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特集・コラム 2023-02-17

介護職にはどのような資格がある?おすすめやスキルアップの資格・取得メリットをご紹介

介護業界にはさまざまな職種があり、それぞれ仕事内容が異なります。そのため、介護に関連する資格もたくさんあります。そのなかから、どの資格を取得すればいいのかわからないという方もいるかもしれません。

そこで今回の記事では、介護職の資格について、おすすめの資格やスキルアップに繋がる資格、取得するメリットをご紹介します。

介護関連の資格はいくつある?


介護に関連する資格は、国家資格と民間資格を合わせて20以上の資格があり、入門から上級、専門分野まで、さまざまな資格があります。資格のなかには、保有することで手当が付くなど、給料アップに繋がる場合があるほか、資格保有者にしかできない業務を行えるため、仕事の幅を広げることもできるでしょう。

介護の主な資格3つ

介護関連の資格はとても多いため、これから介護職を目指す方は、どの資格に挑戦すればいいのか迷ってしまうかもしれません。そういった方は、最初に介護資格で最も一般的な資格を取得するといいでしょう。優先して取得しておくべき資格を3つご紹介します。

介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)

介護の経験がなくても受けられる介護の仕事の入門的な資格に該当するのが、介護職員初任者研修です。

実技演習を含む10項目を130時間かけて履修して、筆記試験を受けますが、カリキュラムを修了していれば難しくない試験となっています。

介護職員初任者研修の資格の内容はこちら

介護福祉士実務者研修(旧ホームヘルパー1級)

介護福祉士実務者研修は、より高度で幅広い介護の知識やスキルを身につけるための研修です。

そのため、喀痰吸引や経管栄養についても学べ、この研修を修了していることが介護福祉士国家試験の受験資格の要件にもなっています。

介護福祉士実務者研修を習得するメリットはこちら

介護福祉士|国家資格

介護の資格の中で唯一の国家資格である介護福祉士は、介護の現場のリーダーとして活躍できる資格です。

令和4年に開催された第34回介護福祉士国家試験では、受験者が83,082人で、合格者数は60,099人と合格率72.3%の結果になりました。

国家試験を受験するには、養成所や大学などで必要な科目を履修するか、介護福祉士実務者研修を修了しているかのいずれかが必要となります。

介護福祉士の資格や仕事内容についてはこちら

介護福祉士を取得した方におすすめな資格


介護福祉士は、介護資格のなかで唯一の国家資格です。介護福祉士資格を取得してからキャリアを積み、キャリアアップを望む方もいるかもしれません。そんな方へ向けて、キャリアアップに役立つ資格を4つ、それぞれ資格の内容と受験要件をご紹介します。

1.認定介護福祉士

認定介護福祉士は、介護福祉士の上級資格として、より質の高い介護実践力・介護サービスのマネジメントを行う力などを修得することができます。認定介護福祉士は民間資格で、一般社団法人認定介護福祉士認証・認定機構が主催しています。

認定介護士になるためには、介護福祉士の実務経験5年以上と認定介護福祉士養成研修Ⅰ類・Ⅱ類を修了しなければいけません。

2.喀痰吸引等研修

喀痰吸引等研修(かくたんきゅういんとうけんしゅう)は、たん吸引や経管栄養を行う介護職員などを養成するための研修で、研修を修了することにより吸引や経管栄養などの医療ケアを行うことができます。

喀痰吸引等研修は、3つの研修に分類されており、それぞれに含まれている基本研修と実地研修の両方を修了することで、資格を得ることができます。また、3つの研修には、それぞれ修了することでできる行為や対象者が異なるため、必要なものを受講しましょう。研修の詳細は、厚生労働省のホームページから確認することができます。

3.ケアマネージャー(介護支援専門員)

ケアマネージャー(介護支援専門員)は、介護保険制度を利用している方が、適切なサービスを利用できるようにサポートすることが仕事です。資格取得の過程で、介護保険制度などの専門知識を得ることができます。

ケアマネージャーの試験は、各都道府県で開催されており、受験資格を得るには、保健・福祉・医療分野で、原則として5年間以上かつ900日以上の実務経験がなければいけません。詳細は、各都道府県庁のホームページで確認することができます。

4.ガイドヘルパー(移動介護従事者)

ガイドヘルパー(移動介護従事者)は、視覚・知的・全身障害など、何らかの理由で、ひとりの移動が困難方の移動支援を行います。ガイドヘルパーになるためには、以下のいずれかを修了する必要があります。

・同行援護従業者養成研修
・全身性障害者ガイドヘルパー養成研修
・行動援護従業者養成研修

受験資格は、それぞれ各都道府県で異なっており、研修ごとに対象者も異なるため、自分に必要な研修を選択するようにしましょう。各研修の詳細は、各都道府県のホームページで確認できます。

認知症ケアに関する資格


厚生労働省が公表したデータによると、2020年における65歳以上の認知症の人の数は約600万人と推計されており、2025年には約700万人に増えると予測されています。そのため、介護業界に限らず、認知症に向けた取り組みが重要になるでしょう。

認知症を扱う介護現場で活躍するために、認知症ケアに関する資格を4つ、それぞれ資格の内容と受験要件をご紹介します。

1.認知症介護基礎研修

認知症介護基礎研修は、認知症ケアの業務を遂行するために必要な基本的なの知識と技術を習得するための研修です。この研修は、介護に関わる全ての者の認知症対応力を向上させていく目的のため、2021年4月の介護報酬改定で、2024年4月から研修を義務付ける方針にしました。それまでの期間は経過措置となっています。

研修が義務化される方針となったので、介護に直接携わることを検討している方は、早めに研修を受けておくようにしましょう。

認知症介護基礎研修は、特に受験資格がなく、都道府県が開催している研修を修了することで資格を得ることができます。

2.認知症介護実践者研修

認知症介護実践者研修は、基礎研修よりも深く、認知症介護について学ぶことができます。実践者研修を修了することで、より高い認知症ケアのサービスを提供することが可能です。

研修にかかる期間や受講要件は、各都道府県によって異なるため、都道府県のホームページをよく確認するようにしましょう。

3.認知症介護実践リーダー研修

認知症介護実践リーダー研修は、実践者研修の上位資格です。認知症介護実践リーダー研修を修了することで、知識はもちろんのこと、認知症支援のチームリーダーとして職員の指導や支援の質を高める方策を立てる力を身に付けることができます。

受験資格は、主に5年以上の実務経験や認知症実践者研修終了後1年以上であることが必要ですが、各都道府県によって条件が異なる場合があります。詳細は、各都道府県のホームページを確認するようにしましょう。

4.認知症ケア専門士

認知症ケア専門士は、一般社団法人日本認知症ケア学会が主催している資格で、認知症に対する学識や高度な技術などを習得することができます。

認知症ケア専門士になるには、3年以上の認知症ケアの実務経験があるうえで、第一次と二次の試験に合格しなければいけません。詳細は、一般社団法人日本認知症ケア学会のホームページを確認してください。

スキルアップにおすすめの資格


これまでに、介護の一般的な資格や介護福祉士の取得後におすすめの資格、認知症ケアに関する資格をご紹介しました。介護に関連する資格はこれらだけではありません。介護職員のスキルアップに繋がる資格を3つ、それぞれ資格の内容と受験要件をご紹介します。

1.レクリエーション介護士1級・2級

レクリエーション介護士は、一般社団法人日本アクティブコミュニティ協会が主催している資格で、レクリエーションの企画や実行の際に役立つ資格です。この資格を取得することで、レクリエーションの企画力や技法を習得することができます。

レクリエーション介護士は1級と2級にわかれており、講座受講・筆記試験・実技試験・現場実習を経て、資格を得ることができます。

2.介護予防運動指導員

介護予防運動指導員は、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所が認定している資格で、介護予防に必要なスキルを修得することができます。受講要件は以下の通りです。

・介護職員基礎研修、実務者研修修了者
・介護職員初任者研修修了者で実務経験2年以上
・訪問介護員2級以上で実務経験2年以上
・医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師などの介護医療分野の資格を有している
・上記国家資格の養成校等の卒業見込みかつ資格取得見込み者(国家試験受験者)

介護予防運動指導員の資格を得るには、受講要件を満たさないといけないため、受験する際は、よく確認しておきましょう。

3.ケアクラーク(介護事務)

ケアクラーク(介護事務)は、一般財団法人日本医療教育財団が主催している資格です。ケアクラーク資格を取得することで、介護事務に必要な知識や技能を習得することができます。

受験資格に制限はなく、学科試験と実技試験に合格することで資格を得ることができます。試験の詳細は、一般財団法人日本医療教育財団のホームページを確認してください。

資格を取るとどんないいことがある? 5つのメリット


介護職員として働くだけなら無資格でも可能ですが、やはり資格をとることのメリットは大きいと考えられます。ここでは、資格をとって働くとどのようなメリットがあるのか、詳しく解説します。

1. 訪問介護ができる・仕事の幅が広がる

介護職員初任者研修や介護福祉士といった資格を取得していると、ひとりで居宅を訪問しておむつを替えたり、入浴の介助をしたりする訪問介護員として働けるようになります。

ケアマネジャーとして働くための介護支援専門員の資格を取ったり、施設の管理者や責任者になったりすることも可能です。

2. 正しいやり方で介護ができるようになる

資格をとる段階で、介護に関する知識を学ぶことになるので、実際に働く前に、最低限の知識を身につけていることになります。

介護のやり方には、高齢者の方はもちろん、自分にもできるだけ負担のかからない方法があります。そういった正しい知識を身につけることで、実際に介護をするとき、高齢者の方にも自分にも負担がかからないように仕事をすることができるのです。

3. キャリアアップできる

資格があると、就職してから仕事に慣れてくると責任のある仕事を任され、キャリアアップしていくことが望めます。

たとえば、最低限の介護職員初任者研修の資格を持って働きはじめたとしても、介護職員実務者研修を経て、国家資格の介護福祉士の資格をとってキャリアアップしていくことができるでしょう。将来的に独立して、訪問介護事務所を開設することも可能です。

4. 給料アップにつながる

無資格の方と、資格のある方では、そもそもの給与の基準が違います。正社員ではなくパートやアルバイトであっても、無資格の方より給与は多くもらえるでしょう。さらに、資格があるほうが将来的にも給与アップにつながるのです。

5. 就職でも転職でも求人が多い

介護施設は人材不足の現場が多いので、無資格でも採用されることがあります。しかし、やはり資格のある方を優先するので、就職でも転職でも求人は多いといえるでしょう。最初に就職した職場が合わなくて転職を考えるときでも、資格を持っているほうが有利なのです。

資格を活かした介護職を探すならこちら

資格はどこで取得できる? スクールを探そう


介護に関する資格を取得するためには、スクールに通う必要があります。ただ、スクーリング形式や土日講習など、働きながらでも通えるプランもあるので、就職してからでも資格を取得することが可能です。ここでは、おすすめのスクールをご紹介します。

なお、各スクールの受講期間や受講料などの情報は、執筆時点(2023年2月1日時点)の情報です。受講の際は、必ず最新の情報をご確認ください。

ニチイ

医療・福祉・介護分野の幅広い人材育成をおこなっている「ニチイ」では、介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修の講座があります。全国に教室があるので、通学と通信講座を組み合わせて効率的に資格を取得できるのが特徴です。

・介護職員初任者研修
受講期間:4カ月(最短1.5カ月)
受講料:税込8万8,000円

・介護福祉士実務研修
受講期間:1カ月~
受講料:税込5万7,627円~
※受講期間、受講料は保有する資格により異なります

・介護福祉士国家試験対策講座
受講期間:最長6カ月
受講料:税込2万6,400円~

三幸福祉カレッジ

福祉の専門学校「三幸カレッジ」では、介護職員初任者研修と介護福祉士実務者研修がセットになった講座や介護福祉士実務者研修と国家試験対策講座がセットになった講座もあるのが特徴です。ほかにも、介護のキャリアパスを見据えた講座を提供しています。

・介護職員初任者研修
受講期間:1~4カ月
受講料:税込8万7,780円(教材費込)

・介護福祉士実務研修
受講期間:1.5~6カ月
受講料:税込4万700円~(教材費込)
※受講期間、受講料は保有する資格により異なります

・介護福祉士国家試験対策講座
受講期間:1~4カ月
受講料:WEB学習コース 2万7,500円(教材費込)
筆記通信コース 3万3,000円(教材費込)

未来ケアカレッジ

介護資格取得の専門スクール「未来ケアカレッジ」では、介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修の開講期間や授業開催曜日が年間900コースもあり、自分に合った受講の仕方を選べることが特徴です。また、スキルアップのための資格が充実しています。

・介護職員初任者研修
受講期間:全15~16日間
受講料:税込3万2,450円~
※地域により異なる場合あり

・介護福祉士実務研修
受講期間:全7日間
受講料:税込3万2,450円~
※地域により異なる場合あり

・介護福祉士筆記試験対策講座
受講期間:5時間×6日間
受講料:通学コース3万5,750円~
通学コース+WEB演習問題5万6,650円~

ベネッセ

多彩な資格取得講座を持つ「ベネッセ」には、介護資格に特化した「ベネッセスタイルケア」があります。急な用事で欠席してしまった場合でも無料で振替授業を受けられるので、子育て中の方でも安心して受講することが可能です。

・介護職員初任者研修
受講期間:約40日間
受講料:東京都・埼玉県・神奈川県 税込6万720円(教材費込)
愛知県・大阪府・兵庫県 税込5万5,000円(教材費込)

・介護福祉士実務研修
受講期間:研修時間450時間、原則6カ月(資格なしの場合)
受講料:税込15万8,400円(教材費込)

主要な資格を取得してスキルアップを目指そう!


今回の記事では、介護に関連する資格についてご紹介しました。介護職は、職種の数が多いため、資格も多いです。どの資格を取得するか迷っている方は、介護の主要資格である介護職員初任者研修・介護福祉士実務者研修・介護福祉士を取得するようにしましょう。

これらの資格を取得しておくことで、応募できる求人の幅が広がるうえに、資格手当が付く場合もあります。資格を取得したあとは、経験を積んでからスキルアップに必要な資格を選び、取得しましょう。

引用元
厚生労働省:第34回介護福祉士国家試験合格発表
一般社団法人認定介護福祉士認証・認定機構:認定介護福祉士になるには
厚生労働省:喀痰吸引等研修
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター:介護支援専門員
東京都福祉保健局:介護支援専門員実務研修受講試験
東京都福祉保健局:障害者(児)移動支援従業者養成研修 開講日程の御案内
むくすび(東京都福祉人材情報バンクシステム):同行援護従業者養成研修
むくすび(東京都福祉人材情報バンクシステム):行動援護従業者養成研修
厚生労働省:認知症
厚生労働省:令和3年度介護報酬改定の主な事項について
東京都福祉保健局:東京都認知症介護研修の概要
厚生労働省:介護保険最新情報-Vol.952
一般社団法人日本認知症ケア学会:試験概要
一般社団法人日本アクティブコミュニティ協会:レクリエーション介護士1級
一般社団法人日本アクティブコミュニティ協会:レクリエーション介護士2級
地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所:介護予防運動指導員養成事業について
一般財団法人 日本医療教育財団:ケアクラーク技能認定試験ニチイまなびネット :講座一覧
三幸福祉カレッジ :講座一覧
未来ケアカレッジ :講座紹介
ベネッセスタイルケア :介護資格講座

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