たくさんの人にパワーをもらいながら、自分らしく楽しく働くのが一番!【美容師 鈴木恵子さん】#2
独立という大きな目標を持ちながら、美容師として活躍する鈴木恵子さん。自らの経験をもとに働き方の講演会を行ったり、ヘッドスパ専門店の立ち上げに関わったりと、次々と新しいことに挑戦しています。そのパワーの源は、人との出会いであり、自分らしく働きたいという思いであり、大切な家族の存在でした。
お話を伺ったのは…
GULGUL libera
トップスタイリスト 鈴木恵子さん
子育てをしながら32歳で美容学校入学、35歳で美容師免許取得。現在勤めるGULGULでは入社7ヶ月で月間指名100人を突破。週4の時短勤務、日・祝休みでも売り上げや店販の数字を伸ばし、社内のミセスコンテストでは1位に。30代〜40代のお客様支持率ナンバーワンを誇る。2020年からはドライヘッドスパ専門店「王様の昼寝」の経営にも携わる。一人息子は中学3年生。
働き方の講演会「けいちゃんセミナー」が大反響
――美容師さん向けに講演をされていますが、きっかけは何だったのでしょう。
私が7ヶ月で月間指名100人を達成したとき、社長がブログで「GULGULで最速記録」と紹介してくれたのがきっかけです。私は勉強のためにいろいろなセミナーに参加していたのですが、そこでつながりができた美容師さんやオーナーさんの集まりに呼ばれて、私がどういうことにこだわっているのかを話すようになったんです。そのうち「セミナーをやりなよ」という声をいただき、社長の後押しもあって講演するようになりました。
講演会では、私のように時短勤務で日曜休みの美容師でも、お客様がたくさんついて楽しく働けるということ、そのポイントは何かということをお話しさせていただきました。
――時短勤務でも数字を上げたいのは、ママ美容師に限らずみんな同じですね。
そうなんですよ。今は美容師の働き方も多様化して、社員ではなく業務委託で働いている人も増えています。それって、やっぱり時間がほしいということですよね。
私が美容師として曲げてこなかったのは、休日出勤や残業をしないということ。数字を上げるには、働く時間を増やせば絶対上がる。でもそれでは根性論になってしまうし、もう古いと思います。休日返上や長時間勤務でお客様をつなぎとめたとしても、家族に迷惑をかけてしまう。それは私の望む働き方ではありませんでした。
――信念を曲げないというのは、なかなか大変なことでは。
私がいろいろアドバイスをいただいている講師の方に、こんなことを言われたことがあります。「トリートメントを今日だけですよってサービスしたら、お客様はその次も期待する。この前は休みの日も対応してくれたのに、なんで今回はダメなのとなってしまう。だったら最初から『やらない』を貫くのは、お客様に対する優しさだよ」。
もちろん、これで正解なのかな、休日出勤や残業をしてお客様の要望に応えた方が良いのかなと、何度も頭をよぎったことがあります。失客して落ち込んだこともあります。でも振り返ると、ここまで曲げずに来たから今の私があり、今のお客様がついてくださっているのかなと。
新事業の立ち上げでステージチェンジ
――現在はドライヘッドスパ専門店「王様の昼寝」にも携わっているんですよね。
「王様の昼寝」はGULGULの社長が出しているのですが、私は管理者として携わっています。物件探しやスタッフの募集から、名前やメニュー内容の決定まですべてまかせてもらいました。
本当は2020年4月7日オープンの予定だったのですが、緊急事態宣言が出てしまい、決まっていたスタッフもいったん白紙に戻して…。コロナ禍の中でしたが、社長を説得してその年の11月2日にオープンすることができました。
――ところで、なぜドライヘッドスパだったのですか。
私はもともと独立が夢で、しかも飽きっぽくて動いていないとダメなタイプ(笑)。この先の目標って何だろうと感じ始めて、そろそろステージをチェンジするしかないと思ったんです。そこで社長に、私はもう独立しますと言いました。一人経営で、ヘッドスパやメイクも含めてトータルで美容と癒やしを提供するサロンをつくりたいと。そのとき社長に、「ヘッドスパをオプションでやってもあまり意味がない。ドライヘッドスパが流行っているから、協力して専門店を立ち上げないか」と言われたんです。
悩みましたし、夫にも相談しました。夫は「独立する前に何年かチャレンジしてもいいんじゃない?」と言ってくれて、やってみようと決心しました。
――実際、やってみてどうですか?
新事業ですし、この2年は失敗もたくさんしました。普段はGULGULで美容師として働いているので、王様の昼寝の店舗に行くのは週に1日。その中でお店やスタッフを管理するのはなかなか難しい部分もあります。
でも一時期は5店舗まで増やし、今は4店舗を直接管理しているほか、フランチャイズ店もあるんです。
――拡大スピードが早いですね!
1店舗目を出したときに、社長からは赤字が続いたらストップと言われていました。でも1ヶ月目から黒字だったんですよ。その頃はまだ新型コロナウィルス流行の影響で予約制限をしていたし、お店の営業自体も18時までの時短でした。それでもお客様が来てくださって、ありがたかった。それで2店舗目、バババッと5店舗目まで。そのときばかりは、美容師としての勤務時間外にも動きましたね。休日に物件探しもしましたし。
――忙しさを自ら上乗せしているような…。
結局、忙しく動いているのが好きなんです。ただ、あまりに詰め込みすぎたときは夫がストッパーになってくれています(笑)。
アクティブに動いているといろいろな人と出会えるし、その人たちからパワーをもらえる。それが私の「楽しい」の原点になっています。
子育てと自分の夢の実現を両立するために大切なこと
――これまでを振り返り、子育てしながら仕事を続けられた秘訣は何だと思いますか。
家族やお客様としっかり話をして、自分の気持ちを伝えることが大事だなと思います。社長にも、いつも正直な思いや意志をぶつけてきました。
それから、「ママだから」「パート美容師だから」など自分で決めつけて追い込まないこと。私なんか、家が多少散らかっていてもいいや、疲れて食事を作れないときは買って食べてねってなるけど、それでも子どもは育ってくれる。自分ができないことは誰かに頼んで、役割分担をすればいいんです。
――無理して頑張りすぎると、どこかでポキッと折れてしまいますよね。
最近、自分で自分のご機嫌を取る方法もいいなって思うんです。誰も可愛いって言ってくれなくなったけど(笑)、鏡を見て「今日は調子いいぞ」「可愛いぞ」って、自分をほめてあげています。
今思えば、承認欲求が強かったのでブログを書けたのかもしれません。頑張っているときに、誰かにそれをわかってほしかったし、ほめられたかったのかなと。
――今後の夢や目標はありますか。
「王様の昼寝」を全国展開して、ドライヘッドスパと言えば…の代名詞になるように育てていきたいですね。独立は夢でしたが、GULGULという会社に出会って、たくさんのチャレンジをさせてもらえる中で、さらにこの会社を素敵にしていきたいと思っています。
とにかく、自分らしく楽しく仕事をしたいというのが一番の思い。そのためには自分の心が喜ぶ仕事をしていきたいです。やっぱり、ときめかないと気持ちが腐っていってしまうので。
鈴木恵子さん流!子育てと夢の実現を両立するポイント
1.しっかり話をする
2.無理せず、誰かと役割分担をする
3.自分で自分のご機嫌を取る
取材・文/井上菜々子
撮影/喜多二三雄