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特集・コラム 2023-02-06

介護職員基礎研修とは?背景や他の資格との違い、キャリアアップに活かせる3つの資格を紹介

介護職員基礎研修は、少子高齢化にともなう介護ニーズを満たすために、介護人材の数・質を担保する目的で2006年に設立され、2012年に廃止された研修制度です。しかし、研修内容やその他の福祉系資格との違いについて知りたいという方も多いでしょう。

本記事では介護職員基礎研修の概要や成立した背景、その他の福祉系資格との違いを紹介し、介護職のキャリアアップのために取得しておきたい3つの資格について解説します。

介護職員基礎研修の概要と、介護職としてキャリアアップするために覚えておきたい福祉系資格を知りたい方は参考にしてみてください。

介護職員基礎研修とは?背景と他の資格との違い

介護職員基礎研修は、2002年に導入され、2012年度末まで実施されていた研修制度です。この章では、研修の目的や廃止に至る経緯、他の福祉系資格との違いを紹介します。

介護人材の確保や質向上のために創設された資格

介護職員基礎研修は、少子高齢化によって増え続ける介護ニーズを満たすために、2002年に導入された資格です。この制度を実施することで、福祉施設における介護や訪問介護に従事する介護スタッフの数と質を担保することが目標でした。

研修を終えることで、一定水準以上の介護職員としての知識・スキルが証明され、職場や転職の場面で強みになり、さらなる難関資格に挑戦するための登竜門となっていました。

訪問介護員の任用資格として有効であることはもちろん、訪問介護所におけるサービス提供責任者を担当できる可能性がある点も特徴です。

介護人材のさらなる質の向上のために2012年度末に廃止された

訪問介護員の任用資格であり、ニーズが高まりつつある介護人材のニーズを満たす目的ではじまった制度である介護職員基礎研修ですが、2012年度末に廃止されました。

その背景には、ホームヘルパーや介護職員基礎研修など、介護職員のキャリアパスが複数存在し、キャリアパスが複雑化してわかりづらくなってしまったことが挙げられます。

そのため、平成23年1月に発表された『今後の介護人材育成の在り方に関する検討会報告書概要』において、ホームヘルパー2級を介護職員初任者研修、ホームヘルパー1級と介護職員基礎研修を介護福祉士実務者研修に一本化されることが決定したのです。

これによって、介護職員初任者研修から介護福祉士実務者研修、そして介護福祉士へと至るキャリアパスに一本化され、人材ごとのスキルのムラが解消されることになりました。

介護職員基礎研修とホームヘルパー資格の違い

介護職員基礎研修とホームヘルパーの資格の違いは、前者が介護業務の基礎を学ぶのに対して、後者は訪問介護に特化した人材を育成するカリキュラムだという点です。

ホームヘルパー1級と介護職員基礎研修は実務者研修に統合され、ホームヘルパー2級は初任者研修に統合されているため、旧ホームヘルパー2級の資格は、実質的に介護職員基礎研修の下位資格の扱いになる点は覚えておきましょう。

介護職としてキャリアアップを目指せる3つの資格

介護職員基礎研修の概要と背景について確認したところで、今度は統合された介護職員初任者・実務者資格、キャリアアップの到達地点ともいえる介護福祉士資格の概要・取得するメリットについて見ていきましょう。

1.介護職員初任者研修

介護初任者研修は、ホームヘルパー2級から統合された資格です。同資格を取得することで、訪問介護の基礎的な知識やスキルを証明できます。合格率は非公開ですが、再試や追試制度を利用できるスクールも多く、100%に近い合格率だといえるでしょう。

介護職員初任者研修のカリキュラムは、下記のようになっています。

出典:厚生労働省:介護員養成研修の取扱細則について

合計130時間の講座を履修して、修了試験に合格すれば資格を取得できます。詳しい資格の取り方については、下記の記事を参考にしてみてください。

ホームヘルパー2級(介護職員初任者研修)の取り方とは?受験資格や制度変更についてなどをまとめて解説

2.介護福祉士実務者研修

介護福祉士実務者研修は、介護職員初任者研修に合格した方が目指す資格です。初任者研修よりも専門性の高い知識やスキルを学びます。具体的には、介護福祉士養成施設に2年通った方と同じ水準の知識・スキルを保有しているか測る試験です。

介護福祉士実務者研修のカリキュラムは、下記のようになっています。

出典:厚生労働省:届出の必要ない研修にかかる修了認定科目について

合計450時間の講座を履修し、スクールが求めるようであれば修了試験を受け、合格すれば資格を取得できます。合格率はほぼ100%だと言われる試験です。

詳しい資格の取り方については、下記の記事を参考にしてみてくださいね。

実務者研修は難しい?研修の概要や難易度、スクールの選びのポイントを解説

介護職員基礎研修修了者は介護福祉士実務者研修の受験科目が免除される

介護職務員基礎研修を修了している方は、2016年に改正された『社会福祉士法及び介護福祉士法」によって、3年以上の実務経験をし、喀痰吸引(けんたんきゅういん)等研修を修了していれば、介護福祉士実務者研修は免除され、介護福祉士の受験要件を満たせるようになりました。

3.介護福祉士

介護福祉士は介護職の中で最も取得が難しい資格です。介護職としての豊富な経験やスキルを有し、現場の介護職員を統率するリーダーとして働くケースも多いです。

職員の介護指導に携わるだけでなく、介護プランの立案や実行、事務作業など、介護現場における幅広い業務に対応できる人材になれます。

介護福祉士試験で出題される試験テーマは、下記のとおりです。

・1.人間の尊厳と自立
・2.人間関係のコミュニケーション
・3.社会の理解
・4.生活支援技術
・5.介護過程
・6.発達と老化の理解
・7.認知症の理解
・8.障害者の理解
・9.こころとからだのしくみ
・10.医療的ケア
・11.総合問題
・実技試験
・介護等に関する専門的技能

このように、11テーマと実技試験から構成される試験です。令和4年度に実施された試験の合格率は72.3%となっており、合格率は高めな試験となっています。

詳しい資格の取り方については、下記の記事を参考にしてみてくださいね。

介護福祉士になるのは簡単すぎ?資格取得の難易度やルート、具体的な3つの仕事内容を紹介

介護職員基礎研修についておさえて、キャリアアップに必要な資格取得を目指そう!

介護職員基礎研修は、社会における介護人材のニーズを満たすために2006年に創設され、キャリアパスの簡素化のために2012年度末に廃止された制度です。

介護職員基礎研修は介護福祉士実務者研修に統一され、喀痰吸引等研修を修了していれば、介護福祉士試験の受験要件を満たせるという移行措置がとられています。

自分自身のキャリアアップに必要な資格やルートはどれか検討して、介護福祉士として着実にステップアップしていきましょう。

引用元
厚生労働省:平成20年 介護職員基礎研修について
厚生労働省:介護人材の確保について
厚生労働省:介護員養成研修の取扱細則について
厚生労働省:介護福祉士の資格取得方法の見直しの延期について
公益財団法人 社会福祉・振興センター:介護福祉士国家試験:受験資格
公益財団法人 社会福祉・振興センター:介護福祉士国家試験合格基準
公益財団法人 社会福祉・振興センター:第 34 回介護福祉士国家試験の合格発表について

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