離職率の高いエステ業界で、「ワーク・ライフ・バランス」を実現させて人を育てたい『アンジェラックス』
スタッフ、従業員が気持ち良く働くための環境づくりや取り組み、普段のスタッフの顔などが見られるのが「Back Stage」です。
サロンやショップに入ってから、いろいろと分かることもありますが、今回は普段目にすることがない “裏舞台”を紹介します。みなさんの考えにマッチする取り組みなどが分かるかもしれませんので、要チェックですよ!
今年のエステティックグランプリで全国592サロンの中から見事に2冠に輝き、エステ業界をリードしていく存在の「アンジェラックス」。こちらの会社の代表取締役社長である大杉一真さんにお話をお伺いしました。
全体ミーティングは年に2回の楽しいイベント
「表参道店のスタッフは現在3名で、アンジェラックス全体では23名が在籍しています。長野の2店舗と東京の2店舗は離れていますが、ちょくちょくみんなで会っているので離れているという感じがしないですね。半年に一度、ホテルやイベントスペースを借りて全体ミーティングを開催していて、そこでは勉強会のようなことや、僕から振り返りや目標の話をしたり、半期の売り上げトップの子や顧客満足度トップの子などの表彰をやります。あとはみんなで作った面白い動画を流したりして、ミーティングというよりも年に2回の楽しいイベントみたいな感じですね(笑)。冬は忘年会も込みなので、運動会や出しもの的なことも。去年はふたり(人事部長の竹内さん)で『本能寺の変』のダンスを踊りました(笑)。夜な夜な事務所の窓ガラスに映る自分たちを見ながら練習したんです(笑)。
ミーティング以外でも、スタッフとの飲みの場を大切にしています。お酒の場って本音で喋れるので、分かり合えるんです。フォーマルな場で言ったら凹んでしまうようなことも、やわらかく伝わったりしますよね。真面目なミーティングで何を話しても、結局お酒の場のコミュニケーションにはかなわないんですよね」
「スタッフ同士はすごく仲がいいと思いますね。表参道のスタッフもよく飲みに行っているみたいです。社員旅行も最近実施していて去年は沖縄、今年も全店で石垣島に行く予定です。
そのほかにスタッフ間のコミュニケーションは『ワークスモバイル』というアプリを取り入れています。LINEみたいなものなんですが、チャットはもちろんカレンダーで会社の予定をチェックできて、メールや会社のマニュアルなども見られる便利ツールです。前はLINEを使っていましたが、プライベートと仕事が混同するという意見があり、仕事の連絡はすべてこっちのアプリに統一しました」
定期的に「従業員満足度調査」を実施してスタッフの要望をすくいとる
スタッフが働きやすい環境づくりはどんなところを実践しているのでしょうか?
「今年の6月から残業を減らそうということで完全2交代制を始めてだいぶ楽になったと言われます。スタッフにはより健康的で充実したプライベートを送ってほしいので、来年までに有給消化を100%にするという目標も立てています。エステティシャンってなかなか長期の休暇を取るのが難しい職業ですが、うちのスタッフは有給と定休日を合わせて1週間近い休暇にして、海外旅行に行っている子もいます。それとは別にお盆と年末年始はお店自体がお休みになるので、サービス業にしては比較的休みが取りやすい会社かなと思います。
また産休・育休についても自由にとれます。今はまだ子供を持っているスタッフが少ないのですが、ゆくゆくは子育て支援もしていきたいと思っています。僕自身も子育てをしながら働いているので子育ての大変さはよく分かります。NPO団体と協力して、東京の事務所を子育てワーキングスペースとして解放する取り組みなどもしているので、今後妊娠するスタッフが出てきたら環境を整えていきたいですね」
「あとは今年から『従業員満足度調査』というものを導入しました。4ヶ月に一度、無記名で会社に関する質問に点数で評価をしてもらい、その得点を調査しています。またフリーコメント欄に会社への要望を書いてもらい、どんなことでもすべてに返答し、その要望に対して改善するためにできる限りのことはしています。社長に面と向かって言いづらいこともあると思うので、導入してよかったですね」
押し付けの研修ではなく、自主性をテーマにした研修で成長を促す
「スタッフの教育で一番力を入れているのは新卒研修ですね。一般的な研修って『これを覚えてください』とか『テストがあるのでこれをやっておいてください』っていうのが多いと思うんですが、面白くないといういうことになりまして(笑)。まずは勉強したくなる仕組みを作ろうと思い、今年は自分たちで架空のサロンを作ってみよう、というところからスタートしました。サロンをオープンさせようとすると、できなければいけないことが身にしみて分かるんです。やるべきことを自分で見つけると、すごくやる気を持って勉強ができるんですよね。押し付けの研修になってしまうとつまらないし、離職率も高くなる。特に今の若い子は押し付けられるのが好きじゃないですよね。だから研修は自主性をテーマに、本人たちが勉強したくなる仕組みを作って、成長したい方向をリードしてあげるようにしています」
しっかりと人を育てられる業界にするために新店舗を増やしたい
「今後の目標としては、ひとつはエステティックグランプリのフェイシャル技術部門で賞を獲ること。今年は2冠を達成しましたが、その部門だけまだ獲れていないんですよね。技術にはすごくこだわっていて、技術こそ一番自信のあるサロンなので、是非獲りたいとみんなが思っています。
また今後は地方都市にも店舗を増やしていくつもりです。なぜ増やしたいかというと、エステティック業界は非常に離職率が高いんです。人を育てない業界ということなんですよね。それを正さなければいけないな、という思いがあり、うちのサロンで人を雇って育てたいんです。それが社会貢献につながるのかなと。当サロンは二交代制や有給消化、福利厚生面でもエステティックサロンの水準を超えたところを目標にしているので、そういった取り組みを通じて、日本のサービス業全体の生産性を向上させ、同時に女性中心の業界だからこそ、優れたワーク・ライフ・バランスを実現していきたですね」
――スタッフととても近い位置で接し、経営者でありながら人事や教育面まですべてを把握してより良い環境づくりを実行されている大杉さん。だからこそ、スタッフ皆が家族のように団結して素敵な会社を築いているのですね! 今後のエステティック業界をリードしていく存在として、ますます目が離せません!
Salon
アンジェラックス表参道
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