ケアマネジャーと介護福祉士の違いとは?|介護福祉士がケアマネジャーを目指すには
ケアマネジャーと介護福祉士は同じ介護職ですが、資格や仕事の内容は全く異なります。これから介護職を目指す方はもちろん、すでに介護の現場で働いている方もケアマネジャーと介護福祉士の違いをしっかりと理解しておくことが大切です。
この記事では、ケアマネジャーと介護福祉士の違いや介護福祉士がケアマネジャーを目指す際の流れをくわしくご紹介します。
ケアマネジャー(介護支援専門員)と介護福祉士はどこが違うの?
ケアマネジャー(介護支援専門員)と介護福祉士は同じ介護の専門職ですが、仕事内容・資格要件・給与などで大きな違いがあります。ここでは、この2つの違いをポイント別に確認しておきましょう。
1. 仕事内容が違う
ケアマネジャーと介護福祉士は、仕事内容は大きく異なります。それぞれどのような仕事内容なのかを見ていきましょう。
ケアマネジャー|介護保険の利用者に対するケアプランの作成など
ケアマネジャーのおもな仕事は、以下のとおりです。
・ケアプランの作成
要介護者から相談を受けたうえで、どのような介護サービスが適切かを分析してケアプランを作成。また、ケアプランを作成する際は、介護職員、看護職員らと相談して計画の内容を調整します。
・要介護認定の業務
要介護者の自宅を訪問し、生活状況をくわしく把握したうえで要介護認定をおこなうかどうかを判断する業務です。
・給付管理業務
サービスを提供する事業者が介護給付費の請求をおこなう際、この請求および審査に必要な書類を作成します。具体的な書類とは、サービス利用票、サービス提供表、給付管理表などです。
・相談業務
利用者やその家族からなにかしらの相談を受けた際に、状況確認や適切なアドバイス、また場合によってはケアプランの変更などをおこないます。
ケアマネジャーの仕事内容が知りたい! ケアマネジャーになるにはどうすればいい?
介護福祉士|直接介護+生活支援
介護福祉士の仕事は、ケアマネジャーと比べて直接介護が多くなります。介護福祉士のおもな仕事は、以下のとおりです。
・直接介護
要介護者に対して、食事介助・移動介助・入浴介助・排泄介助など直接的な身体介護をおこないます。
・生活支援
日常生活に支障をきたしている要介護者に代わって、食事の用意・洗濯・掃除・買い出しなど生活に関する支援全般をおこないます。
・メンタルケア
要介護者の話し相手になる、レクリエーションへの参加を促す、近隣住民との社会的交流を促すなど、精神衛生に関する業務をおこないます。
・利用者家族への対応
利用者家族から相談を受けた際の助言、介護計画の変更、介護用具を使用する際の説明などをおこないます。
・チームマネジメント
勤続年数の長い経験豊富な介護福祉士は、チームのまとめ役としてスタッフの業務管理・スタッフへの指導・育成などの業務を担うこともあります。
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2. 資格が違う|取得方法・受験資格など
ケアマネジャーと介護福祉士は、資格の種類や取得方法、受験資格などが異なるのが特徴です。つづいては、それぞれの資格の詳細を解説します。
ケアマネジャー|都道府県が管轄
ケアマネジャーは、都道府県から認定を受ける公的資格です。ケアマネジャーの試験を受けるには、受験対象となる資格の所有と一定の実務経験が必要となります。ちなみに直近の第24回の試験の合格率は、27.7%となっていました。
この試験は都道府県が管轄しているため、各自治体で実施内容が異なるのが特徴。そのため、受験する際は必ず自身の自治体の規定を確認するようにしましょう。
介護福祉士|国家資格
介護福祉士は、国から認定を受ける国家資格です。この資格を受験するためには、以下の3つあるうちのいずれかのルートを経たのち、条件を満たす必要があります。
・実務経験ルート
3年以上の実務経験で、実務者研修または介護職員基礎研修に加えて、喀痰吸引等研修を修了していること。
・福祉高校系ルート
福祉系高校で指定のカリキュラムを修了していること。
・養成施設ルート
介護福祉士の養成施設で指定のカリキュラムを修了すれば、卒業と同時に介護福祉士の資格を取得可能。
直近の第34回の試験の合格率は72.3%となっており、ケアマネジャーと比べて高めとなっています。
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3. 給与が違う|令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果
ケアマネジャーと介護福祉士は、給与の面でも違いがあります。厚生労働省が公表した「令和2年度介護従事者処遇状況等調査」をもとに、給与の違いについて確認しておきましょう。
ケアマネジャー|約37万円
2020年度のケアマネジャーの平均月給は36万8,030円となっており、2019年度の35万1,490円から増加しています。2020年度の平均年齢は47.8歳、平均勤続年数は12年です。
介護福祉士|約33万円
2020年度の介護福祉士の平均月給は32万9,250円となっており、2019年度の31万3,590円から増加しています。また、2020年度の平均年齢は44.2歳、平均勤続年数は8.9年です。
介護福祉士がケアマネジャーを目指すには?
介護福祉士がケアマネジャーを目指すには、都道府県ごとに実施される試験に合格したのち、実務研修を修了する必要があります。今回は、東京都を例に資格取得の流れをご紹介しましょう。
ただし、ケアマネジャーの試験は都道府県の管轄になるので、自治体ごとに規定(申込期間や受験申込書など)が異なります。受験の申し込みの際は、必ずお住まいの自治体のホームページなどで規定をチェックするようにしてください。
1. 受験資格を満たしているかをチェックしよう
東京都でケアマネジャーの試験(介護支援専門員実務研修受講試験)を受ける場合、以下の受験資格を満たす必要があります。
・受験資格となる(a)か(b)のどちらか一方、または両方を満たすこと
(a)規定の国家資格を所有していること
受験資格対象となるのは、医師や歯科医師、薬剤師などを含めた全20業種です。介護福祉士も受験資格対象に含まれます。
(b)規定の相談援助業務に従事していること
受験資格対象となるのは、生活相談員・支援相談員・相談支援専門員・主任相談支援員などです。
・試験を受ける場所が東京都であること
受験資格対象となる業務に従事している場合は勤務先が東京都であること、また受験資格対象となる業務に従事していない場合は住所地が東京都である必要があります。
必要な実務経験|5年以上かつ従事日数900日以上
ケアマネジャーの受験資格を得るためには、資格の所有だけでなく一定の実務経験が必要です。必要となる実務経験日数は以下になります。
(a)規定の国家資格などにもとづく実務経験
(b)規定の相談援助業務の実務経験
(c)aとbを合わせて実務経験
上記の実務経験の期間が、5年以上、さらに実際の従事日数が900日以上でなければなりません。
・実務経験算定期間の例
(a)介護福祉士の資格を取得後、デイサービスで介護業務を5年間 → 要件クリア
(b)生活相談員として、介護老人福祉施設で相談援助業務を5年間 → 要件クリア
(c)介護福祉士の資格を所有し、デイサービスで介護業務を2年間、介護老人福祉施設で相談援助業務を3年間 → 要件クリア
2. 介護支援専門員実務研修受講試験を受けよう
必要な受験資格をクリアしたら、試験に応募して試験を受けることになります。各自治体の応募要項に沿って応募しましょう。
東京都の場合、東京都福祉保健局のホームページから過去の試験問題と正答番号を無料でダウンロードできます。なお、2021年度の東京都におけるケアマネジャーの受験者数は4,166人、そのうち合格者数は1,153人でした。
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3. 合格したら介護支援専門員実務研修を受けよう
試験に合格するだけでは、ケアマネジャーの資格は取得できません。合格後には、介護支援専門員実務研修を受講しなければならないからです。
実務研修では、ケアプラン作成などケアマネジャーに必要な基礎知識の学習や事業所での実習、グループワーク演習などがおこなわれます。
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4. 登録申請をして専門員証の交付を受けよう
実務研修を修了したら、介護支援専門員の登録と介護支援専門員証の交付の申し込みをおこないます。東京都の場合は、書類申請だけでなく電子申請も可能です。
介護支援専門員証がないとケアマネジャーの仕事ができないので、実務研修修了後に必ず登録と交付手続きをおこなってください。
実務経験を積んでケアマネジャーを目指そう!
ケアマネジャーと介護福祉士は、仕事内容・資格要件・給与などでさまざまな違いがあるのが特徴です。ケアマネジャーは介護福祉士の上位に位置する職種なので、介護福祉士のなかにはケアマネジャーへのキャリアアップを目指す人も多くみられます。
介護福祉士として実務経験を積むだけでなく、より専門性の高い知識を学習してケアマネジャーを目指していきましょう。
引用元サイト
職業情報提供サイト jobtag 介護支援専門員/ケアマネジャー
社会福祉振興・試験センター 介護福祉士国家試験 受験資格(資格取得ルート図)
東京都福祉保健財団 令和4年度 東京都介護支援専門員実務研修受講試験
東京都福祉保健財団 Ⅱ. 介護支援専門員研修について|介護支援専門員 実務研修