ネイルマトリックス(爪母)とは?お客様に提案するための正しい知識とケアのポイントを紹介!
ネイリストとして仕事をしているときに、ネイルマトリックスという単語を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。ネイルマトリックスは爪をつくる大事な部分で、美しい爪を保つためにしっかりとしたケアをすることが大切です。
ネイルマトリックスが正確にはどの部位にあたるのか、この部分が傷つくことで起こりうるトラブルや、正しいケアの方法などを詳しく解説していきます。
ネイルマトリックスについておさらい!
まずは簡単に、ネイルマトリックスに関する基本的な知識をおさらいしておきましょう。
爪のしくみとネイルマトリックス(爪母)の役割
爪はいくつかの構造にわかれていて、それぞれに名前がついています。普段一番目に触れるネイルアートをほどこす表の面はネイルプレート(爪甲・そうこう)とよばれ、皮膚の下に隠れた根元の部分はネイルベース(爪根・そうこん)です。爪はネイルベースでつくられ、少しずつ伸びて表にでてくるという仕組み。
ネイルプレートの根元部分に見える白い半月状のものは爪半月(そうはんげつ)で、できたてのまだ角化していない爪の赤ちゃんです。
ネイルマトリックスとは地爪を作る・再生する爪母のこと
ネイルマトリックスはネイルベースの一部で、爪を作る重要な役割をもっており、日本語では「爪母」(そうぼ)とも呼ばれています。
ネイルマトリックスの「マトリックス」とは英語で「再生」や「母体」を意味しており、その名のとおり、ネイルマトリックスは爪の再生の母体となるパーツのことです。美しいネイルを施し、それを維持するためには健康な地爪が必要ですが、まさにそれに直結する重要な部分だといえます。
ネイルマトリックスが傷つく原因
ネイルマトリックスが傷つく代表的な原因は、外部損傷です。スポーツなどで損傷を負ったり爪を挟んだりといった圧迫、爪を無理にはがすこともダメージになります。
ただし、単純にケガに気をつければいいというわけではなく、甘皮の過剰な処理が原因となる場合もあります。指先の乾燥もネイルマトリックスに影響を及ぼすことがあるため、あわせて気をつけるようにしましょう。
問題が起きるとどうなるの?
ネイルマトリックスに問題が起きると、横筋がはいってデコボコした爪や歪んだ爪につながり、総じて地爪の状態が悪くなるといった影響が出てしまうことがあります。
新しい爪を生成するネイルマトリックスが傷つくと、変形したまま伸びてしまい、二度と正常な爪がはえてこなくなるといわれています。
ジェルネイルはネイルマトリックスが傷つきやすい?
美しく透明度が高いジェルネイルは、長持ちすることからも絶大な人気を誇っています。しかし、そのぶん、オフの際には溶剤を用いねばならず、地爪に負担がかかりやすいというデメリットをもあわせ持っているのも特徴です。
ジェルネイルそのものがネイルマトリックスを傷つけるというわけではありません。しかし、地爪に負担がかかるジェルネイルを楽しむならば、ネイルマトリックスに気をつかいながらジェルネイルをおこなったほうがよいでしょう。
甘皮は爪の健康のために除去しない
ジェルネイルを長持ちさせるコツのひとつに、浮きあがらないよう甘皮の処理をするというものがあげられます。間違った甘皮の処理はネイルマトリックスの損傷につながるため、ジェルネイルはネイルマトリックスが傷つきやすいというイメージがあるのかもしれません。
一般的に甘皮処理とよばれるお手入れですが、実際にはルースキューティクルとよばれる角質部分をケアします。甘皮は爪の根元を守る大切な部位なので除去してはいけません。また、甘皮をケアするときに傷がついてしまった場合、そこから細菌が侵入して爪の病気になってしまうことも。
甘皮はとらずにキューティクルリムーバーでしっかり柔らかくしてから、ルースキューティクルを処理するようにしましょう。
キューティクルリムーバーの正しい使い方と選び方を紹介|甘皮処理の手順や注意点も解説
間違ったネイルオフの仕方で傷つくことはある
ネイルマトリックスは間違ったネイルオフの仕方によっても傷つくことがあります。キューティクルケアをやりすぎる、爪を削りすぎて薄くなってしまったというような場合です。
ジェルネイルは無理やりはがさず、また、アセトンでオフするときにはダメージから甘皮やネイルマトリックスを保護するため、アセトンをつける前にオイルなどを塗っておくとよいでしょう。
ジェルネイルは爪の保護にもなる
ここまで読んで、やっぱりジェルネイルは爪の負担になるからやめておこうと思った方もいるかもしれません。実はジェルネイルは爪の保護にもなるので、特に爪が薄かったり、もろくてトラブルがおきやすかったりする人は、ジェルネイルで補強したほうが爪を健康に保つことができます。
また、「爪が呼吸できない」というのは間違いで、ジェルネイルを塗るネイルプレートは角化しているため、そもそも呼吸をしません。指先に負荷がかかるスポーツ選手のなかにはジェルネイルで爪を補強している人もいるほどなので、爪を保護したい人こそジェルネイルがおすすめです。
お客様にお伝えしたいケアのポイントとは?
ネイルマトリックスの大切さはネイルに関わる仕事をされている方ならば、誰もがご存知のことでしょう。そこで、その大切なネイルマトリックスのケアについて、お客様にお伝えしたいポイントをご紹介します。
ネイルオイルなどケア商品で指先をこまめに乾燥から守る
指先の乾燥はネイルマトリックスに悪影響を及ぼすことがあります。乾燥を防ぐためには、ネイルオイルなどのケア商品を用いて、指先を保湿するとよいでしょう。ネイルオイルを塗布する際は、ネイルマトリックス周辺のみならず、爪先・爪の輪郭にも揉みこむことで、ネイルを長持ちさせる効果も期待できます。
「オイル」という名前から、べたつきを気にされることも多いネイルオイルですが、実際は爪の美容液のようなものであり、べたつきはほとんどありません。お客様に勧める際も、実際に塗布するなどして、べたつきが気にならないことをお伝えするのもよいでしょう。
ネイルオイルを用いたケアで最も大切なのは、「こまめに継続すること」です。ネイルマトリックスを守る意味でも、ネイルを長持ちさせる意味でも、乾燥が気になるときだけたまにケアするのでは意味がありません。1日3回程度を目安に、習慣として継続するのが効果的です。
甘皮ケアはやりすぎないように|サロンでのケアをおすすめする理由
甘皮のケアは通常、ネイルの面積を広くとり、見栄えをよくするためにおこなわれます。さらに、ジェルネイルにおいてはネイルの浮きを押さえ、長持ちさせるためのケアとしても広く浸透しているのが特徴です。
甘皮のケアはお客様自身が自宅でおこなうことももちろんできますが、ネイルにとって非常に重要で繊細な作業でもあります。できることならば、サロンに通いプロの手でケアすることをおすすめするようにしましょう。
爪のケアは正しい方法でおこなう
ルースキューティクルのお手入れは決して力まかせにとろうとしないで、まずお湯やキューティクルリムーバーを用いて甘皮をふやかし、つづいてプッシャーなどで押し上げます。
最後にガーゼや綿棒でルースキューティクルを取り除き、気になる部分があれば、キューティクルニッパーで取り除きましょう。
ルースキューティクル処理の注意点|しっかりと把握しておこう
甘皮をケアする際は、だいたい爪の根元1mm程度は残すように意識しておこなうとよいでしょう。指先の乾燥が気になる場合は、もう少し余分に残してもよいかもしれません。
甘皮をケアする際に最も気をつけねばならないポイントは、過剰な処理をしないようにすることです。厳密にいうと、「甘皮」とは爪を保護している部分であり、とってはいけない部分をさします。
甘皮ケアで取り除かねばならないのは、甘皮が爪にはりついて伸びた箇所、一般的に「ルースキューティクル」と呼ばれる部分のみです。ルースキューティクルをとろうと押し上げすぎてしまうと、甘皮が傷つき、かえって乾燥をまねいてしまいます。酷いケースでは、爪や皮膚に細菌が入り込む原因となり、炎症をも引き起こしかねません。
爪が伸びるサイクルに合わせてネイルの付け替え時にするのがベスト
ネイルを付け替える時などにお客様の指先の乾燥状態を見極め、甘皮をお湯につける時間、キューティクルリムーバーを使用するかどうかを判断し、的確にルースキューティクルの除去をおこないましょう。
甘皮ケアは2~3週間に一度程度が適切といわれていますが、ケアのみで来店するのは手間かもしれません。しかし、地爪に負担をかけすぎないネイルの塗り替え期間は、3週間程度ともいわれています。甘皮のケアに適した周期とある程度一致するため、ネイルの塗り替えと甘皮の処理を一度で済ませるのが、最も効果的かつ効率的であると伝えるとよいでしょう。
正しいケアの知識を身につけて、お客様に自信をもってネイルを提案しよう
ネイルマトリックスは美しい爪を保つために守らなければならない部分であり、間違ったケアがトラブルになることをお伝えするようにしましょう。
ルースキューティクルのケアは3週間に一度くらいするのがおすすめです。ネイルをしている方は、ちょうどネイルの付け替え時期と重なるので、そのときに一緒にケアをしておけば、健康で美しい爪を保つことにつながります。
ネイリストは自信をもってお客様にケアの提案ができるように、しっかりとした知識をもっておくことも大切です。