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ヘルスケア 2021-11-23

トレーナーは指導者ではなく「支援者」【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.42 フィットネストレーナー 古川杏梨さん #2】

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ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。

前回に続き、Instagramフォロワー12万人超えの人気トレーナー、古川杏梨さんにインタビュー。前編では、お姉さんからの「健康でいて欲しい」という願いを叶えるためトレーナーになった経緯と、運動経験ゼロからトレーナーとして活動し始めて感じたこと、見えてきた目標などをお聞きしました。

中編となる今回は、杏梨さんが感じるトレーナーというお仕事の魅力ややりがい、トレーナーになるためのアドバイスをお伺いします。

お話を伺ったのは…

フィットネストレーナー 古川杏梨さん

宅トレインストラクター・健康管理士一般指導員として運動習慣、生活習慣病の予防を伝える。現在は「どんな人にも健康の為の運動習慣を」をモットーに、オンラインサロンでの指南や雑誌記事監修、SNSでの配信を通じて発信し続けている。書籍『おうちでストレス解消・気持ちがアガる!あげ筋トレ』(KADOKAWA)。

Instagram:@anna97114

運動することでみんな一緒に変わっていけるのが楽しい

運動経験ゼロでトレーナーになった杏梨さんの周りには、運動が苦手な人が集まっている。

―杏梨さんがお仕事に感じる魅力ややりがいを教えてください。

トレーニングをすることで、どんな人でも変われるんだなというのは、いつも感じていることです。休んでもいい、でも諦めなければ人は必ず変われる。私自身、今でも変わり続けていられます。

それは私の周りの人たちがどんどん成長していってくれるおかげだなと感じます。ひとりではなく、私自身も周りの方も一緒に変わっていけるのが、とても楽しくてやりがいを感じますね。

―逆に大変だなと感じたことは?

大変というか辛いなと感じたことは、担当したお客様の旅立ちにあったことです。ジムで働いていた時は高齢者を担当することが多かったので、何度かお別れを経験しました。人生のための目的をもってトレーニングをしていた方たちが旅立つとき、自分は夢を叶えるお手伝いができたのかなとよく考えました。やっぱりご担当して思い入れが強い分、お別れは辛かったですね。

でもそれは、ありがたいなと感じることでもありました。最初にお別れを経験したのは、初めて担当したお客様でした。73歳でジムに初めて来たときにはご友人の肩につかまって杖をついていたのですが、「お孫さんと一緒に走りたい」という夢を持たれていました。

―杖をつくほどの方が「走りたい」と…。

正直なところ当時の私には、安易に「大丈夫ですよ」とは言えなかったんです。それでも一緒に頑張りましょうとお伝えして、運動習慣を続けられるようにお手伝いしました。気がついたら杖をつかずに歩けるようになっていて、「孫と一緒に走れたんだ」と報告いただいたときには一緒に泣いて喜びましたね。

その後、次の目標を決めた後に私は産休に入ってしまい、産休中会えないままその方が急な病気で亡くなってしまったんです。ご家族の方が、いつも使っていたシューズをお棺の中に一緒に入れてくれたことを後から伺いました。あぁ、ご家族にも話してくれていたんだなって、それがすごく嬉しくて。

誰かが健康になると、ご家族も喜んでくれる。最期まで健康に過ごせることで願いを叶えられる。そのお手伝いができるというのは、すごくありがたいことだなと感じるきっかけになりました。私も、姉が一生健康でいて欲しいと願ってくれて、トレーナーになったことで健康になれたので、その喜びを広げていきたい、多くの人に返していきたいなと思っています。

おせっかいを焼かれて嬉しかった。だから自分もそうしたい

「姉からの言葉でトレーナーになったことで人生が変わった。その体験をみんなに広げていきたいんです」

―トレーナーをお仕事にすることのメリットは何だと思いますか?

いろんな人と会えるのはいいことですね。アパレル時代と同じくらい人には会っているはずなんですが、その方の目的を知っている分、深く関われるようになったと感じます。その人のために何かできることはないかなと思えると、今度はこんな知識をつけようと考えるきっかけにもなります。

自分のことだと後回しにしたり、怠けたりしちゃうタイプなので…(笑)。自分のためより人のためのほうが動けるという人は多いと思います。私を含めそういう人にとっては、人と関われることが成長につながるので、人と深く関われるトレーナーというお仕事はメリットがあるんじゃないかと思います。

―今後の展望や目標などはありますか?

今はまた高齢者の方々に、目標を持って最後まで自分の力で全うして欲しいという気持ちが大きくなっていて、困っている高齢者の方に元気な人をつなげるマッチング系のお仕事を広げています。

あと炊き出しをしたいと思っているんです。日雇いや外で寝泊まりしている方だけでなく、外に出たくても出られない方が病院への行き帰りのときに寄れるような、人とつながれる場所を作りたくて。そこで私ができることは健康の大切さを伝えたり、ちょっと筋トレしませんかと伝えることくらいですけど、それだけでも変わってくることがあるんじゃないかと思うんです。

どんな人たちも、いつまでも元気でいて欲しい。そのためには食事と筋トレ、そして人とのつながりが大事だと思うんです。

―杏梨さんは人とのつながりを大切にされているんですね。

けっこう人見知りなので、私のところに来てくれた人には心を開きやすいんです。そういう人はすごく多いと思いますし、そんなタイプほど人の目を気にしたり線を引いてしまいがち。だから、おせっかいを焼いてくれる人がいるといいなって私も感じたので、そういう人でありたいなと思うんです。

運動をする主体は生徒さん。だからトレーナーは支援者です

運動が苦手な人に寄り添い、トレーニングが習慣になるように支援を続けている。

―杏梨さん流トレーナーの心得3か条を教えてください。

1.主体性を相手に向けること

トレーナーは「指導者」と呼ばれることもあるんですが、私の場合は「支援者」でありたいと思っています。これをやりましょうと指導するのではなく、あなたがしたいことができるようにお手伝いします、という気持ちを大切にしているんです。だからいつでも、主体は運動をする方であり、そこを一番に考えるようにしています。

2.相手のことを諦めない

もしも運動をしたいご本人が諦めてしまったとしても、その人の分を私が諦めないようにしています。休んでもいいんです。でも諦めなければ必ず体は変わるから。誰かが諦めないでいてくれると、休んだ後の一歩も踏み出せるんじゃないかなと思うんです。

3.学び続けること

体のことに限らず、いろんな知識はあって困りません。人に関わるいろんな知識はつけておいていいし、どんどん更新していったほうがいいと思います。私も自分のうつ病経験から精神的なことを知りたくて、心理学を学びました。それもトレーナーの仕事に役立っていると思います。
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人とのつながりを通して自分自身も成長できることを知った杏梨さんは、その喜びを周りにも伝えていこうと活動の幅を広げています。その根底にあるのは、「支援者でありたい」という想いです。その想いは多くの人を惹きつけ、SNSでの人気にもつながっています。次回後編では、そんなInstagramのフォロワーが増えた理由と、杏梨さんのレッスンへのこだわりについて詳しくお伺いします。

取材・文/山本二季
撮影/高嶋佳代

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