やるからには大きな夢を持って前に進みたい——『novem by cirrus』
「好きなことを仕事にしている以上、現状に留まることなく技術においてもサービスにおいても、常に高みを目指していたいんです」と力強く語る上田さん。『cirrus』『novem by cirrus』の2店舗を軌道に乗せた今、果たして上田さんの頭の中にはどんな未来が描かれているのか――。後編では独立するまでの経緯やスタッフに寄せる想い、今後のビジョンなどについてお聞きしました。
「自分の力で勝負したい」と28歳で独立
――上田さんが『cirrus』を立ち上げられたのは、まだ20代だった時とお聞きしました。憧れの美容師となり、独立するまでの経緯を教えていただけませんか。
「私は専門学校を卒業したのではなく、西京区の美容院のスタッフとして働きながら通信教育で美容師の資格を取得したんです。通信教育といっても3週間ほどは店を抜けなければならないのですが、オーナーが同じく通信教育出身の方だったので、いろんな面で配慮していただいたのは本当にありがたかったですね。アシスタントからスタイリストへと昇格し、贔屓にしてくださるお客様がだんだん増えて…と着実に美容師としてステップアップし、独立を果たしたのは28歳の時です。美容師になったころから、『10年経ったら独立しよう』と決めていたので、あれこれ躊躇せずそれを実行に移した感じですね。不安が全くなかったといったらウソになりますが、やはり自分の力だけで勝負したい、という気持ちが強かったんですよ。さまざまな準備を経て『cirrus』のオープンを迎えた日の喜びは、今でも昨日のことのように覚えています」
スタッフの長所を最大限に引き出すのが本当の指導
――『cirrus』のオープン間もなくから、ずっと一員として働かれているスタッフさんもおられるそうですね。現在はスタイリスト、アシスタント合わせて2店舗で計8人のスタッフさんが活躍されていますが、指導や育成で心がけておられることはありますか?
「一言でいえば、各スタッフの長所を最大限に引き出してあげること。これに尽きると私は思っています。人間だれしも完璧ではないように、美容師にもそれぞれ得手不得手があって、それが個性にもつながっているんですよね。私が常々スタッフに入っているのは、『サロンにとって都合の良い美容師にはなるな』ということ。独立するにせよ他の店で働くにせよ、スタッフがこの店を離れても美容師としてちゃんと活躍していけるよう、それぞれの個性を見極めながら的確な指導を行うことを念頭に置いています。アシスタントとしていろんな挫折を乗り越えながら経験を積み上げ、技術を磨いて見事にスタイリストデビューを果たす――。そんなスタッフの姿を見届けるのは何より嬉しいことですし、これからどんな新たな才能との出会いがあるのか、考えただけでワクワクしますね!」
今後はしっかりとした組織づくりにも注力
――上田さんの中では、スタッフさんの成長も働くうえでの大きなモチベーションになっているのですね。最後になりましたが、ぜひ今後のビジョンを聞かせてください!
「京都市内で4~5店舗を展開し、その先は大阪、名古屋、そして東京と全国規模で多店舗展開を実現させるのが、人生をかけた大きな夢でしょうか。もちろんすんなりと行かないことは百も承知ですが、やっぱり夢は大きく持っていたいですよね!そして頑張ってくれているスタッフのために、よりいっそう働きやすい環境をつくってあげたいですね。近いところでは年内中に法人化に踏み切る予定であり、今後は福利厚生面を含め、しっかりとした組織づくりにも力を入れていきたいと決意を新たにしています。当店では週休2日制を導入していますが、待遇面の充実という点では、まだまだ一般企業などに比べて大きな遅れを取っているのが美容業界の現状でもあります。そんな現状を変えていけるのはやはり私たちの世代だと思いますし、また変えていくことが使命でもあると感じています。これからもさまざまな可能性を柔軟に模索しながら、立ち止まらず前へ前へと進んでいきたいですね」