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特集・コラム 2022-09-25

社会福祉士とはどんな仕事?活躍できる職場や国家資格の取り方を紹介

社会福祉士は国家資格ですが、詳細をご存知の方はあまり多くないのではないでしょうか。社会福祉士になるための国家試験は年1回おこなわれており、その合格率は約30%です。

誰もがかんたんに取得できるというわけではありませんが、高齢者の人口が増加している近年では、福祉に関する需要が高まっていることもあり、注目されている資格のひとつでもあります。

今回は、社会福祉士の仕事内容や社会福祉士になる方法などを紹介するので、目指す際の参考にしてみてください。

目次
  1. 社会福祉士とは
  2. 社会福祉士の仕事内容を紹介!
  3. 社会福祉士と介護福祉士はどう違う?
  4. 社会福祉士の1日の仕事の流れ
  5. 社会福祉士が活躍している場所は?
  6. 社会福祉士になるにはどうすればいいの?
  7. 4年で受験資格を取得! 社会福祉士を目指せるおすすめの大学を紹介
  8. 社会福祉士のお給料はどれくらい?
  9. 社会福祉士に向いている人とは
  10. 社会福祉士は広く社会に必要とされている仕事
  11. 社会福祉士の資格を取るメリット
  12. 社会福祉士の資格を取って社会に貢献しよう

社会福祉士とは


社会福祉士は、障がい者・生活困窮者・高齢者など福祉サービスを必要とする人たちからの求めに応じ、相談援助をおこなうのが仕事です。

困難を抱える人々と社会をつなぐ架け橋のような存在で、福祉や医療、介護など幅広い分野に精通した、ソーシャルワークの専門家といえます。

社会福祉士の仕事内容を紹介!


社会福祉士の具体的な仕事内容とはどのようなものなのでしょうか。以下で3つ紹介します。

1. 相談業務|子どもから高齢者まで幅広い

社会福祉士は、福祉サービスを必要とする人たちからの相談に応じる相談業務をおこないます。内容は、高齢者介護や障がい者支援・生活保護や児童福祉・DV(家庭内暴力)などの分野が対象です。

2. 管理業務

社会福祉士の仕事には、福祉サービス対象者のサービス管理も含まれます。福祉サービスを提供する施設や設備、福祉などの法律への対応なども社会福祉士の役割です。

3. 関係機関との調整

関係機関との調整も、大事な仕事です。対象者が適切な福祉サービスを受けられるよう、行政機関や関係事業所などと必要な情報を共有し、調整をおこないます。行政手続きの代行や介護士の手配をすることもあるのが特徴です。

社会福祉士と介護福祉士はどう違う?


社会福祉士と介護福祉士にはどのような違いがあるのでしょうか。

社会福祉士は、福祉施設などで要支援者の相談に乗ることがおもな仕事であるのに対し、介護福祉士は、介護の現場で要介護者に直接介護サービスを提供することが仕事です。

社会福祉士の1日の仕事の流れ


ここからは、社会福祉士が1日の間にどんな仕事をおこなっているのか、業務における流れの一例を紹介しましょう。

午前

午前は出勤して朝礼などをおこなったのち、相談者の自宅を訪問、もしくは相談者が来所して話を聞いたり打ち合わせをおこなったりします。場合によっては電話で対応することもあります。

その後、必要に応じて支援計画書を作成したり、行政などに連絡を取ったりしたところで、おおむね午前の業務は終了です。

午後

午後は行政の担当者や関係各所とミーティングをおこないます。午前中にできなかった仕事を午後におこなう場合もあるでしょう。また、希望があれば入院患者や家族などと面談をすることもあります。報告書や公的資料の作成なども必要です。

社会福祉士が活躍している場所は?


社会福祉士は、さまざまな場所で活躍しています。具体的にどのような場所で活躍しているのか、ここで確認しておきましょう。

高齢者福祉関連施設|利用者の相談業務

高齢者福祉関連施設には、高齢者介護施設や特別養護老人ホームなど、さまざまな形態があります。ここでの社会福祉士の役割は、生活相談員として利用者本人やそのご家族などからの相談に応じること、ほかの関係機関との連絡や調整をおこなうことです。

障害者福祉関連施設|自立訓練や就労支援

次に多いのが、障害者福祉関連施設です。障害者福祉関連施設もさまざまな形態があり、代表的なのがグループホームでしょう。この施設では生活指導員というポジションで就労することが多く、障害を抱える方が自力で社会生活を送れるよう、自立訓練や就労支援に携わります。

医療機関|患者や家族の相談業務

病院をはじめとする医療機関で就労する社会福祉士は、医療ソーシャルワーカーと呼ばれています。患者さん本人はもちろん、その家族の悩みや課題に対して相談に応じて、適切な支援をおこなうのが仕事です。

社会福祉協議会|地域福祉サービス

地域福祉サービスを就労先として選ぶ社会福祉士もいます。社会福祉協議会は地域福祉サービスの充実と推進、福祉コミュニティづくりの中核的な役割を期待されている組織です。

児童相談所や学校|子どもたちのケア

各地域に設置されている児童相談所や学校なども、就労先のひとつです。おもに、児童虐待や子どもの発達、非行、不登校などの相談に応じます。

学校の場合はスクールソーシャルワーカーとして活躍しており、子どもたちの相談を受け、必要に応じて児童相談所や教育委員会などへの連絡・調整をおこなうのが仕事です。

福祉事務所|公務員として働く

福祉六法に関わる支援や更生における業務をおこなう、福祉事務所などで働く社会福祉士もいます。ただし公務員扱いになるため、公務員試験にも合格しなければなりません。

司法関係機関|出所後に関する援助

少年院・更生保護施設・地域生活定着支援センターなどの司法関係機関が就労先となるケースもあります。

出所者と福祉サービスを円滑につなぎ、再犯リスクを軽減させるという狙いがあるのです。

社会福祉士になるにはどうすればいいの?


社会福祉士になるためには、最終的に国家試験に合格しなければならないのですが、誰もが受験できるという試験ではありません。

ここでは、社会福祉士になるための国家資格の受験資格や受験方法などについて、詳しく紹介します。

第35回社会福祉士国家試験の概要を紹介

第35回社会福祉士国家試験は、2023年2月5日(日曜日)に実施される予定です。試験は、午前の部は10時00分~12時15分、午後の部は13時50分~15時35分で、午前と午後にわかれており、それぞれ試験科目が定められています。

北は北海道から南は沖縄県まで、全国24カ所で同時におこなわれます。行きやすい受験会場に足を運んで受験しましょう。なお、合格発表は2023年3月7日に社会福祉振興・試験センターのホームページで確認できるほか、3月10日に通知が発送されます。

第35回社会福祉士国家試験の概要:
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター

国家試験には受験資格がある!

社会福祉士国家試験は、誰でも受験できるというものではなく、受験するための資格を取得しなければなりません。そのためには、いくつかの方法があります。ここでは、国家試験の受験資格を取得するための方法について確認しておきましょう。

社会福祉士の受験資格についてはこちら:社会福祉士の受験資格とは? 資格取得ルートを解説|一般施設・短期養成施設を紹介

1. 4年制大学で指定科目を修めて卒業する

福祉系の4年制大学で、文部科学省と厚生労働省によって定められた「指定科目」を修めて卒業すると、国家試験の受験資格を取得できます。

ただし、「相談援助実習指導」「相談援助実習」という「実習科目」を履修しないで卒業した場合、少し条件が変わるため注意しましょう。この場合、科目等履修制度によって、大学・大学院・短期大学または専修学校で、当該の科目を修めれば受験資格を取得できます。

2. 短大などで指定科目を修めて卒業+指定施設で相談援助の業務に従事する

福祉系の2年制または3年制の短期大学で、文部科学省と厚生労働省によって定められた「指定科目」を修めて卒業すること、指定施設でそれぞれ2年以上または1年以上の相談援助の実務経験を経ることが条件です。この2つを満たせば、受験資格を取得できます。

3. 社会福祉士短期養成施設を卒業・修了する

6カ月以上の社会福祉士短期養成施設を卒業するというルートもあります。これは、4年生の福祉系大学で、文部科学省・厚生労働省で定められた「基礎科目」を修めて卒業した場合に該当。

ほかにも、以下の場合にこの条件が当てはまります。

・2年制または3年制の福祉系短期大学を卒業して、2年または1年の相談援助の実務経験を経た場合
・社会福祉主事養成機関を卒業して相談援助の実務経験を経た場合
・福祉事務所の査察指導員などの実務経験が4年以上ある場合

4. 社会福祉士一般養成施設を卒業・修了する

1年以上の社会福祉士一般養成施設を卒業するルートもあります。これは、以下の場合が該当する条件です。

・4年制の一般大学を卒業した場合
・2年制、3年制の一般短期大学を卒業して、2年または1年の相談援助の実務経験を経た場合
・4年以上の相談援助の実務経験がある場合

国家試験はむずかしいの? 難易度はどれくらい?

社会福祉士の国家試験は、福祉介護系資格のなかで最難関といわれることもあり、合格率はわずか30%程度です。2022年2月におこなわれた第34回の試験では、受験者数が34,563人だったのに対し、合格者数は10,742人で、合格率は31.1%でした。

なお、他の福祉専門職の合格率を見ると、介護福祉士は約70%、精神保健福祉士は約60%あり、社会福祉士がいかに難関であるかがわかります。

4年で受験資格を取得! 社会福祉士を目指せるおすすめの大学を紹介


上述したように、福祉系の4年制大学のなかには定められた「指定科目」を履修して卒業すると、社会福祉士になるための国家試験を受験する資格が取得できる学校もあります。これから福祉系の大学に進学しようと検討されている方には、おすすめの大学です。

ここでは、上記の4年制大学で指定科目を修めて卒業するにあてはまる大学をいくつかご紹介します。

東京学芸大学|教育学部 E類ソーシャルワークコース

東京都小金井市にある国立大学で、教育学部のE類ソーシャルワークコースで、社会福祉士になるための指定科目を履修できます。家庭の事情で、教育を受ける機会が不足している子どもたちを支援するスクールソーシャルワーカーなど、社会福祉の専門家を育てるためのコースです。

定員は20名で、社会福祉士になるための国家試験の受験資格が取得できるほか、スクールソーシャルワーカーの認定を受けられます。

立教大学|コミュニティ福祉学部 福祉学科

東京都豊島区に池袋キャンパス、埼玉県新座市に新座キャンパスのある私立大学です。コミュニティ福祉学部の福祉学科で、社会福祉士になるための指定科目を履修できます。

福祉学科があるのは新座キャンパスで、定員は154名です。社会福祉について幅広い分野を学ぶためのさまざまな専門科目があり、社会福祉の現場で実務の経験のある教員から学ぶことができます。

神奈川県立保健福祉大学|保健福祉学部 社会福祉学科

神奈川県横須賀市にある県立大学です。保健福祉学部の社会福祉学科で、社会福祉士になるための指定科目を履修できます。定員は60名で、学生それぞれに対して、きめこまやかなサポートを大切にしており、福祉の現場をリードできる実践力が身につく学校です。

そのほかに、精神保健福祉士、介護福祉士いずれかの資格取得に向けたコースを選択できます。

中京大学|現代社会学部 社会福祉学専攻

愛知県名古屋市と豊田市にキャンパスのある私立大学です。社会福祉士になるための指定科目を履修できる現代社会学部の社会福祉学専攻があるのは、豊田キャンパスです。

定員は45名で、社会学や心理学・文化人類学などの手法も取り入れて、社会福祉に関する幅広い分野を学べます。地域と連携した社会福祉プロジェクトやボランティア活動へ参加することもでき、演習や実習を重視しているため、理論と実践を融合した学びが期待できるでしょう。

大阪市立大学|生活科学部 人間福祉学科

大阪府大阪市にある市立大学で、生活科学部の人間福祉学科で社会福祉士になるための指定科目を履修できます。

2022年度から大阪府立大学と合併して、大阪公立大学と名称が変わりましたが、学部・学科の名称はそのままで、定員は45名。人間の幸福の観点から、生活に関する問題を分析して、それらを解決に導くための専門家を養成する学科です。

関西大学|人間健康学部

大阪府吹田市・高槻市・堺市・大阪市に5つのキャンパスがあり、東京センターや海外拠点なども多数ある私立大学。社会福祉士になるための「指定科目」を履修できるのは、人間健康学部です。

定員は330名で、人間の心や身体、生活に関する多様なカリキュラムが組まれるため、幅広い知識やスキルを身につけられるでしょう。

西南学院大学|人間科学部 社会福祉学科

福岡県福岡市にある私立大学です。人間科学部の社会福祉学科で、社会福祉士になるための指定科目を履修できます。

定員は115名、専門性に加えて、人間性も重視した社会福祉のプロを育成するための学科です。日本や海外の社会保障について学ぶ社会保障概論や、障害がある方の生活を支えるための福祉について学ぶ、障害者福祉概論といったカリキュラムがあります。

社会福祉士のお給料はどれくらい?


社会福祉士になるとどのくらいの収入が見込めるのでしょうか。一般的な社会福祉士の給料は以下の通りです。

・パート・アルバイト:時給1,000~1,200円前後
・正職員:月給200,000~250,000円前後(年収280~400万円前後)
なお、給料は地域や勤め先などによっても変わるため、幅があります。

社会福祉士に向いている人とは


ここでは、社会福祉士にはどんな人が向いているのかという人物像を紹介します。

相談者とコミュニケーションを取れる人

社会福祉士の仕事において、コミュニケーションは欠かせません。まず、生活に問題や困難を抱えている相談者の話を聞く必要があるので、人の話にきちんと耳を傾けることができる人であることが重要です。

親身になって相談に乗り、何度も対話をおこないながら相談者や家族と信頼関係を築くことや、問題解決に向けて周囲の協力を仰いだり、適切な判断をしたりすることも求められます。

人や地域社会に関心があり、問題に対処できる人

社会福祉士は、生活に困っている人々をサポートする仕事です。そのため、人の役に立ちたいという気持ちを持っている人や、社会的な問題の解決に向けて積極的に取り組める人も向いています。

社会福祉士がおこなう業務の対象は、虐待・障害・医療・介護など多岐にわたります。意欲や関心を持ち、行政や施設の情報・法律などの知識も取り入れながら、真摯に向き合うことが重要です。

社会福祉士は広く社会に必要とされている仕事


社会福祉士は、介護・福祉・医療などに関わる施設のほか、学校や少年院などでも需要があります。将来多くの仕事が機械に取って代わられるといわれていますが、社会福祉士の仕事は人同士のつながりが重要であり、AIなどにはおこなえない内容です。

そのため今後も活躍できるシーンは多く、社会的に弱い立場へと置かれた人々が安心して生活できるようにサポートする存在として、多彩に活動することが期待されます。

社会福祉士の資格を取るメリット


つづいて、社会福祉士の資格を取るとどんなメリットがあるのかを解説していきます。

国家資格なので社会的信頼性が高い

社会福祉士は専門性の高い国家資格であるため、社会的に信頼されやすいです。知識やスキルがあると公的に認められていることから、相談者や家族・職場・行政などの関係者からも信頼を得られます。また、就職・転職の際にも有利になりやすいです。

幅広い業界に就職できる

社会福祉士は、介護や医療・福祉関連施設・学校・社会福祉協議会・地域包括支援センターなど、さまざまな分野・場所で活躍できます。サポートをおこなえる対象範囲が広く、子どもから高齢者まであらゆる年代の人々にかかわれる仕事です。

やりがいがあり、社会貢献できる

社会福祉士は相談や援助を通して人を助けることができ、社会に貢献することができます。自分の仕事によって、人を笑顔にしたり人から感謝されたりするため、誰かの役に立ちたいという人にとって非常にやりがいのある仕事です。

社会福祉士の資格を取って社会に貢献しよう


社会福祉士は、生活に困る人の相談援助をおこなう重要な仕事です。相談者の詳しい話に耳を傾け、身につけた知識や経験をもとに、関係各所と連携しながら解決に向けて適切な対応をすることが求められます。

社会福祉士は国家資格であり、受験資格を取得したうえで国家試験に合格しなければなりません。4年制の福祉系大学を卒業するなどいくつかの方法があり、それぞれの対策が必要です。

直接的に人を助けられ、将来性がありメリットも多い職種なので、自分に合った方法や大学を選び、社会福祉士を目指してみてはいかがでしょうか。

引用元
厚生労働省 社会福祉士の概要について
厚生労働省 第33回社会福祉士国家試験合格発表
社会福祉振興・試験センター 社会福祉士国家試験
社会福祉振興・試験センター 社会福祉士国家試験 試験概要
社会福祉振興・試験センター 社会福祉士国家試験 受験資格
社会福祉振興・試験センター 第 33 回社会福祉士国家試験の合格発表について

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