オーナーが動かなくてもお店をまわせるように心がけ、24歳で店長に抜擢 「CLIM」種市明日香さん
韓国風のレイヤーカットで一躍人気になった「CLIM」種市明日香さん。前編では、その技術の磨き方や、3万人のフォロワーを誇るInstagaramの運用術などについてお話を伺いました。
後編では、種市さんが店長を務める「CLIM」が躍進し続けている理由を伺いました。24歳で店長に抜擢された種市さんは、自分のスタイルに合ったマネジメント方法を探し、一緒に悩んで、一緒にがんばろう!」というスタンスでスタッフを育成。そうすることで、メンバーの「考える力」が養われているとか。
さらに、細やかなおもてなしも「CLIM」の人気の理由の一つ。種市さんは施術中、できるだけ長い時間お客さまと接し、心地よいと感じてもらえるテンションでの接客を心がけているそうです。
今回、お話を伺ったのは…
種市明日香さん
美容師歴7年。「CLIM」の店長を務める。大人っぽい韓国風ヘアや女性らしさを引きだすブリーチなしカラー、上品な色気あふれるレイヤーカットを得意とする。SNS発信に力を入れており、Instagaramのフォロワーは3万人。メーカーからの依頼でセミナーなども行う。
「一緒に悩んで、一緒にがんばろう!」のマネジメントで、スタッフの考える力を伸ばす
――種市さんは前店舗「ADITION」で店長に抜擢されたのち、新店舗「CLIM」の店長も務められています。入社1年で役職に抜擢されたそうですが、どんなことを意識して日々の仕事をしてこられましたか?
元々人前に出るのが苦手で、リーダーなどを務めることも得意ではありませんでした。しかし「ADITION」のなかではオーナー大石の次に美容師歴が長く、年齢も2番目。「私が引っ張っていくしかない!」と奮起しました。
「ADITION」ができた際にオーナーに「店長目指してがんばります!」と宣言。そこからは、シフト管理や練習会のメニュー作成、発注などの裏方の仕事にも積極的に取り組みました。同時に、後輩スタッフ6人の教育やメンタルケアも行いました。そのときは、「オーナーが動かなくても、お店が上手く動いていくようにしよう!」という意識でしたね。
そういったことの積み重ねや努力をオーナーが見ていてくださったのかな、と思いますがどうでしょうか(笑)。
――後輩の教育で意識されていることはありますか?
技術的な指導はもちろん大事な仕事ですが、「働いていて楽しいお店を作る」のも店長の役目だと思っているので、スタッフのメンタルケアを大事にしていますね。元気がないメンバーがいたら、ご飯に行って話を聞くようにしています。
私、どうしても「こう決めたから、着いてきて!」というリーダーシップの取り方が苦手なんですよね(笑)。自分のキャラクターに合っていないので、しっくり来なくて…。どちらかというとスタッフに意見を求めるし、「一緒に悩んで、一緒にがんばろう!」というスタンスのマネジメントに自然となっていましたね。そのほうが、スタッフが、お店のことを自分ごととして考えてくれるなと思っています。スタッフはみんな責任感を持って自分の仕事を全うしてくれるので、いつも信頼して頼っています!
引き継ぎや声掛けも丁寧に 1対1の「おもてなし」を心がける接客
――「CLIM」の運営をしていくなかで、他店との差別化を図るためにどんなことをしていますか?
お店全体の強みを韓国風のスタイルに特化させて行きたいと思っています。内装はもちろん、スタッフ全員スタイルの統一感があって、「CLIM」にきたら絶対にかわいくなれると思ってもらえるような店作りを目指しています。
また接客面では、スタッフ5人という規模感だからこそ実現できる1対1の「おもてなし」を大切にしています。忙しいタイミングですと、何人かのお客さまの施術を掛け持ちすることもあるのですが、できる限り私が施術を行うということは心がけていますね。
状況によってはアシスタントに入ってもらうこともありますが、「ここからのカラーはアシスタントの○○が担当しますね!」というように引き継ぎも必ず行います。また些細なことですが、カラーの待ち時間にも「寒くないですか?」「頭皮にしみていないですか?」と、必ずひと声掛けに行くようにしていますね。指名をしてもらったからには、極力長い時間、自分が接客できるよう心がけています。
――あたたかい心遣いが素敵ですね!人気の秘訣のひとつを垣間見た気がします。
基本的なことかもしれませんが、壁を作らずにフランクにお客さまと接することも意識しています。お客さまだからといってあまりにも下から接すると話しにくいでしょうし、かといってフランクに話しすぎると不快にさせてしまうので、ちょうどいい塩梅を探っています。
あとは「こんにちは!」と初めて挨拶したときのお客さまの反応を見て、テンションをあわせるようにしていますね。元気だったら元気に、ちょっと静かそうなお客さまだったらこちらも静かにするようにしています。どんな接客を求めているのかを、極力ファーストセッションのタイミングで見計らうことを意識しています。せっかく美容室に来てくれているので、少しでも心地よいと思える接客をしたいんですよね。
お店を韓国風スタイルに統一&丁寧な紹介で、他スタッフに指名が入ることも!
――種市さんが大人気なゆえ、予約が取れないという事態も起こるかと思うのですが、そんなときはどうされていますか?
実はとってもありがたいことに、私の予約が取れないお客さまは、後輩のスタッフを指名してくださることが多いんです!よく私のInstagramのストーリーズにスタッフを登場させたり、アシスタントに入ってもらうときには紹介をしているので、親しみを持ってくださる方が多いみたいなんです。
サロン全体で韓国風のスタイルを打ち出しているので、別のスタッフであってもお客さまと好きな系統が似ていて安心して施術を任せられるという点も、これに寄与しているかもしれないですね。
――今後の目標を教えてください。
後輩のスタッフたちがより活躍できるように教育をがんばっていきたいですね。どんどん成長して、一緒にサロンを盛り上げたいです!
また「CLIM」の業界知名度を上げていくことも密かに目標にしています。知名度が上がることでスタッフたちが「CLIM」で働くことを誇りに思ってくれたらうれしいですね。「CLIM」のブランド力を上げていくことは、これから私が先陣を切ってがんばっていきたいことの1つ。サロンワークはもちろんですが、セミナーや撮影など、業界のお仕事もがんばっていきたいと思います!
種市明日香さんのお店「CLIM」が顧客の熱い支持を得ている3つのポイント
1.「おもてなし」を重要視し、指名したスタイリストが極力施術を行っている
2.引き継ぎや 声掛け、会話のテンションを合わせるなどの細やかな気配りをしている
3.サロン全体で韓国風スタイルを打ち出しており、サロン自体のファン化が進んでいる
24歳での店長抜擢や、Instagaramのフォロワー3万人を達成しながら、「たまたまです」と謙虚にお話されていた種市さん。華やかなご活躍の裏には、絶え間ない努力があり、美容師という仕事・スタッフさんへの愛があふれているように感じました。これからご自身の強みを見つけていきたい方や、店長を目指されている方はぜひ参考にされてみてはいかがでしょうか?