが出たので、復帰をすることになりました。
――出産後は一般的に7カ月くらいで職場復帰できるものなのでしょうか?
いろんなケースがあると思うので、一概に何カ月で復帰できるとはいえないのですが、お子さんをどれくらいまで見たいかという本人の意思と、サロン側の状況、あとは住んでいる地域の保育園の空き、保育園に預けなくても面倒を見てくれる家族がいるかなどによって変わってくると思います。私の場合は美容師の仕事が好きで、もっとキャリアアップしたい気持ちもあり、保育園に空きが出たタイミングで職場復帰をすることにしました。
在宅勤務の日を作り、隙間時間で家事もできるように
――ふたり目以降のお子さんも同じくらいの時期に復帰されたんですか?
そうですね。3人目と4人目は半年くらいで復帰したと思います。1人目の育休明けから2カ月でふたり目の妊娠が発覚して、また育休に入るのですが、そのときは必ず戻ってこようと決めていて、もう一度育休をとらせてもらったんです。それなのにまた第2子出産後の復帰から2カ月ほどで妊娠が発覚して…せっかく育休をとらせてもらってこれからというときに、また妊娠をしてしまって、次はもうやめるしかないかなと思ったんです。しかも妊娠している子が双子だと発覚し、4人の子どもを育てながら仕事をする自信もなくて。子どもの体調不良で休まなくてはいけない日が増えてサロンには迷惑をかけるでしょうし、自分の体力ももつかわからなかったので…。
――そこからどのようにして復帰を決めたのでしょうか?
このときも代表とよく相談しました。美容が好きだという気持ちと、子どもが増えたらお金も大変になると思い、続けたい気持ちがあることは伝えたんです。それでサロン勤務を週3、4日くらいにして、今まで代表がやっていた広報まわりの仕事を週1日在宅勤務でやらせてもらうようになりました。それぞれの店舗のスタッフと連携をとりながら、予約サイトの更新などをする仕事です。この形であれば、子どもの体調不良があっても子どもが落ち着いているときは仕事をすることができますし、仕事の合間に家事をすることもできるようになり、助かっています。
子連れカットにきたママさんが、心から落ち着けるように
――ママになったことが、美容師としてプラスになった点はありますでしょうか。
子どもを預けられなくて子連れでいらっしゃるママさんや、お子さんのカットの予約が増えました。ママさんがどんな生活をしているか、どんな悩みがあるかなど、気持ちがわかるようになって、それがいろいろなところに生きているかなと思います。たとえば時間がないことがわかるので、スタイリングのしやすいヘアスタイルを提案したり、美容室で過ごす時間がどれほど貴重かということもよくわかるので、サロンに来ていただいている間はリラックスしてもらいたいと思って接したり。お話することでストレスが解消される方と、とにかくゆっくりしたいという方がいるので、タイプを見極めて接客していますね。
あとはお子さん連れのママさんが、気兼ねなく過ごせるように心がけています。うちのサロンではお子さんにiPadをお渡しして、お子さんが飽きないよう工夫はしているのですが、横目で見ていたり、気になっている素振りが見られたら、私が手をとめてお子さんに話かけるようにしているんです。そうするとママも一緒にお子さんを見ることができるので。うちのサロンは子どもが走り回っても全然大丈夫なのですが、ママさんのほうが気になってしまうんですよね。チラチラ見るのは気が引けると思うので、ママさんも気兼ねなく見れるように工夫します。
――ママさんやお子さんを担当したときの、印象深いエピソードなどありますか?
2歳くらいの男の子と来店されたママさんがいて。近くにお子さんを預けられる人がいなくて、さらにお子さんが初めて行く場所を嫌がって泣いてしまう、いわゆる「場所見知り」をするタイプだったそうなんです。それでお子さん連れで美容室に行くのもためらわれていて。たまたま私のことを見つけてくださり、お子さんと一緒に来てくれたんです。
理由はよくわからないのですが、お子さんと私との相性がよかったのか騒がずに静かにしてくれていて、そのお子さんのカットも任せていただけました。最後にお子さんが「お姉ちゃんだから大丈夫だった」と言ってくれたときはうれしかったですね。ママさんも「ここなら一緒に来れる」とすごく喜んでくださったんです。美容室に行きたくてもなかなか行けないママさんは多いので、気兼ねなくお越しいただけるようになったらいいなと思っています。
ママ美容師・島貫さんが今の働き方を確立した3つのポイント
1.初めての妊娠では上司と相談しながら、わからないことを解決していった
2.在宅勤務の日を作り、無理のない形で仕事を続けた
3.ママの目線を生かし、キッズカットや子連れママさん担当の美容師としても活躍している
後編では島貫さんが子育てと仕事の両立のために、工夫してきたことを伺います。技術の取得をするときはスケジュールを立て、忙しいなかでも時間を見つけるようにしているという島貫さん。またどんなに忙しくても、毎日お子さん1人ひとりと10秒ハグをすることを心がけ、家族との時間も大切にしているそうです。後編もお楽しみに!
Salon Data
住所:神奈川県川崎市中原区新城1-16-12