スタイリストから転身!独自性が光るカラーリストとして活動をスタート【TWIGGY.カラーリスト 大島佑介さん】#1
都内なのに自然を感じられる、唯一無二のクリエイティブサロン「TWIGGY.」。ヘアスタイルのほか、ファッション、音楽、アートなどライフスタイルの在り方まで独自の創造性を持ち、提案をしています。
カラーリストの大島佑介さんもその1人。前編では、大島さんのカラーリストという職業に対する考えや想いを紐解きます。
お話を伺ったのは…
TWIGGY.カラーリスト 大島佑介さん
専門学校卒業後、都内のサロンにてスタイリストとしてのキャリアを築くも、カラーリストに転身。以降、カラーリストでありながら染色家の志を持ったカラーリング施術を行う。今までにないカラーリングの領域を目指している。
Oshima’S PROFILE
- お名前
- 大島佑介
- 出身地
- 栃木県
- 出身学校
- 真野美容学校
- 憧れの人
- 多くて挙げきれません
- プライベートの過ごし方
- レコード、染色、庭、散歩
- 趣味
- 旅、散歩、レコード
スタイリストを志すも理想とのギャップに思い悩み、カラーリストの道へ
――もともと、カラーリスト志望だったのですか?
最初はスタイリスト志望だったんです。
僕の母は美容師で、実家は現在まで3代続くサロンを経営しています。幼い頃からそうした環境に身をおいていたため、自然とスタイリストを目指していました。周りの大人に可愛がってもらっていたので、僕にとってサロンは居心地の良い場所だったんです。
その後は、何の疑いもなく親と同じ職種を志して専門学校へ進学。美容師免許を取得後、都内のサロンで働き始めたのですが…実際に働いてみたら、とにかく「しっくり」こなくて。シャンプーから、カット、パーマ、カラーまで、一つのスタイルを完成させる工程が、自分には多すぎて負担に感じてしまったんです。一つずつの工程に満遍なく気を使わなければいけない。気づいたら、20代で3社ものサロンを渡りあるいていました。
――カラーリストとしてデビューしたきっかけは?
ヘアメイクアップアーティストの従兄弟からTWIGGY.を紹介してもらい、オーナーの松浦から誘っていただいたことがきっかけです。
――詳しい経緯をお聞かせください。
スタイリストを半ば諦めていた僕を見かねた従兄弟に声をかけられ、一時期ヘアメイクの仕事を手伝っていました。ヘアメイクの仕事は工程がギュッと詰まっていて、スタイリストをするよりも楽しかったのを覚えています。
その楽しさに気づいたときにちょうど、TWIGGY.がカラーリストの募集をスタートしていて。スタイリストは工程が多いけど、カラーリストならカラーだけに特化できると思い、TWIGGY.の仲間入りをしました。
ただ、当時の日本ではカラーそのものがまだ浸透していない時代。その先の需要を見越してのデビューとなりました。
――そのような状況でのデビューは、大変ではなかった?
周りに恵まれていたんです。カラーリストの先駆者であるフランス人のステファンの元でアシスタントを経験させてもらったことで、十分に学ぶことができました。
カラーリストという仕事に出会って初めて、自分にフィットする感覚を実感できたと思います。
――周りの支えがあってこそ、自分に合う仕事を見つけられたのですね。
そう思います。母がサロンで働いているときもいろいろな人と接してきたので、そもそも人と関わることは好きだったんです。基礎的なところは両親のおかげですが、僕とTWIGGY.を引き合わせた従兄弟やオーナーの松浦、師匠のステファン…さまざまな人の出会いによって、今の僕がいると確信しています。
カラーリストとして働いていくために
――カラーリスト以前に染色家としての自意識があるとのことですが、そう思うに至ったきっかけは?
染色家の金井さんと出会ったことで、カラーリングの捉え方が変わりました。
今まで、一つのことを極められる環境に感謝しながら「カラー」と向き合ううちに、自分にしかできないことがしたいという想いが生まれ始めていて。ちょうどその頃、世の中で議論になっていたのが自然環境問題。思えば、ほとんどのサロンがカラーリングの際に化学染料を元に施術をしているなと。自然を考慮した100%天然素材でつくられた染料はそんなに広まっていない現状に気づき、新しいカラーリングの在り方を広めていきたい気持ちが強まっていました。
そこで出会ったのが、染色家の金井志人(ゆきひと)さんです。金井さんが自分の髪の毛を泥で染めている投稿を見たとき「これだ!」と、空いていた隙間にピースがピッタリとハマるような感覚を味わいました。
――具体的に、金井さんと出会って発見したことを教えてください。
もともと金井さんが扱っているのは、綿などの植物性タンパク質やウール、シルクといった動物性タンパク質。人間の髪もタンパク質で構成されていますから、ウール、シルクなどと同じ動物性タンパク質であるなら当然染まるはずだとの考えで、泥染めを行っていたようなんです。髪の毛を物質として捉える考えがなかった僕は衝撃を受けました。カラーリストとしてサロンにいると、髪の毛として見ることが普通ですよね。でも、染色家である金井さんからしたら髪の毛も物質と一緒だと捉えている。自分の中では当たり前のことが、別の視点でみてみると新しい発見があることに感動しました。
――新たな視点により、進むべき方向が見えたのですね。
そうですね。ケミカルもオーガニックも双方の良さを活かして、どちらかに偏り過ぎないように提案していきたいと思っています。
一度はスタイリストの道を選んだものの、自分に合わないと感じてカラーリストに転身した大島さん。さまざまな思いや葛藤を抱えながら、カラーリストとして歩み始めます。後編ではお客様との向き合い方、大島さんにとって仕事とはどんなものなのか、詳しくお聞きします。
取材・文/東 菜々(レ・キャトル)
撮影/SHOHEI
Salon Data
住所:東京都渋谷区神宮前3-35-7
電話:03-6413-1590