カウンセリングトレーニングを重ねケア重視に方向転換!単価・リピート率アップに成功「VINGT NAIL nail&eye beauty」 代表・吉原雅美さん
2006年外苑前に誕生し、2016年には表参道に拡張移転。およそ17年に渡り、人気を集めているのが「VINGT NAIL nail&eye beauty(ヴァンネイル ネイルアンドアイビューティー)」です。前編では代表を務める吉原さんになぜそのようなことが可能になったのかを伺いました。オープン当初は、お客さまが安心でき、集客も効率よく行えるように、お友達同士など「ふたりで通えるネイルサロン」をコンセプトにし、施策を打った吉原さん。さらに今から6年ほど前にデザイン重視からケア重視の施術に方向転換したことで、単価やリピート率がともにアップしたといいます。
今回お話を伺ったのは…
吉原雅美さん
「VINGT NAIL nail&eye beauty」 代表/M.SLASH トータルビューティー ディレクター
美容師として働いていたときに、当時同じサロンに在籍していたネイリストの売上アップを実現し、ネイル業界の可能性に気付く。美容師として10年目の節目にハサミを置き、ネイルサロン「VINGT NAIL」の代表に就任。その後、アイサロンも併設するようになり、「VINGT NAIL nail&eye beauty」に店名を変更。青山へ拡張移転し、12名ものネイリストスタッフを抱えるなど、人気ネイルサロンに成長させている。
「ふたりで通えるネイルサロン」をコンセプトに集客に成功
――17年前に「VINGT NAIL」の立ち上げたそうですが、最初はどのようにして集客をされていたのでしょうか?
最初の10年は「ふたりで通えるネイルサロン」をコンセプトにしていました。席数は偶数にして隣に座って施術を受けられるようにし、ふたりで来ていただいた場合の割引もご用意していましたね。お店側のメリットとしては1回の集客でお客さまが2倍になりますし、お客さまはお友達同士で来ているので、ネイリストからの提案に対してもやりたくないことがあったら断ることができる安心感があったと思います。
内装も大人の女性がふたりで楽しめる空間にこだわりました。シンデレラ城に行くような気持ちでサロンに来ていただきたいと考え、 真っ白な高級感のある内装を作ったんです。
――最初の10年はということでしたが、今はコンセプトがかわってきているのでしょうか?
今はアイサロンも併設しているので、ハンドとフットのネイルと、アイビューティーをトリプルで楽しんでいただくことをコンセプトにしています。以前は単価が1万円くらいでしたが、今は1万2000円くらいになりましたし、2万円、3万円と使っていただくお客さまも増えてきましたね。
カウンセリング能力が高いほど、必然的に単価はアップする
――アイサロンを併設している以外にも、単価アップを可能にする方法はありますでしょうか?
お客さまの爪の健康管理を可能にするカウンセリング能力があれば、必然的に単価はあがっていくと思います。お客さまに1回きりの施術をするのではなくて、「3回ご来店いただいたらお爪がこういう健康な状態になります」とか、「お客さまのお爪の状態だと、3週間後の付け替えで、きれいな状態を保てると思います」というように、先を見越した提案をできるかどうかが鍵になると思いますね。
先を見越した提案をすることで、次回予約につながるというメリットもあります。今は大体8割ぐらいのお客さまに、次回のお約束を頂戴している状況です。
――カウンセリング能力というのは、どうすれば身につくものなのでしょうか?
当社では私を含めたスタッフがモデル役を務め、リアルなカウンセリングトレーニングを日々繰り返すことで、スタッフにカウンセリング能力がついてきました。カウンセリングトレーニングが終わったあとに、モデル役のスタッフに「今のカウンセリングだったら、施術にいくらくらい払える?」とか「今の説明でどんな施術を受けるか想像できた?」などと質問して、技術者役のスタッフにフィードバックをしていきます。
最初は説明文を話しているだけのカウンセリングになってしまうことがほとんどなのですが、トレーニングを続けていくうちに説明ではなくて、その方に合う手法を提案できるようになっていくんです。たとえば爪の欠けで悩んでいるお客さまがいたら、その原因をお伝えし、対処法をいくつか提示し、そのお客さまに合う方法が見つかるまで探っていく感じですね。お客さまの爪が健康な状態で成長していけば、信頼につながり、結果的にリピートや単価アップにつながっていきます。
甘皮処理をすべてのお客さまに1回無料でプレゼントし、スタッフにも変化が
――爪のケアを大切にされているということなんですね。
今から6年ほど前に、デザイン重視からケア重視に切り替えました。ちょうどその位の時期に、ネイルの主流がワンカラーになって、ネイルの単価が安くなったので、この先どうしていけばいいかを考えたんです。そこで思いついたのが、ケアを中心の施術に切り替えることでした。
デザインを軸にしてしまうと、お客さまはいつかは飽きてしまうと私は考えました。そして人間の爪は年齢とともに、退化していくんですよね。大体 40代から50代ぐらいから、老化現象によって足の爪がすごく硬く、厚くなっていったり。せっかくネイルをされても、地爪が傷んでいれば浮きやすくなったりと持ちもよくありませんので、ケアに方向転換しようと決めたんです。
――ケア中心に切り替えるのは、スムーズにいったのでしょうか?
最初にスタッフに説明したときに頭では理解してくれたのですが、突然爪の健康管理のお話をお客さまにするのはハードルが高いとのことだったので、いくつか段階を踏みました。フットに関しては、「まずは靴下を脱いでもらうことをまずしましょう、爪を見ないことにはケアが始まらないので」と伝えました。このことによってスタッフも、お客さまのケアの必要性を感じ、そこからケアの話をすることも自然とできたんです。
ハンドに関しては、甘皮の処理を全員のお客さまにプレゼントしましたね。キューティクル回り綺麗にしたら、お客さまが爪が大きくなったと実感され、とても喜んでくださるので、その反応を見たスタッフもこれは続けた方がいいと思ってくれたようです。地爪から綺麗にしていく方向性に切り替えたことによって、お客さまとの信頼関係が深まったとも思います。安心して、 長く通い続けてくださる方が増えましたね。
「VINGT NAIL nail&eye beauty」が17年間、人気ネイルサロンとして拡大を続けた3つの理由
1.「ふたりで通えるネイルサロン」をコンセプトとし、お客さまが安心して通える環境を整えた
2.スタッフのカウンセリング能力をあげ、単価アップに成功した
3.時代の流れを読み、お客さまの潜在的なニーズをキャッチして、ケア中心のサロンに方向転換した
後編では「VINGT NAIL nail&eye beauty」を人気店として維持してきた吉原さんのマネジメント術について伺います。ネイリストではなく、施術ができないながら、お店をひっぱってきた吉原さん。ポイントはお客さまの代弁者として、お客さま目線のマネジメントをすることにあるそうです。後編もお楽しみに!