エリアシェアを6割獲得。「利他」の精神で、地域密着企業として成長「リタ」小森谷亮太さん
日本の美容業界を支える企業の魅力を紹介する本企画。今回登場いただくのは、埼玉を中心に美容室16店舗、アイサロン5店舗を構える、リタ株式会社です。
前編では新卒社員として「リタ」に入社し、今年で14年目を迎える営業最高執行責任者の小森谷亮太さんに、企業の成り立ちや理念、「リタ」の特徴を伺いました。
「リタ」は埼玉県蕨市に9店舗、大宮に5店舗と、ひとつの地域に集中して出店する、地域密着型の店舗展開を進めてきました。そうすることで地域に存在感を示し、愛されてきた「リタ」。また地域密着型の店舗展開は、店舗間のフォローが容易になり、スタッフの働きやすさも実現できているといいます。
さらに社内アカデミー、トレーニングルームを備えているため、アシスタントが営業時間内で練習することも可能に。そうしたスタッフの働きやすさを追求する背景には、社名の通り、「利他」の思いが込められているそうです。
お話を伺ったのは・・・
リタ株式会社
営業最高執行責任者
小森谷亮太さん
美容専門学校卒業後の2010年に、2店舗目のオープニングスタッフとして「リタ」に入社。2018年の法人化、その後の店舗展開などを経験し、2022年に営業最高執行責任者(COO)に就任。現在もプレイヤーとして日々現場に立ちながら、各店舗のマネジメントや採用担当の役割も担っている。
関わる人すべてを幸せにしたいという思い
――「リタ」の企業としての成り立ちから教えていただけますか。
「リタ」は1店舗目のサロンを2002年に開業したことが始まりです。それ以来、主に蕨や大宮などひとつのエリアに集中して店舗展開を行ってきました。
地域密着で展開している理由としては、代表がロンドンで美容師をしていた経験がありまして、そのイメージを日本に再現しようとしたからです。向こうでは、同じ系列のサロンが地域に何店舗もあり、サロンの外観、内観にもとてもこだわっているそうです。
そういうお店があることで、街におしゃれな人が増えるし、街の景観までよくなる。ひいては街が文化的に成熟するという考え方だそうで、それを日本にも取り入れたいと思ったと聞いています。
僕が入社したときは、開業から8年目でまだ2店舗しかありませんでしたが、そこから14年を経て美容室を16店舗展開するまでになりました。
――会社を経営するうえで大切にされている理念を教えてください。
社内に共有しているコーポレートアイデンティティは、社名の通り「利他」で、これを不変の価値基準としています。そして企業理念として、お客様、地域の方たち、取引先、そしてスタッフなど、弊社と関わるすべての人を笑顔で、幸せにしながら、同時に経済的に発展していく「道徳経済合一」という考え方を掲げています。
――お客様だけでなく、地域の方の幸せも考えているのですね。
まだすべてが実現できているとはいえませんが、そのような目標を持っています。その一環として、CSR活動にも力を入れていました。
最近は夏場がとても暑いのでその時期は避けてきましたが、6年ほど前から月1回ほど地域清掃を行ってきました。自分たちが働かせてもらっている街に感謝を込めて清掃し、きれいで気持ちのいい街にしたいという思いがあります。また地域活動でいえば、自治会の夏祭りへの出店なども行ってきました。
ほかにもCSR活動の一環として、ヘアドネーションの取り組みや、環境への配慮にも力を入れています。
営業時間内練習、店舗間のフォロー。働きやすさを実現
――現在はアイサロンなども含めて21店舗を展開しているとのことですが、そのように急成長できた理由は?
いい人材が集まってくれたことが、とても大きいと思っています。弊社の理念に共感し、お店を展開していくことを一緒に楽しみながら成長してくれるスタッフが揃ったときに、急激に成長をしたと感じます。
――いい人材が集まったということは、働きやすい環境も整っているということかと思うのですが、工夫をされていることはありますか?
美容師の仕事というと、朝が早くて夜も遅い、営業時間外での練習があるなど拘束時間が長いイメージかと思いますが、その点は意識をして改善をしてきました。一例として、以前は営業時間が10時から20時でしたが、それを見直しまして、30分前倒しの19時30分閉店にしました。
さらにアシスタントに対しては社内アカデミーで研修ができる仕組みになっていまして、サロンとは別にトレーニングルームも構えているので、営業時間内に練習をすることが可能です。それによって営業時間後の練習時間を短縮できています。
またサロンが密集していることで、お互いの店舗をフォローしあえるのも働きやすさにつながっているかなと。お子さんが急に熱を出して帰らなくてはいけなくなった、急に忙しくなったときなどに、すぐに行き来できる距離にあるため、連携がしやすいです。
――それは、地域密着ならではの強みですね。
はい。ほかにもお休みの点では月に8日が標準で、そのほかにも申請をすれば有給を使うことが可能です。給与面でも、がんばった分だけなるべく社員に多く還元できるような仕組みを構築しています。
もうひとつ弊社の強みだと思うのが、集客で困ることがほとんどないという点です。たとえば蕨では、6割のシェアをとれています。弊社にはパートさんが多く、ご家族の転勤に付き添ってこちらにきて、お客様ゼロの状態からうちで働き始める方も多いのですが、そういった方でも入客できないという事態が起こりません。これも働きやすさにつながっていると思います。
――6割のシェアは素晴らしいですね。どのようにして実現しているのでしょうか?
技術力を強化しているところでしょうか。スタイリストに対しては、今ある技術をさらに高めていく意味で、任意参加の講習会も随時開催しています。最近はお客様のニーズもトレンドとともに高くなってきているので、そこに応えるためにはより進化をしていかなければなりません。長く美容師として活躍してもらうことを考えると、避けては通れない道ですので、会社としても全面的にバックアップしています。
また先ほどもお話しした社内アカデミーによって、アシスタントもしっかりと、着実に技術力をつけていくことができます。
ここでなら、今からでもきっと美容が好きになれる
――スタッフの方への思いを教えてください。
良い形で美容に携わっていてほしい、美容業界で生き抜ける力を身につけてほしいという思いがあります。今は特化型サロンや専門性を高めたサロンが増えてきており、弊社でもそういった展開はしているのですが、やはりできることが多ければ求められることも増えると思うので、トータルビューティーへの対応できて、それぞれのスタッフが最高値を出せるように、自社内でも環境を整えていきたいと思っています。
それを経たうえで、何かひとつの技術を追求したいスタッフがいれば、もちろんそれは尊重し、力を発揮できるような環境を提供したいと考えています。
――企業としての今後の目標を教えてください。
今後も店舗展開は随時行っていきたいですし、さまざまな美容の業種を展開していきたいと考えています。業種をもっと増やすというよりは、たとえばマツエクもまつ毛パーマもできるアイサロンや、美容師とアイリストを兼任するスタッフが在籍するサロンを作ったりと、今あるものを進化させていく形を考えています。
――最後に、この企業を目指す方へのメッセージをお願いします。
僕が入社する際に代表から言われた言葉は「必要なものはやる気だけ」だったのですが、この言葉を今でもよく思い出すんです。うちの会社を見てもらったときに、気になったところ、やってみたいことがあるのであれば、気持ちだけで飛び込んでもらえたらうれしいと思います。
今、美容業界で働いている人のなかには、美容業に対する諦めの気持ちを持つ方、美容から離れてしまった方、そこまで美容が好きではないけど美容師をしている方など、美容に対して前向きな思いを持つことが難しいと感じている人も少なくないと思うんです。
でも僕は、美容はのめり込んでいくほど、本当に深い世界だし、楽しいことがたくさんあると思っています。「リタ」はそういったことを体験できる会社なので、今からでも美容を好きになれると考えています。美容業界にもこういったいいお店がたくさんあるということをぜひ見て、知ってもらえたらうれしいですね。
小森谷さんのお話しから、「リタ」には美容の可能性を信じて、楽しみながら仕事をしているスタッフの方が多いことが伝わってきました。その根底には会社がスタッフを思う、利他の気持ちがあるのだと感じました。
後編では、2020年に入社した「Hair & Beauty RITA 蕨」所属の齋藤夏希さんにお話しを伺います。「リタ」に入ってから、毎日が楽しいという齋藤さん。その理由をお聞きすると、技術や、後輩の指導など、学べる環境が整っており、自分の成長を感じるからだといいます。