「だれにも負けたくない」思いを胸に。サロンアルバイトと夜学で掴んだ自分に合うサロン「Of HAIR GINZA」廣瀬隆志さん

美容業界の巨匠・古里オサムさんが代表を務める「Of HAIR」は、東京を中心に9店舗を構える人気のサロンです。その「Of HAIR GINZA」で入社5年目を迎えるのが、廣瀬隆志さん。「Of HAIR」で最年少トップスタイリストになった記録を持っています。

そんな廣瀬さんは、中学生のときに初めて行った美容室で、人生が変わるほどの感動を覚えたといいます。美容師を目指すからにはだれにも負けたくないと高校時代からサロンでアルバイトをはじめ、夜間の専門学校に進んだあとも、サロンでのバイトを継続。コツコツと努力を重ねてきました。それでも、専門学校時代は成果を上げることができなかったといいます。

そんな廣瀬さんは、第一志望のサロンには落ちてしまい、学校の先生からの紹介で「Of HAIR」と出合います。努力を重ね、ひたむきに技術を磨いてきた自分にぴったりのサロンだと感じ、採用試験に進んだそうです。面接では代表の古里さんに怒られたことも…? 自身の就活について振り返っていただきました。

今回、お話を伺ったのは…

「Of HAIR GINZA」
トップスタイリスト
廣瀬隆志さん

中学生のときに初めて行った美容室に感動し、美容師になることを決意。高校時代から、サロンでアルバイトをはじめ、夜間の美容専門学校に通いながら、技術を磨き続ける。2019年「Of HAIR」入社。2022年にJHCフォトコンテスト、審査員賞受賞。2023年には「Of HAIR」で、最年少トップスタイリストに昇格。現在は入社5年目ながら、「Of HAIR GINZA」をけん引する存在として活躍している。また「Of HAIR」の採用担当としても活動中。

インスタグラム:@t_hirose__

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初めての美容室で得た感動。自分も与えられる側になりたいと美容師へ

美容室の接客や技術に感動した廣瀬さんは、高校1年生で美容師になることを決意

――美容師になろうと思ったきっかけは?

中学生のときに初めて美容室に行ったのがきっかけです。それまでは、ファッションや自分の身なりにあまり気を遣ってきたタイプではなくて。髪の毛を切るときは母親に切ってもらうか、1000円カットに行くことしかありませんでした。周りの友達が段々と美容室に行きだしたこともあって、軽い気持ちで行ってみたら衝撃を受けてしまって。

――どんな点にですか?

まずきれいにカットやセットしてもらうことで見た目が変わって、自分に自信がつきました。あとは美容室で提供しているサービスにもとても感動しましたね。1000円カットだと、ほとんどの場合髪の毛を刈り上げられておしまいで、シャンプーのメニューもないので、髪の毛が服や顔について、チクチクしたまま帰るのですが、シャンプーもすごく気持ち良かったですし、サービスも行き届いていると感じました。帰り道にはディズニーランドから帰ってきたぐらいの感動を覚えていました。

僕が美容室に行くことで感動して、人生が変わったので、自分も感動を与える側になれたらと思ったんです。美容を通してお客さまの人生に携わって、喜んでもらえて、さらにお金をもらえるなんて幸せな仕事だと思いました。高校1年生のときに気持ちが決まり、美容師を目指すことにしたんです。

――そこから、美容専門学校に入ったのですね。入学後はどんなことを感じましたか?

ものすごく高い壁を感じました。僕は負けず嫌いの性格だったこともあって、元々美容に興味を持っていた人や手先が器用な人には絶対負けたくないと思い、高校時代から地元の美容室でアルバイトをしていました。免許がないので、基本的には掃除や受付の業務が主ですが、技術の練習もさせてもらっていたんです。

専門学校入学後も少しでも多く美容の仕事に携わるために、日中のアルバイトを続けて夜間の美容専門学校に通っていたのに、それでもセンスのいい人に負けてしまうことが多くて。成績で上位を目指したい、コンテストをとりたいと思っていたのですが、なかなか成果を出せないまま卒業することになりました。

――アルバイトと、学校の両立は大変そうですね。

そうですね。7時くらいにはアルバイト先のサロンに行って練習し、8時から17時までアルバイト、その後移動して18時から22時まで学校、帰ってくると11時くらいという生活を2年間続けました。学校は週に6日授業があって日曜日が休みだったのですが、アルバイトは日曜日が一番忙しいので休むことができず。丸1日休めるのは、アルバイトのお休みをもらった月1日くらいでしたね。

しっかり準備をして挑んだ採用試験。しかし面接では怒られたことも

廣瀬さんが入社した「Of HAIR」。知ったのは、第一志望のサロンに落ちたからだったそう

――就職を意識しだしたのは、いつごろからでしたか?

1年生のときから考えていました。どんなサロンがあるかは常に調べていましたし、いろいろなサロンをより知れると思ったので、お客として足を運んだ場所もたくさんありました

2年生になるとすぐに第一志望のサロンに応募したのですが、そこに落ちてしまい…。自分の世界を広げるためにも海外に行きたいと思っていたので、海外展開もしているサロンに応募したのですが、次の応募先をまったく考えていなかったため、途方に暮れていました。

――そこからどうやって「Of HAIR」に行き着いたのですか?

専門学校の先生に相談したところ、「廣瀬に合っていると思う」と紹介してくれたんです。一度お客としてサロンに行ってみたところ、技術面でも接客面でも今まで行ったサロンのなかで一番丁寧だと思いました。美容室のなかの時間がゆっくり流れて、リラックスできるとても良いサロンだと感じたんです。

説明会に行ったときに、このサロンであれば技術や接客に対して勉強ができるし、美容師として成長できると思い、応募してみようと心が決まりました。

――応募の流れは?

今は少し変わっているのですが、当時は3段階の試験がありました。書類選考を通ると、1日で技術試験と集団面接を受ける日があり、合格者がサロンワーク試験と個人面接に進む形でしたね。

履歴書には、これまで努力をしてきたこと、そして今後自分も人に感動を与えられるような美容師になりたいと思っていることを書きました。技術試験の内容はワインディングとカットで、カットはウィッグを使って、ある程度自由にデザインをつくっていいという条件でした。

――技術試験と集団面接で印象的だったことは、ありましたか?

元々、専門学校で面接も技術試験もしっかり事前準備を行っていて、質問された内容も想定した範囲内だったので、とくに困ることはなかったのですが、ひとつ焦ったことがありまして…。

面接の時に、代表の古里から、技術試験で自分がつくったカットのデザインについて、「すごくよかったね」とほめてもらったんですね。でもそのあとに「襟足がちょっと長かった」と言われて。僕は意図的に襟足が長めのデザインをつくったので、「意図的に残したんです」と言ったら、「バランスが悪い、短い方が絶対にいいデザインになる」と注意されたんです。

――それは焦りますね…。

多分、古里は、僕が指摘を受けたときにちょっとむっとして言い返したのを見逃さず、人間性を見抜いたんだと思います。デザイン面での指摘というより、アドバイスをきちんと受け入れない未熟さを指摘されたのではないかと。初対面でそこまで人のことを見抜けるんだなと思い、自分が変なことを言ってしまったと焦ったと同時に、すごい人だと驚きましたね。この経験をしたので、人からアドバイスをもらったらだまって聞くようになりました。

何日か後かに、試験にが通ったという連絡がきたときは心底ほっとしました。

意識したのは、元気の良さと礼儀

サロンワークでは求められていることを意識し、行動したという廣瀬さん

――そのあとの、サロンワーク試験はいかがでしたか?

事前の説明もとくになく、営業中に放り出されるのですが、そのなかでどう動けるか、どう成長できるかを見られる試験だと思っていました。美容室でアルバイトはしていて、大体の流れは分かっていましたが、それでもサロンによってやり方が違うこともあるので、動いたほうがいいかなと思っても自己判断はせずに、先輩に聞いてから動くようにしましたね。

――サロンワーク試験中、とくに心がけたことは?

元気よくいることです。すごく緊張していましたが、あまり緊張が見えるとだめだと思ったので、なるべく落ち着くように自分に言い聞かせていました。どんなことがあっても暗くならないように、とくにお客さまやスタッフに対するあいさつは精一杯大きな声で明るくしていましたね。

あとは礼儀の部分でも、お客さまに失礼がないような立ち振る舞いができることをアピールしたかったので、その点も意識していました。

今、自分が採用担当としてサロンワーク試験を見る側の立場でもあるのですが、見ているのはやはり挨拶や礼儀、人柄なので、その点に気をつけるといいかもしれません


廣瀬さんが就活を成功させた3つのポイント

1.感動を与えられる側になりたいと、純粋な思いで美容師を目指した

2.進む道が分からなくなってしまったときは、周囲に相談した

3.しっかりと準備をし、求められているものを意識しながら、採用試験に挑んだ

後編では、入社後の廣瀬さんがどんなことを感じたのかを伺います。サロンでのアルバイト経験はあったものの、「Of HAIR」で求められる技術やサービスの質の高さに、壁を感じたという廣瀬さん。しかしくじけずに努力を続けることで、JHCフォトコンテストで審査員賞を受賞したり、「Of HAIR」最年少トップスタイリストに昇格するなど徐々に成果があらわれてきたといいます。

そんな廣瀬さんが考える、成果を掴むコツは、とにかく歩みを止めないこと。コツコツ続けていれば、いつか自分の望む美容師になれると信じているそうです。後編もお楽しみに!

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Salon Data

Of HAIR GINZA
住所:東京都中央区銀座6-3-2 ギャラリーセンタービル3F
電話:03-6274-6085
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