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ヘルスケア 2021-12-03

人気レッスンの秘訣は、学びのあるプログラムとポジティブな声掛け【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.43 ヨガ講師 内田 薫さん #3】

ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。

これまで2回に渡り、ヨガインストラクター養成講座で講師を務める傍ら、雑誌監修やメディアでのヨガ指導など幅広く活動している内田 薫さんにお話をお聞きしてきました。

生きがいとなる仕事を見つけるため、金融機関での営業職からヨガインストラクターに転職。副業、フリーランス、社員と、さまざまなかたちでヨガに携わってきた内田さんは、ビジネス目線の大切さを実感し、伝える活動を行っています。

後編となる今回は、そんな内田さんが昨年取得したメンタルトレーナーの資格についてと、それらを活用したレッスンや講座についてお聞きします。

お話をうかがったのは…

ヨガ講師/メンタルトレーナー 内田 薫さん

大手ヨガインストラクター養成スクールやスポーツ専門学校にて講師を務める傍ら、イベント登壇やヨガスタジオ・トレーニングジムでコンサルティングを務める。2020年メンタルトレーナーの資格を取得し、在籍インストラクターのメンタルコーチングも担当するように。出産を機に2021年5月よりフリーランスとして活動スタート。同8月より、ヨガインストラクターにビジネス視点を伝える『サクセスオンラインヨガ塾』を開講中。
Instagram:kaoru__uchida

メンタルトレーナーになり、生徒を前向きにする言葉がけを知る

インストラクターとして活動し始めた当初から
生業にするためにさまざまな資格を取得した内田さん。
昨年はメンタルトレーナーの資格を取得されたそう

──内田さんはメンタルトレーナーの資格もお持ちですが、なぜ取ろうと思ったんですか?

ヨガを教える仕事に携わって3年ほど経ったころ、ヨガの根幹にあるヨガ哲学をどうしたらわかりやすく伝えられるか悩んだ時期があったんです。

ヨガ哲学という考え方があるからヨガの動作ができあがっているので、哲学も伝えつつ動作もつたえなきゃいけない。でも正直なところ、ヨガ哲学って宗教ととらえられることもあって、一般の方には伝えづらいんです。

そこで何か一般の方でもわかりやすい伝え方がないかと探していたときに、アドラー心理学に出会いました。アドラー心理学業界のなかで、自分の肩書と近しい「メンタルトレーナー」という資格があったので、取ってみようと思ったのがきっかけです。

──実際に取得してお仕事に役立っていますか?

とても役立っています。私もそうだったんですが、ヨガをやろうと思う人は、どこかに不調を感じている人が多いと思うんです。不調を感じるということは、ネガティブな目線から物事を見ていることが多いんですね。入校するときは、メンタルも体もマイナスな状態。ヨガの資格を取ったときにやっとゼロになる感じなんです。

だから私がどんなに「大丈夫ですよ」と言っても、「いや私なんて」と自分のことを否定しがち。そういったお客様や生徒さんをたくさん見てきました。

だけどメンタルトレーナーを通して学んだ言葉がけで、どんどん明るく前向きになれたりするんです。指導を通してゼロから1、2とステップしていく過程に携わるのも私の務め。そこをポジティブに進めるようにサポートできるようになったなと感じます。

大切なのは飽きさせないレッスンとコミュニケーション

明るくわかりやすくレッスンが人気の内田さん。
内田さんの話を聞くとポーズの理解が深まるという声も

1つめは、必ず生徒さんひとりひとりとコミュニケーションを取ることです。もちろんお話が苦手な方もいらっしゃるので、会話はその方に合わせて。でも私から話しかけるときは、絶対に目を見て話すことを大切にしています。

2つめは、必ずレッスンの構成、プログラムを毎回考えて作ること。当たり前のことだと思うんですが、レッスンに慣れてくるとしなくなる方もいるので、あえてお伝えします。

慣れると生徒さんに前に座った瞬間に、自然とプログラミングできちゃうんですよ。そういう方もいれば、1カ月同じ内容でレッスンするという方もいます。

私の場合は、前日の気温や情勢などすべて踏まえたうえでプログラムを考えて、ノートに書いて決めていきます。どんなことを話すかも全部その都度考えて書き出すので、レッスンごとに全く違う内容になるんです。

──変えるメリットは?

一番大きいのは、生徒さんが飽きないこと。飽きさせてしまったら、もう来てもらえませんから。だから常に新しい学びをひとつでもお伝えできるように準備しています。

出産を経験して感じた日常のコンディショニングの大切さ

0才ママの現在、対面レッスンは月2回。
出産を経てレッスン内容にも変化が

──レッスンでは、どんな内容を指導されていますか?

今はビジネス目線を伝える講座が多いんですが、養成スクールの対面レッスンは体を動かすクラスです。レッスン内容はいろいろなんですけど、今は主に体と心を整える「コンディショニングヨガ」をテーマにしています。

──「コンディショニング」をテーマにしている理由は?

コロナ禍になったことと、自分が妊娠出産を経験して、ここまでボロボロになるのかと気づいたことが大きいです。あと結婚して自分以外の生活を見たことで、一般の人がどんな生活をしていて、どんなことにストレスを抱えるのかに気づいて。「みんなコレを求めていたのに、なんで私は今まで違うことをしていたんだろう」と思いました。

出産前までは、自分がヨガを好きなこともあり難しいポーズをゴールにして、それまでの過程にオリジナルメソッドを入れる構成が多かったんです。もちろんその中にコンディションを上げるポーズを入れたりはしていましたが、そういうことじゃないんだと気づきました。ふだんから体調を整えることの大切さに気付けたんです。

そういう目線を持てるようになってから、各ポーズがみんなに刺さるようになったと思います。コンディショニングヨガをしていくなかで難しいポーズも入ってくるんですが、テーマがあることで的確に効果を出してくれるんですよね。

「コンディショニングヨガ」で知っておくべきポイント

内田さんが取り組んでいるコンディショニングヨガをするときに、インストラクターさんが知っておくべき注意点と大切なポーズを教えていただきました。

1.レッスンの前に親指のストレッチ

ヨガのポーズでは「手をついて親指の付け根に重心を乗せましょう」という誘導が多いんです。事前に親指の付け根をストレッチしておくと、ポーズが安定しやすくなるので、ぜひ取り入れて欲しいです。

左手の親指を右手で握り、付け根に右手の親指を当てる。右肩甲骨を背中側に引きながらストレッチ。

肩を下げて肩甲骨を寄せるイメージで行うと、自重で深くストレッチできます。肩が上がるのは、腕や指の力で引っ張っている状態なので注意。

2.筋肉が交差していることを理解する「三日月の側屈」

私たちの体についている筋肉はほとんどが交差しています。だから体は本来、交差して動くべきもの。シンプルな動きでも、体の構造をきちんと知っておくことで、正しい動きが指導できるようになります。

この側屈では左右対局になるように手と脚を交差して、左右の体側をのばしていきます。右脚が前になる場合は、左手が前になるように組みます。体が対局になった状態で動かすことが大切です。

気をつけるのは、交差が対局になっているかと、骨盤がズレていないか。脚が前になっている側の骨盤が前に出やすいので注意して。骨盤は常に平行になるようにしましょう。

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講師として生徒さんと触れ合うなかで、メンタル面のサポートの大切さを感じたという内田さん。生徒さんが心も体も成長し輝いていく過程に携わることが、ご自身にとっても必要なことなのだとか。

キャリアのために必要なことを着実に吸収し、ステップを重ねていく内田さん。出産を経験し、これからどんな成長を重ねていかれるのか注目です!

取材・文/山本二季
撮影/高嶋佳代

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