目標は4年で80店舗。人気美容師が仕掛けるサロンづくりの秘訣 AI TOKYOオーナー美容師・鎌形諒さん
数多くの一流美容師を輩出する「OCEAN TOKYO」にて最速でスタイリストとなり、4年で独立を果たした鎌形諒さん。現在は独立して株式会社P.B.の代表をつとめ、渋谷エリア、横浜、名古屋に自身のサロン「AI TOKYO(アイトーキョー)」を5店舗展開しています。さらに2023年7月には自社開発のヘアケアブランド「AI me」の販売を発表。
前編では現在もサロンの展開を続ける「AI TOKYO」の人気の秘訣に迫ります。技術力の高いスタッフが集結しているのはもちろん、本社体制を充実させることで求人・教育・集客の質を向上させてきたとのこと。美容師として人気を博しながら経営者という立場でも活躍を続ける鎌形さんにサロンを成長させる秘訣を伺いました。
今回、お話を伺ったのは…
鎌形諒さん
2016年に恵比寿ビューティーカレッジ専門学校を卒業。新卒でOCEAN TOKYOに入社し、当時最速の2年でスタイリストデビューを果たす。その1年後にはトップスタイリストに昇格。さらに1年後にはOCEAN TOKYO初の役職であるディレクターに就任する。2020年11月に独立。株式会社P .B .を設立し「AI TOKYO」を立ち上げる。2023年現在は渋谷エリアを中心として全国に5店舗を展開。7月には自社開発のヘアケアブランド「AI me」を販売するなど、サロン展開以外にも仕事の幅を広げている。
現場と本社、両方の優秀な人材の支えのもと成長し続ける会社
――「AI TOKYO」は独立3年目の2023年現在、都内を中心に5店舗を展開していますが、店舗展開を視野に入れて独立されたのですか?
はい。僕の経営する株式会社P.B.の企業理念は「お客さまと従業員と社会すべてを幸せに導くこと」。2027年までに企業のステークホルダーの幸福度が日本一高い企業になるというミッションを掲げています。それを達成するためには複数の事業を作ってシナジー効果のあるグループ企業を作ることが重要だと独立する際に考えていたんです。
その構想を実現するために事業計画を立てて計算した結果、直営で30店舗、ブランドシェアで50店舗、合計80店舗を全国に出店するという目標にたどり着きました。そのため5店舗はまだまだ目標の初期段階でまだまだこれからだと思っています。
――まだ計画の初期段階なんですね。とはいえ店舗展開に向けて売上の向上や資金の調達が必要だったかと思うのですが、これまでどのようにしてそれを短期間で実現させてきたのですか?
経営のプロセスを達成するために大切なのは「求人・教育・集客」の3つ。それぞれに対して会社がつねに改善を繰り返すことで目標を達成できるんです。そのために弊社では本社スタッフを約10名雇い、サロンワーク以外のバックオフィスの業務を集中的に行っています。
たとえば集客につながるSNSでブランドをきれいに見せるためのコツや技術教育のカリキュラムを作ったり、求人のために条件やサロン内の雰囲気の見せ方を工夫したり。教育面ではオンラインで簡素化しつつ、クオリティの高いコンテンツを作ることに成功しました。
サロンワークを行う技術者は美容室の激戦区、原宿・渋谷の元有名店スタッフが集結していますし、それを支える本社スタッフもサロンのことを考えて働いてくれている、優秀な人材がいてくれるからこそサロンが成長を続けられているのだと思います。
教育のカリキュラムはすべて言語化し、現場のストレスを減らす
――教育について「オンラインで簡素化しつつクオリティの高いコンテンツを作っている」とのことですが具体的にどのようなカリキュラムになっているのですか?
社内専用のSNSのような仕組みを使っており、そこにすべての研修動画をファイリングしています。カットやカラーなどすべて言語化して解説を行い、現場での経験数も含めて合格基準をひとつに定めているので、一定の条件を満たせばデビューをすることができるんです。
一般的な企業などでは正解が必ずあって、それに則って業務を行えばいいのですが、美容師はフィギュアスケートの芸術点のように正解がないんですよね。これまでは先輩によって言うことが違ったり、デビューの基準が曖昧だったり、スタイリストデビューにあたりストレスや不満を生む要素が多かったんです。そうならないように「AI TOKYO」の正解を1つ作って、誰にとっても平等で明確な基準を定めるようにしました。
――「AI TOKYO」のスタッフにはどういう人材に育ってほしいと思いますか?
利他的な心を持っていて自分の人生を楽しめる人に育ってほしいですね。自分のことばかりではなく、お客さまやほかのスタッフなど周りの人を大切にすることでそれが結局は自分自身に返ってくるという本質をきちんとわかった人に育ってほしいと思っています。
世の中のためになにができるかを考えながら新しい道を探し続ける
――サロン展開について大きな目標を伺ってきましたが、鎌形さんの最終的な夢や目標を聞かせてください。
2027年までにサロンを80店舗に拡大した後は社長職をほかの人に譲り、僕は会長として海外で別のビジネスをしたいと考えています。一度海外の会社に勤めて、その後いちから自分でサービスを立ち上げるのが次の目標です。最終的には世界中を回りながら仕事がしたいですね。そのために現在大学に通ってMBAや語学の勉強をしています。
――新しいサービスは美容業で?
いえ、職種や業種にはとくにこだわりはありません。世の中の課題は無限にあって、そのために僕ができることもたくさんあると思うんです。まだ具体的になにをするかは決めていませんが、僕がなにをしたいかよりも世の中のために僕になにができるかを考えていきたいと思っています。
――社員の働きやすさを考えつつ、会社を拡大、同時に目標に向けて勉強も行うなど多忙だと思うのですが、そこまでの行動を可能にする鎌形さんの原動力はなんでしょうか?
今お話したような世の中のためになる仕事をしたいという気持ちと将来の目標がある、ということ自体がモチベーションにつながっています。それから美容師という仕事や新しいことにチャレンジするのが単純に好きだということも、日々楽しく働ける理由のひとつです。
鎌形さんが自身の会社を成長し続けるために大切にしていること3つ
1.サロンと本社、両方に優秀な人材を揃える
2.仕組み化や言語化に力を入れ曖昧な基準をなくす
3.自分が世の中のためになにができるかを考えて行動する
世の中のためになることを考えた鎌形さんの新規事業がヘアケアブランド「AI me」の開発・販売。後編では発売前から注目される株式会社P.B.の自社製品の開発のきっかけや魅力に迫ります!